5日、日本でのTBT(Technorogy Based Training)システムを普及させようというTBTコンソシアムが、第2回TBTシステムフォーラムを、東京・青山で開催した。“ITによる経営革新--ナレッジマネジメントとラーニングシステム--”をテーマに、(株)野村総合研究所情報技術調査室室長の久保川俊彦氏による基調講演が行なわれた。
TBT(Technorogy Based Training)とは企業内で、パソコンやネットワークを利用して教育研修を行なうことをいう。例えばWebを使って遠隔教育をしたり、各自がパソコンで教育ソフトを使って学ぶことなどが挙げられる。米国では現在、多くの企業が注目する企業内教育の1つである。
「米国のインターネット戦略」
久保川氏は、「TBT(Technorogy Based Training)を語る前に、今がどんな時代であるのかを捉えなければならない。現代は、『常に今がどういう時代であるのかを考えなければならない』時代である」と述べた。同氏によれば、現代は、何が売れるのかわからないという時代なのだという。同氏によれば、日本では現在、インターネット上に出店しているサイバー店舗の成長が著しい。'98年11月現在、1万1000店舗が存在し、この3年間で約20倍の成長率をみせている。
米国に目を転じると、米ジェネラルモータース(GM)では、総売り上げの20パーセントがインターネット上での売り上げだという。米国では多くの企業が生き残りをかけて、インターネットを使ったビジネスモデルを展開している。
同氏によれば、米国ではビジネスを提案の段階から投資として考えており、投資が数年後に実る可能性に賭けた戦略を展開しているとのことで、日本企業との違いを強調した。
「米国のIT産業とナレッジ・マネジメント」
米国は'80年代、日本の急成長に追い上げられたこともあり、産業が不振になっていた。しかし、'90年代になってIT(Information Technology)分野に特化し、盛り返しを図ったのだと同氏は言う。また米国でベンチャーと呼ばれる企業や巨大企業が生き残っているのは、ナレッジ・マネジメント(Knowledge Management)の導入によるものだと強調した。つまり、企業内の既存知識を管理し、情報や知識の共有化を図ることが、各企業の稀少性を高めるのだという。米国企業の80パーセント以上がナレッジ・マネジメントを自社の競争力を維持するのに必要な戦略と位置づけており、情報に付加価値を与えることを重視していると解説した。(株)野村総合研究所、情報技術調査室室長の久保川俊彦氏 |
「情報付加価値の時代----“Time's Market”」
インターネット上の書店として有名な米アマゾン・ドット・コム社は、Time's Marketの成功例として代表的なものである。同社を通せば、今まで1週間以上かかっていた流通が、4日に短縮されて消費者の手に届くという。つまり現在求められているのは“Time's Market”=“時間が勝負”なのだという。現在日本は、情報が大切ということを理論ではなく、実感として感じる時代になった。あるコンビニエンスストアチェーンは、1ヵ月ごとに顧客の購入情報を統計し、サービスに反映させている。そう考えると、全ての産業が情報産業の1つであると同氏は述べた。そして情報優位性は経営優位性と重なり、情報から生まれる付加価値を重視する時代であるという。