このページの本文へ

マクセル、音楽用CD-R『PRO-X』の試聴会を開催

2000年10月13日 20時50分更新

文● 編集部 小磯大介

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日立マクセル(株)は13日、2日に発売した、音楽用のプロフェッショナル仕様CD-Rメディア『PRO-X』の試聴会を都内で開催した。

視聴したシステム。CDプレーヤー/プリアンプ/パワーアンプはアキュフェーズ(株)製で、それぞれ『DP-75V』『C-290V』『A-50V』。スピーカーは米JBL Automotive社(ジェイビーエル オートモーティヴ)の『4344MKII』。マニアには垂涎ものである

試聴会では、オーディオ評論家の斎藤宏嗣氏による解説のもと、オリジナルディスクとPRO-X、ならびにT社とF社の音楽用CD-Rメディアを実際に聴き比べた。

斎藤氏は、「音響のシステムはすべて、スピーカーにたとえられる」とし、「ユニット(本体)が基本特性を、エンクロージャー(筐体)がバランスを担当する」と説明。「それは、音楽用CD-Rメディアにも当てはまる」とした。日立マクセルの従来製品も含め、これまで、音楽用CD-Rメディアはエンクロージャーが大変シンプルだったと指摘した同氏は、「CD-Rメディアの、ポリカーボネートに始まるエンクロージャー部分にバランスよく技術を詰め込めば、音質は向上する。そして、その通りにして音質の向上をはかったPRO-Xは現在、音楽用CD-Rメディアの性能ではトップの位置にいる」と評した。

斎藤氏。音楽之友社刊の『stereo』誌などでお馴染みだ。10点中8点という評価が多いものの、手放しで誉めることは少ない同氏が、PRO-Xを現時点におけるベストとしたのは印象的だった

PRO-Xは、CD-Rメディアに書き込むための溝を作るスタンパーに、日立マクセル独自の“SSP(Super Smooth Precise)スタンパ”を採用し、溝を平滑化したのが特徴。同社従来製品に比べ、平滑化したことによりエラーレートを低減させたという。また、レーベル印刷には、ディスクの面揺れを防ぐためのバランサーに、これも同社独自の“HS(High Stability)バランサー”を追加。エンクロージャー部分は、HSバランサーに、強度を加えるための3層コートを加えた4層構造になっている。同社では、これらの技術により、プロの利用に耐えるCD-Rメディアが誕生したという。

日立マクセルが発表した、電子顕微鏡で、スタンパーの平滑度を比較した結果とする画像。「平滑化してエラーレートが下がると、情報量が増え、その分音域や音量が増す」(同社)という

実際にジャズやクラシック音楽を再生し、オリジナルディスク、そしてT社ならびにF社の音楽用CD-Rメディアと比べてみると、たしかにその違いは明らか。T社製メディアは、メリハリがある一方、音域は狭い。F社製メディアは、音域は広いものの、情報量がやや乏しい印象を受け、ともにオリジナルとの差を感じた。が、PRO-Xは、100%同じ、とまではいかないものの、かなり忠実に、音域、情報量ともに再現していた。

価格は680円。100円前後で販売されているデータ用CD-Rメディアでも音楽CDを作成できるのを考えると、市価で4~6倍という値段差は大きい。明らかとはいえ、微妙と言えば微妙な音質の差に、680円を払う価値があると思うかは人それぞれになるだろう。なお、日立マクセルでは、「ラジカセやパソコン用のスピーカーでも十分音の違いを体感できる」と、高級システムを持っている、いないに関わらず、音にこだわりたいユーザーにアピールしていくとしている。

会場に飾られていた『PRO-X』。値段は高いが、かつて他社製の音楽用CD-Rメディアを購入し、「これならデータ用で十分」という決断をした読者にすすめたい

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン