西暦2000年問題への対応をチェックするソフト『CHECK
2000』の開発元である、英Greenwich Mean Time社のKARL W FEILDER(カール・W・フィーダー)CEOにCHECK
2000と西暦2000年問題について聴いた。
CHECK 2000の生みの親であるフィーダー氏 |
2000年問題対策のために会社を設立
--CHECK2000を開発するきっかけは?「自分はもともとプログラマーだった。ソフト会社でエンジニアとして働いていたときに、顧客から西暦2000年問題について調べてほしいと頼まれたのが2000年問題に関わるきっかけとなった。はじめは、そんな大きな問題ではないと思っていたが、調べていくうちに重大な問題とわかった。そこで2000年問題への対策のためだけの会社を設立した」
「会社設立にあたって、2000年問題を世間に知らせる方法として3つの案を考えた。1つ目はウェブをつかって注意すること、2つ目は2000年問題に関して本を出版すること、3つ目は実際に2000年問題対策ソフトを作って販売すること。はじめの2つはユーザー側の意欲的な取り組みがなければ普及しないと思った。しかし、3つ目はこちらの努力でリセラーを通じて販売すれば普及できると考えた」
--なぜパソコンをターゲットにしたのですか
「パソコンをターゲットにしたほうがビジネスとして成立すると考えたから。当時、パソコンについて2000年問題について問題を意識する人は少なかった。メインフレームの世界では2000年問題用のツールはたくさんあったが、パソコンにはまったく無かったから」
Windows 98の発表日にエラーを発見
--Windows 98がリリースされたときに、すぐにOSが2000年問題に対応していないと気づいたのではないですか「もちろん。Windows 98がリリースされたのは土曜日だったが、その日の晩にはエラーを発見した。そこで月曜日には報道向けに発表した。月曜の晩にはマイクロソフトの弁護士から電話があって、発表を取り消せと言われた。しかし、結局はマイクロソフト側から2000年問題に対応していないという発表があった」
--現在のマイクロソフトとの関係は
「最近はとても友好的。月に2、3回は本社に通って、アドバイスを無償で提供したりしている。唯一結んでいる契約は守秘義務契約だけ」
--政府機関に対してもアドバイスをしているそうですが、どのようなアドバイスをしているのですか
「大きくわけて2つある。ひとつは2000年問題に関する啓蒙活動。政府機関では2000年問題への対応部隊に素人が多い。彼らに対する教育をしている。もう1つは、一般への告知活動。イギリスではテレビでメッセージを流してくれと依頼された」
日本語が2000年問題の壁に
--日本政府へアドバイスをされたことはありますか?「ない。要請があればいつでもアドバイスするつもりだ」
--日本の国民の2000年問題に対する認知度は、低いですか
「はっきりいって、存在していないといえる。イギリスでは3つのテレビ局を使った告知や、公共ポスターの配布、4万枚にわたる情報提供の冊子を作ったりしている。日本ではこのような活動はまったくない」
--日本でそこまで認知が低いのはなぜだと考えますか
「多くの要素があるだろう。ここ2、3年の景気の停滞で、人々の関心が問題からそれているのではないだろうか。また、言語の問題もあるだろう。英語で話す文化圏、インターネットの言語の違いから、英語圏の企業情報を手に入れるのが遅れていると考えられる。多くのアジア諸国では、国特有の暦の数え方では2000年問題が発生しないと考えている。これは間違いだ」
「日本語が世界の情報から壁を作る要因になっている」 |
西暦2000年以降の活動は
--2000年後をターゲットにした活動は?「2000年後もCHECK 2000は売れる。対応の遅い企業への販売や、後から発生する問題の対応に、CHECK 2000の開発、販売を続ける。どちらにせよ2020年ぐらいまでは、2000年問題に関する仕事が多いだろう」
--多くの企業は、自社の製品は西暦2000年問題に対応しているとホームページに掲載したいと考えられる。その場合どのような形で情報を示せば良いか?
「対応しているかどうかという情報を掲載するのは間違っている。2000年問題への対応は、はっきりいって不可能である。ソフトだけでなく、全ての分野についていえるが、間違っても西暦2000年対応していると公言しないほうが良い。どのような方法で2000年問題をチェックし、どのような対策をしたかを示しておいたほうが良いだろう」
2000年問題は迫り来る汽車
--2000年問題とは、どのようなものなのでしょうか「鉄道の線路の上で自分のほうに向かってくる汽車を見ながら、立っているようなものだ。西暦2000年も汽車もすごい速さで近づいてくる。轢かれないためには自分でよけるか、ヒーローが助けにくることを祈るしかない」
--最後に日本に対して一言
「必ず、第一ステップとして、シニアマネージャーを立ててこの問題に取り組むべき。IT部門ではなく、直接部門からの支援が必要。全社員に対して2000年問題を徹底的に教育してく必要がある。徹底的な責任分担が必要だろう」
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