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CanoScan FS4000US

CanoScan FS4000US

2001年08月14日 18時57分更新

文● 山崎

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スペックどおりの高画質なスキャン結果

スキャンサンプル1。初期設定のまま4000dpiでスキャンした画像を600×400ドットにリサイズしている。肌色の階調が滑らかに再現されており、解像感も高い。バックの階調に飛びがあるのはリサイズとJPEG圧縮のため。
 さて、実際に使用してみての印象だが、謳い文句どおりの高精細で階調性豊かな画像を得ることができる。今回はコダックのリバーサルフィルム「E100S」をスキャン素材に使用しているが、4000dpiでの取り込みではむしろフィルム粒子が気になるほどの解像力を持っている。またRGB42bitでの取り込みでは、24bitによる取り込みとははっきりと違いがわかるほどの滑らかな階調が得られた。スリーブのスキャンでも付属ホルダを使用することもあり、オートフォーカスも良好な印象だ。初期設定のままの色味は、ニコンの「SUPER COOLSCAN 4000 ED」との比較では、やや暖色傾向にあり、好き嫌いもあるだろうが人肌などの再現にはFS4000USのほうが適している感じだ。



スキャンサンプル1の右目周辺を、リサイズせず4000dpiでスキャンしたまま600×400ドットにトリミングしたもの。フィルム上で解像しているものなら、すべてスキャンできる印象だ。

スキャンサンプル1と同じコマのSUPER COOLSCAN 4000 EDでのスキャン結果。FS4000USと同様に初期設定のまま4000dpiでスキャンした画像を600×400ドットにリサイズしている。両社の指向の違いがよくわかるだろう。
 2種類のインターフェイスの違いによるスキャンスピードの差を、CPUにPentiumIII-550MHz、メモリを256MB搭載し、Windows 2000 Professionalをインストールしたマシンで比べてみた。SCSIインターフェイスにはアダプテックジャパンの「SCSI Card 2940AU」を使用している。6コマスリーブのサムネイルスキャンはどちらも15秒前後、続けて行った1コマ目のプレビュースキャンはともに20秒前後と、それほど差はなかった。4000dpiで35mmフィルムの1コマ目をフルサイズ(出力解像度5711×3807ドット)で読み取った場合は、SCSI接続の約2分20秒に対しUSB接続では約3分55秒となった。さらにFAREを有効にした場合は、SCSIの約3分34秒に対しUSB接続では約6分7秒と大幅に取り込み時間に差がついた。大量の画像を頻繁にスキャンする機会のある人はSCSIインターフェイスを用意したほうがいいだろう。
 ちなみに、スキャンをはじめるときにはコールドスタートから冷陰極線管の光量が安定するまでのキャリブレーションに約1分かかる。LED光源を採用するニコンのCOOLSCANシリーズがソフトを立ち上げるとすぐに取り込みが可能になるのに比べると少々遅く、イライラするかもしれないが、待っている間にスキャンするコマでも選んでいればいいだろう。



スキャンサンプル2。初期設定のまま2000dpiでスキャンした画像を600×400ドットにリサイズしている。これだけ明暗差が激しいと、フィルム上ではもう少し階調が残っているハイライト部分や暗部も、飛んだり潰れたりしてしまう。デフォルト設定ではやや赤みが強くなる印象だ。
 同価格帯の製品としてはニコンの「COOLSCAN IV ED」が強力なライバルとして存在している。スペック的には最高解像度が2900dpiにとどまり、A/Dコンバータは12bit(出力は16bit)、インターフェイスもUSB1.1しかサポートしないが、退色したフィルムを鮮やかに補正する「Digital ROC」や高感度フィルムでの人肌の荒れを滑らかに補正する「Digital GEM」を搭載するなど、ドライバソフトの機能の豊富さでは一歩勝っている。
 また、4000dpiの解像度を必要とするなら、IEEE1394端子を装備することで高速なスキャンが可能なSUPER COOLSCAN 4000 ED(19万8000円)がライバルとなるが、Digital ICE3やマルチサンプルスキャニングのサポートというアドバンテージを考慮しても、10万円の価格差はやはり大きい。“ニコン”というブランドや“EDレンズ”という響きに特別な感情を持たないユーザーなら、FS4000USを選んで間違いはないだろう。



スキャンサンプル2の右側の建物部分を、リサイズせず2000dpiでスキャンしたまま600×200ドットにトリミングしたもの。上がFAREをオフにしてスキャンした場合で、下が標準の強さでFAREを有効にした場合。空など均質な部分では画像処理の影響はまず気にならないが、建物の格子状の部分や、空との境界部分などに画像処理の痕跡が見て取れる。

フィルムスキャナの主な仕様
製品名 CanoScan FS4000US COOLSCAN IV ED SUPER COOLSCAN 4000 ED
撮像素子 リニアCCDラインセンサ
解像度 4000dpi 2900dpi 4000dpi
階調表現力 入力14bit、出力8/14bit 入力12bit、出力8/16bit 入力14bit、出力8/16bit
インターフェイス USB1.1、SCSI-2 USB1.1 IEEE1394
本体サイズ 92(W)×368(D)×144(H)mm 93(W)×315(D)×169(H)mm
重量 約2.4kg 約3kg
対応OS Windows 98/Me/2000、Mac OS 8.6~9.1 Window 98 SE/Me/2000、Mac OS 8.6以降
価格 9万8000円 9万8000円 19万8000円

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