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PC-FJ500R

PC-FJ500R

2000年12月18日 00時00分更新

文● 伊藤裕也

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 FJ500Rを使って“PCを楽しめる”具体的な内容としては、デジタルビデオ機器との間でのDVデータの入出力ならびにビデオ編集、VJ(Video Jockey)ばりの複数のビデオソースのスイッチング、サウンドの作成やミキシングなどが挙げられる。ここでは、これらの機能を実現するソフトウェアに注目してみよう。

「PixeDV」のエディットモード。エディットモードに限らず、PixeDVのインターフェイスはシンプルでわかりやすいのが特徴だ。

 まず、デジタルビデオ機器とのDVデータの入出力、およびビデオ編集を実現するのは、ピクセラのビデオ編集ソフト「PixeDV」だ。PixeDVはDVデータを扱うことに特化した、ストーリーボード形式の初心者向けビデオ編集ソフトである。ビデオクリップのトリミングと複数クリップの連結、さらに画面の切り替えシーンに演出効果を加えるトランジションエフェクトの適用、タイトルの付加と、基本的な機能はひととおり装備している。バッチキャプチャに対応していないこと、単純なトリミング編集であってもプレビュー表示に待たされることなどから10分を超えるようなビデオ作品を作るのは厳しいが、インターフェイスは非常にわかりやすく、VJソフトの素材に使うビデオクリップを作成する程度であれば十分に通用する。もちろん、プレビュー表示を待つ余裕があれば、ストーリー性のある一般的なビデオ作品も作成可能だ。

「PixeDV」のエディットモード。エディットモードに限らず、PixeDVのインターフェイスはシンプルでわかりやすいのが特徴だ。
VJプレイに最適なスイッチャー「motion dive」。この画面は中央に登録したふたつの映像をスイッチするモードだが、ショートカットにビデオクリップを直接割り当てて切り替られるほか、スライドショー形式の表示にも対応している。なお、motion diveはSLAPボタンに対応していて、この状態で左ボタンを押すとAの映像に、右ボタンを押すとBの映像に切り替わる。

 続くビデオのスイッチングにはdigitalstage社製「motion dive 2.1 for Sharp」がインストールされている。motion diveはVJプレイに最適なスイッチャで、複数のビデオクリップ(AVI、QuickTime、Flashムービーおよび静止画)をボタンひとつでリアルタイムに切り替えられるほか、切り替える際にエフェクトをかけたり、任意のタイミングでタイトル文字を重ね合わせて表示させることも可能だ。曲のリズムに同期した映像の自動切り換えにも対応しており、ビデオ・オーディオを組み合わせて最終的にひとつの作品(独自形式、再生専用ソフトはFD500Rに付属しているが、フリーウェアとして無償配布もされている)としてまとめることのできるソフトである。

リミックスツール「mixman LE」。レコードの上にある丸いボタンをクリックすることで、ドラムやベースなどのシーケンスをミキシングしていける。

 サウンドについてはBeatnikの「mixman LE」などが搭載されている。mixman LEは、ドラム・ベースなど複数のサウンドシーケンスをリアルタイムに組み合わせていくことで簡単に曲を作成できるリミックスツールだ。リズムサンプルが豊富に用意され、特定のサウンドシーケンスに対してピッチ(音の高さ)の調節やエフェクトの付加が行えるので、単にサンプルをいじってみるだけでも楽しい、初心者向きの作曲ソフトになっている。

 これらのソフトをまとめて活用すれば――例えば、ビデオカメラで撮影した映像をPixeDVで取り込み、mixman LEで曲を作成し、それをmotion diveで合わせる――といったことも可能になる。つまり、完全オリジナルのビデオクリップを、ビデオカメラとFJ500R1台でゼロから簡単に作成できるわけだ。
 最後に、FJ500Rにはオリジナルの密閉型ヘッドフォン(カラーリングもFJ500Rに合わせて濃青のスケルトン)が付属してくることも記しておこう。参考まで、ノートPCの本体内蔵スピーカによるサウンドは一般的に低音域がきわめて貧弱だ。そのため、出力される音は軽くシャカシャカとした感じになる。これはFJ500Rとて例外ではない。それだけに、低音域から高音域までしっかりと再現してくれるヘッドフォンの存在は嬉しいところだ。

 使い込んでくるとビデオの編集機能に限界を感じる場合もあるだろうが、ビデオクリップの作成を素材の取り込みから編集、保存まで必要なソフトを一揃いまとめており、バランスは決して悪くない。初心者にわかりやすいインターフェイスのアプリを選んで、誰もが扱えるようになっているという意味では、むしろ評価すべきだろう。それだけに、S-VIDEO出力をサポートしていないのは残念である。というのも、S-VIDEO出力さえあればmotion diveで作成したビデオをPCのない環境でも直接大画面のTVに出力できるからだ。友人などを集めて自慢の力作ビデオをテレビで見せるなど、PCを使う楽しみがグンと広がるだけに、次回からはぜひともTVへの表示まで考慮していただきたい。

 価格はオープンプライスで、店頭での実売価格は25万円を切るあたりになっている。ビデオクリップやサウンドクリップを自力で作ってみたいという創作意欲に燃える人、そこまでいかなくとも、それらの素材を使っていわゆるVJプレイやDJプレイを手っ取り早く楽しんでみたい人(単純に興味がある人)には、要注目のモデルといえよう。

本体に付属する各種パーツを外したところ。本体側面(写真では左側面)に位置する拡張ベイには、CD-RWドライブのほかにオプションの拡張バッテリユニットを装着することも可能だ。
本体左側面では、PCカードスロットのほかにIEEE1394ポートとモデムポートを装備している。なお、パームレストの横に位置する銀色のボタンは「SLAPボタン」だ。SLAPボタンは本体右側面の同じ位置にも付属している。
CPU Mobile Celeron-600MHz
メモリ 64MB
液晶 12.1インチ 低反射ブラックTFT
解像度 1024×768ドット/フルカラー
HDD 12GB
CD-RW R4倍速/RW4倍速/CD20倍速
通信 モデム
サイズ 275(W)×247(D)×34.5(H)mm
重量 約2.3kg
OS Windows Millennium Edition
Officeアプリ

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