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D-VHS入門

D-VHS入門

2001年04月19日 18時29分更新

文● 山之内正

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デジタルをつなぐi.LINK

 i.LINKは双方向のシリアル伝送だから接続はシンプルだし、信号の流れも複雑ではない。だが、実際にはi.LINK機器同士を接続する場合には、相互の認識がうまくいかないと、正常に動作しないことがある。

 認識には2つの段階がある。まず、接続されているi.LINK機器を正しく認識すること。これは、最初に機器を接続したときだけ行えばよい。次に、その機器との信号のやり取りをオンにするステップが必要だ。これは、デイジーチェーン接続で最大63台まで接続できるi.LINKならではの操作といえる。複数接続された機器のなかの、どの機器と通信をするのかを指定する必要があるのだ。この操作のことを「LINCする」と呼ぶ。なお、接続機器の認識や相手の機器を操作するための制御信号も、ストリームと一緒にi.LINKを介して伝送される。ケーブルの数が少なくて済むのは、デジタル化の大きなメリットと言える。

 i.LINK端子を介して接続相手の機器を認識すると書いたが、テレビやチューナとD-VHSデッキのメーカーが異なる場合は、正常に認識しない組み合わせも一部存在する。メーカー間の検証作業とソフトウェアの修正が行われ、現在はかなり改善されているが、購入する際には、正しく動作するかどうか、販売店やメーカーに問い合わせた方がいいだろう。また、BSテレビ側で表示した電子番組表(EPG)から直接予約操作ができるかどうか、番組名などEPGの内容がD-VHSに記録できるかどうかについても、メーカーや製品によって違いがある。こうした動作に一貫性をもたせ、互換性を保証することが、D-VHSの今後の課題のひとつだ。

LINCの概念図

普及のカギはコンテンツ

 デジタル録画には著作権保護の問題が大きく関わってくる。録画可能かどうかは、基本的にコンテンツ提供側の判断に任されている。放送事業者がコピー可能で送出すれば、D-VHSでの録画やD-VHS同士をつないでのデジタルコピーにも特に制限はない。だが、コピー回数を制限する信号を付加して送出している場合は、まったく録画できないか、または1世代のみ録画が許されるかのどちらかである。これが基本ルールだが、BSデジタルの本放送が始まった直後、ハイビジョンで録画できるはずの番組が、再生してみると通常番組のクオリティになってしまうという、予期せぬ問題も発生した。

 今後、D-VHSが普及するかどうかは、BSデジタル放送のコンテンツにかかっている。ハイビジョンで録画し、繰り返し見たくなる番組がどれだけオンエアされるのか? ライブラリとして保存しておきたくなるような水準の高い番組がどれぐらいあるのか?
 現在の地上波とたいして変わらない番組が中心なら、大容量のHDDビデオレコーダに録りだめ、次々に上書きして消していく録画スタイルが主流になってもおかしくはない。

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