本日、東京都・世田谷区三宿小学校と広島県・安佐動物公園、福井県・福井大学付属小学校を結んでの遠隔事業が行なわれた。三宿小学校では、世田谷区教育委員会による、パソコン担当者の研修会が同日開催されるため、20人近くの教員が集まり、授業を見学した。
今回のテーマは“動物園の台所”。前回と同様、安佐動物公園からの中継である。日本電信電話(株)(NTT)のマルチメディアテレビ会議システム『Phoenix(フェニックス)』で3方向からの中継となった。
まずはじめに、動物のえさとなる肉や野菜、そして冷凍された昆虫やひよこの説明が、各小学校への質問を交えながら始まった。子供たちのなかには「ひよこがかわいそう」という声が上がったり、丸ごとの鶏を見て、気味悪がる姿も見えた。
「草を食べる動物にはどんな動物がいるかな」という安佐動物公園の質問に、福井大学付属小学校の子供たちが答えた。次に、三宿小学校の番がきた。質問は「肉を食べる動物にはどんな動物がいるかな」。「トラ」「ハイエナ」などと次々に手を挙げて、子供たちは答えた。
次に、らくだとトラのビデオを見せながら、安佐動物公園による説明が始まった。まずは三宿小学校の子供に、食べ物を食べる時のあごの動かし方を、カメラに向かってやってもらう。カメラに向かってあごを一生懸命動かしている子供は真剣そのもの。
草食動物のらくだは歯をすりこ木のようにして食べ、肉食動物のトラは頬のほうで肉を噛むという。安佐動物公園からの「みなさん、らくだのように奥歯をすりあわせてください」という声に、子供たちは画面に向かってもぐもぐと口を動かしてみせた。
授業が終わると「あっという間だった」という声が、教室のあちらこちらで聞かれた。
1時間という授業時間では、このような遠隔授業は難しいのかもしれない。結局、用意されていた質問の時間を一部カットすることになった。
今回のテーマは、12月に1年生の国語で出てくる、“ずぅっと、ずっと、大すきだよ”という飼い犬の死を扱った文学教材と絡めて決められたもの。動物愛護や生命の尊重を、生活科やコンピューターの授業と絡めて教えていくのが、同小学校の目標だという。
2002年からの教育現場へのコンピューター授業の導入は、現在教員にとって大きな課題である。どういった形で導入するのがいいのか、そして教員自身がどうコンピューターを扱っていったらいいのかという問題を抱えている。
このような試みによって、少しでもコンピューター授業の道が開けるのであれば有効的な事業といえるだろう。