日本SGI株は22日、大規模可視化システムのデモセンター“SGI Reality Center”をリニューアルし、7月2日にオープンすると発表した。
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“SGI Reality Center” |
“SGI Reality Center”では、対象物の3Dグラフィックスを実物大で、あるいは巨視化して観察することが可能。また液晶シャッター眼鏡を使用した立体視なども行なえる。それによって、製品を設計する際にモックアップなどを作成しなくとも実物の状況を把握したり、肉眼では見えない分子の構造などを巨視化して表示するといったことが行なえる。
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自動車の3D画像。もちろんリアルタイムで描画しており、自由に視点やボディカラーを変えられる |
そういったデモを行なうことで、企業や官公庁へ同社のシステムの導入を促す。また、導入を前提としてだが、施設自体の貸し出しも行なう。システム導入にかかる費用は、約1億5000万円からとなっている。
同センターは、今回新たに同社の画像処理コンピューター『SGI Onux 3400』、ベルギーのバーコ(Barco)社製プロジェクター『BARCO909』、(株)キクチ科学研究所のスクリーンなどを設置した。
| 『SGI Onux 3400』。価格は約1億円 |
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『BARCO909』。価格は1台約1500万円 |
同センターの『SGI Onux 3400』はプロセッサーとしてMIPS R12000を16個、16GBのメモリーと1TBのハードディスク、“InfiniteReality3”(※1)グラフィックスエンジンを3台搭載する。『BARCO909』は9インチCRTを3管使用するプロジェクターで、SEMU(Soft Edge Modulation Unit)によってエッジブレンディング(※2)が行なえる。同センターでは『BARCO909』を3台設置して、ワイドな画像表示を実現している。スクリーンは縦1.8×横7.3メートルとなっている。それらすべてについて、企業などに導入する際には、さまざまなカスタマイズが行なえる。
※1 毎秒3930万ポリゴン、13億4400万ピクセルの描画が可能。フレームバッファを480MB、テクスチャーメモリーを256MB搭載している。
※2 複数のプロジェクターを使用して1枚の画像を表示する際、重なり部分の明るさなどを調節することで、境界線の見えない、自然な画像を実現する
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ヴァティカン宮火災の間にあるラファエロ(Raffaello)の描いた壁画。教皇が手を挙げている |
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別の絵では、台座に描かれた花柄まで再現している |
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エンジンのシリンダーの立体視画像。液晶シャッター越しに見ると、立体的に見える |
実際の導入事例としては、NASA(National Aeronautics and Space Administration:アメリカ航空宇宙局)の航空訓練総合施設や米ゼネラルモーターズ(General Motors)社の自動車のデザイン検討システム、またディズニーワールド(Disney World)内のデーマパーク、“ディズニークエスト(Disney Quest)”のVR(Virtual Reality)アトラクションに使用されており、全世界で約500台が導入済みだという。
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“SGI Reality Center”のコンソール |
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プロジェクターの制御ディスプレー。タッチパネルになっている。 |
国内では、凸版印刷(株)が唐招提寺や“洛中洛外屏風絵”を再現するのに使用したり、独立行政法人航空宇宙技術研究所での航空機・宇宙機の設計、そのほか建設会社や製薬会社、電子機器や精密機械を扱う企業などにも導入されている。さらに東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションでも使用されており、日本では100台弱の導入事例があるという。2001年6月までの同社の会計年度では、約25台が導入された。次年度は、研究機関などからの需要が増えており、導入実績50%増を見込んでいる。