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日本インター、構造改革と事業戦略を説明

2001年11月01日 02時36分更新

文● 編集部 中西祥智

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日本インター(株)は31日、都内で構造改革および中期的な経営計画についての記者説明会を開催した。

同社は、2002年度の中間決算において、連結で16億円の純損失を予想している。これについて、同社代表取締役社長の山室幸三氏は、「今までに経験したことのないような不況」が原因だとしている。

山室幸三代表取締役社長
山室幸三代表取締役社長

2002年度の通期の業績予想は、連結売り上げ高が248億円で前年度(324億7000万円)から76億7000万円と約23%のダウン、連結の営業利益は2001年度の18億円から2002年度は約2億円になると、同社では予想している。ただし、純利益は、2001年度は退職給付会計基準の導入による損失を一括処理したため約4億円の純損失、2002年度は事業債構築の費用17億円を特別損失に計上して、14億円の純損失となる見込み。

この状況に対して、同社は大規模な構造改革を行なうという。同社は、売り上げの53%を占める“ショットキー・バリア・ダイオード(SBD)”(※1)の分野において、世界でNo.1のシェアを得ているという。同社代表取締役会長のマイケル・パトリック・マギー(Michael P. McGee)氏は、SBDなどのパワー半導体の分野に、さらに注力することを語った。

※1 通常のダイオードは半導体のPN接合によって整流するが、SBDはN形半導体に直接電極を取り付け、半導体と金属の接合を利用する。順方向の電圧降下が少ないなどの利点があるが、製造コストがかかるという。

マイケル・パトリック・マギー代表取締役会長
マイケル・パトリック・マギー代表取締役会長

パワー半導体とは、AC/DC変換など、電子機器において電力の変換に利用する半導体。パワー半導体の市場は年20%程度成長しており、その中でSBDの市場規模は約650億円だという。SBDの今後の有力な利用先としては、ゲーム機やデジタルカメラ、携帯電話、無線通信機器、ディスプレーなどを、同社では想定している。

そして、マギー氏は「SBDなどの世界市場において、競争に勝てるプラットフォームを作る」ために、組織、戦略、財務、そして市場と製品の4つの要素を重視すると説明した。この内財務については、17億2500万円の費用を投じて事業の再構築を行ない、固定費の削減など、全コストを年間10%削減することを目指す。

品目別製品売り上げ高
品目別製品売り上げ高、53%をSBDが占めている

また、同社は日本で開発や営業、半導体の前工程の生産を行なっているほか、台湾とフィリピンで後工程の組み立てをしており、全体の従業員数は2001年3月末の段階で1052名となっているが、これを2002年3月末には774名に削減する。これによって、約10億円の人件費を削減し、削減した費用を研究・開発に充填するという。

同社は事業の再構築によって初年度で15億円の経費を削減するとしている。マギー氏はプレゼンテーションの最後を、「日本インターの将来は明るい」と結んだ。

日本インターのSBD製品群
日本インターのSBD製品群

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