PIXUS BJ S700
PIXUS BJ S700
2001年11月16日 15時55分更新
文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義
BJ S700は、独特のノズル構成によって完全双方向印刷を可能にした「BJ S600/S630」シリーズの後継機種にあたり、各部のチューンが進められた結果、20枚/分というインクジェットプリンタの中では最高速の印刷速度を持つ。
カラーと黒のノズルをずらして混色を防ぐ
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BJ S700のサイドビュー。基本的なデザインは従来機であるBJ S600/S630とほぼ同様だ。 |
S700は、スペックを見るとノズル数(カラー256ノズル×3、黒320ノズル)やインクシステム(4色独立インクタンク)など、従来機であるS600/S630と変わっていないように見えるが、S700になって黒ノズルがオフセット配置された点が大きな違いだ。従来のS600/S630では、カラー用のノズルと黒ノズルがほぼ同じ位置に配置されていたが、S700ではカラーノズルと黒ノズルの位置を縦方向に1スキャン(カラーノズルの幅)ぶんだけずらし、黒インクがカラーインクよりも1スキャンぶん先に印刷されるようになっている。これにより黒インクが紙に定着する時間が稼げるので、液状の黒インクとカラーインクが混色して発色が低下することを防ぎ、“カラーの発色”や“黒の締まり”といった画質の向上に貢献している。
同時に、細部のチューンが進められて印刷速度は最高20枚/分という、ページプリンタなみの速度を実現している。
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BJ S700のノズル部。左の黒ノズル(長い部分)が、右のカラーノズル(5列に見える)に比べて下にずれて配置されており、カラーノズルで1スキャン分早く印刷できるようになっている。 |
また、
F900と同様に、カット紙に対する「四辺ふちなし印刷」、「サイレントモード」、「3Dフォト印刷」機能も備える。サイレントモードは、給紙/紙送り/排紙の各モーターを個別に制御して印刷の紙送りステップを細かくするなどの処理によって印刷時の音を低減するもの。F900でもその効果は実感できたが、高い印刷速度のために勢いよく給排紙するS700では、非常に大きな違いとなる。サイレントモードはプリンタドライバでON/OFFを指定できるほか、×時~×時にはONにするといった時間設定も可能だ。3Dフォト印刷は標準で付属するフォトスタンド(前面パネルがレンチキュラーレンズとなっている)と付属ソフトウェアを使い、平面画像を立体的に見えるようにするというものだ。
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【BJ S700印刷サンプル】印刷サイズは写真画像部分が82×112mm、フラットベッドスキャナにて300dpiでスキャンしたもの。掲載用にリサイズしている。 |
印刷品質を見ると、従来機(S630)と比べて黒インクを積極的に利用しており、暗部の締まりが改善されている。印刷速度に関しては、画像では新開発ノズルのF900のほうが速い結果となったが、文書印刷ではさすがに今回紹介した機種の中で最も高速だ。
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【BJ S700印刷サンプル】スキャンした画像データを640×480ドットにトリミングしたもの。 |
作例モデル:渡辺まい。アーデニー・エンタテインメント所属。19歳。身長158cm、スリーサイズB92、W56、H88cm。「ドコアル」サイト(
http://docoal.com/)で「アイドル日記」配信中。
印刷速度比較の結果
文書 (Microsoft Word 10ページ普通紙)
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標準 | 1分25秒 |
はやい | 1分03秒 |
画像
(Adobe Photoshop ハガキサイズ/プロフェッショナルフォトペーパー)
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きれい | 45秒 |
PIXUS BJ S700の主なスペック
解像度 |
2400×1200dpi |
インク構成 |
Bk、C、M、Y |
ノズル構成 |
256ノズル×3色+Bk 320ノズル |
ヘッド構成 |
一体ヘッド、全色独立インクタンク |
インターフェイス |
USB、パラレル |
本体サイズ |
430(W)×294(D)×177(H)mm |
重量 |
約5kg |