カナダのOSメーカーQNX Software Systems社(以下QNX社)は、20日、同社の日本法人QNX
ソフトウェア システムズ株式会社を設立したと発表した。資本金は4000万円。カナダ本社の100パーセント子会社としてスタートし、2000年度の年間200万ドル(約2億1000万円)の売り上げを目指す。また、3年以内にQNX全社の売り上げの20パーセントを計上したいとしている。日本法人の従業員数は現在5名で、初代代表取締役社長にはQNX社のジェフ・ベアー(Jeffrey
Baer)氏が就任する。
ジェフ・ベアー氏 |
QNX社は'80年設立で、マイクロカーネルを採用したリアルタイムOS『QNX』(キュニクス)シリーズの開発を行なっている。昨年発表された、最新版の『QNX/Nutrino』では、従来のx86互換プロセッサーに加え、MIPS/PowerPC/SH/ARMなどのプラットフォームに対応。UNIX標準のAPI“POSIX”に準拠し、容易なアプリケーションの開発/移植が可能なほか、独自のGUI環境“Photon
microGUI”やHTML3.2に準拠したインターネットブラウザー“Voyage”を用意し、高いマルチメディア/インターネット環境を構築できる。
同社では“eデバイス”と呼ばれる次世代のアプライアンス向けの用途を想定。デジタルキオスク、自動車情報システムやWebPadなどへの応用を考えているという。
初代社長に就任したベアー氏は発表会の席上で、日本国内の組み込み市場で圧倒的なシェアを誇っている『ITRON』と『QNX』を比較。高度なメモリー保護機能による高い信頼性、POSIX
APIの採用といったQNXの特徴を列挙。中でも、同氏は「カーナビのようなグローバルな製品を考えると、国内でもオープンなAPIが必要になるはず」と、QNXの高い汎用性を強調した。
日本法人の業務は国内のサポート/トレーニングが中心で、Photon用の漢字フォント(Bitstreamフォント)、バックス社製の日本語FEP、日本語マニュアルなどを収録した“Photon
日本語サプリメント”の提供も行なう。また、今後台湾/韓国/シンガポールなど、他のアジア諸国に進出する際には、その拠点として機能する予定。国内市場では従来のパートナーとの関係を維持しながら、当初は日本市場に特有な2、3の製品に専念。QNX/Nutrinoの拡販に努める。
また、同社では、非営利目的のユーザーに対し、すべてのQNXの機能を無償提供する“Get.qnxプログラム”を7月中旬に開始する予定。登録は同社のウェブサイトのほか、7月12日から東京ビッグサイトで開催される「第3回組み込みシステム開発技術展(ESEC)」の同社ブースでも行なえる。
QNX/NutrinoのGUI環境。日本語対応のインターネットブラウザー/エディターのほか、Real PlayerやDVD Videoなども装備している。 |