このページの本文へ

コンパックとNTT-ME、ブロードバンド/モバイルネットワーク事業で協業

2001年08月02日 23時03分更新

文● 編集部 佐々木千之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

コンパックコンピュータ(株)と(株)エヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME)は2日、都内で共同記者会見を行ない、ブロードバンド/モバイルネットワーク関連の両社の人的/技術的リソースを活用して、ビジネス向けサービス事業を展開する目的で、協業体制をとることで合意したと発表した。

NTT-ME代表取締役社長の池田茂氏
NTT-ME代表取締役社長の池田茂氏

協業の具体的内容として、NTT-MEは自社内にコンパックとのコンパックのビジネスパートナーとして専任でサービスを行なう“ブロードバンドビジネス・ソリューションセンタ(仮称)”を9月に設置する。この組織は、NTT-MEの技術者(SE:システム/サービスエンジニア)によるチームで、MCP(※1)などの各種資格者を中心として構成し、コンパックのASE資格(※2)も取得させる。年内に100人規模の体制にし、3年後には200~300人規模まで拡大する計画。

※1 MCP(Microsoft Certified Professional):マイクロソフト(株)が認定する、マイクロソフト製品の技術的知識に関する技術者資格。

※2 ASE(Accredited Systems Engineer):コンパックが認定する、技術者資格。コンパックサーバーを使用したシステムの提案、構築、障害対応が可能なシステムエンジニアに与えられる。ASEとASE Professionalの2種がある。

NTT-MEは、大企業向け大容量ネットワーク『XePhion(ゼフィオン)』、中小企業からSOHO向けのISP事業“WAKWAK(わくわく)”、インターネットデータセンターサービスなどのネットワークサービスと、そのサポート人員として、マイクロソフトやオラクル、シスコシステムズなどの技術資格を持つ多数のSEを抱える。一方コンパックは、超並列サーバー『NonStop Himalaya(ノンストップ ヒマラヤ)』をはじめ『Alpha Server』『ProLiant(プロライアント)』などのサーバーとSAN(ストレージエリアネットワーク)製品群、携帯情報端末『iPAQ Pocket PC』といったハードウェアと、それらのシステムインテグレーション技術を持つ。

これらの両社それぞれが持つ強いリソースを合わせることで、NTT-MEはネットワークからコンピューターシステムの構築、保守までカバーする技術を持つSEを育てることができ、コンパックは深い技術的知識を持ったコンパック専任SEを持つことができる。これによって両社は、今後急速に展開すると予想されるブロードバンドビジネス分野、モバイルビジネス分野に対応可能な体制を整えることができるという。なお、協業によるシステムインテグレーション事業において、今年度30億円、3年後に100億円の売上げを見込んでいる。

さらに、NTT-MEはこうして育てたSEによってソリューションビジネスの幅を広げることができるとしている。コンパックも、NTT-MEがビジネスの幅を広げれば、自社製品の売上げ増にも繋がるといったメリットも生まれるとしている。

コンパックコンピュータ代表取締役社長の高柳肇氏
コンパックコンピュータ代表取締役社長の高柳肇氏

コンパックコンピュータ代表取締役社長の高柳肇氏は「コンパックの(日本での)売上げの40%はサービス、そのうち60%は企業向けシステムインテグレーションサービスによる。この分野は今年30%の成長を見込んでおり、2004年までには売上げを今の2倍にする計画だ。特に伸びが見込めるのはブロードバンドとモバイル分野だが、そのためのスキルやノウハウを持つ人材が社内に不足している。それを補うために1ヵ月ほど前にNTT-MEにアライアンスのお願いをして受け入れられた。ネットワーク分野に強いNTT-MEとハードウェアプラットフォームに強いコンパックが組むことで、ブロードバンドとモバイルビジネス分野において最高の強みを発揮できる」、「NTT-MEの各種資格を持つSEは大変魅力的だ。NTT-MEはコンパックにとってベストで最大のパートナーになると考えており、最大限の努力をする」として、協業の最大の目的は、NTT-MEのネットワーク関連技術者の獲得にあると語った。

NTT-ME取締役で第3ブロードバンドビジネス本部長の和佐野哲男氏も「SIとして、顧客からは、“こういうシステムが作りたい”という、ワンストップの要求がくる。NTT-MEはネットワーク分野は専門だが、コンピュータ関連では、必ずしも十分な対応ができなかった。コンパックとの協業で、顧客に対してトータルの回答を提示できる」と、メリットの大きさをアピールした。

日本のネットワークビジネスにおいて、急速にブロードバンド化、モバイル化が進む中で、システムを提供する技術者にも、これに対応するため広範な知識が要求されるようになりつつある。しかし、多数のスキルを持つ技術者を育てるには、相応の期間と投資が必要で、一朝一夕にはいかない。今回のコンパックとNTT-MEの協業は、お互いに弱い部分を補い合い、それぞれの競争力を高めるものとなる。今後、ネットワーク分野の進展に応じて、他社にもこのような動きが増えてきそうだ。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン