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ナスダック・ジャパン・クラブ、関西で初の事業計画発表会を大阪にて開催――上場予備軍の発掘に熱

2000年05月29日 00時00分更新

文● 服部貴美子 

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26日に、大阪・北区のNTT西日本ソリューション・ラボ、メインホールにて、ナスダック・ジャパン・クラブが主催する“事業計画発表会”が行なわれた。

過去の事業発表会のうち、年内に1社、来年までに5社が上場!?

“事業計画発表会”とは、いわば上場を狙う成長企業と支援者たちとの“お見合い”の場。過去、東京と仙台で開催された実績があるが、関西地区では今回が初めての試みである。

ナスダックジャパンの営業企画室担当の黒田喜久部長は「(大阪での開催を)したくなかったわけではなく、できなかったというのが正直なところ。企業サイドからの要請がなかったため、遅くなったが、予想以上の反響をいただいたので、継続的に開催できればと思っている」と説明した。

今月8日、(株)デジキューブやマスターネット(株)など8社が“ナスダック・ジャパン市場”への上場を申請、後日受領されており、6月19日にも8社同時に売買取引を開始する予定である。

しかし、当市場の運営母体である大阪証券取引所のお膝元であるはずの関西に本社を置く企業は(株)デジタルデザインの1社のみ。最近、新興市場を良くも悪くも賑わせ続けてきたIT関連企業が“東高西低”であることを露呈したともいわれている。

しかし、記者会見のたびに、関係者が口にする“毎月10社程度の上場”という目標を達成するためには、上場予備軍となる成長企業を発掘するとともに、店頭やマザーズといったライバル市場にはないナスダックジャパンの魅力を打ち出さねばならない。

司会進行を務める黒田氏。各企業を訪問したときの印象や社長の人柄など、広報的なコメントも忘れない。
司会進行を務める黒田氏。各企業を訪問したときの印象や社長の人柄など、広報的なコメントも忘れない。



過去の事業計画発表会で、プレゼンテーションを行なった会社の中から「年内に1社、来年までには5社が上場できそう。また上場や資本参加までいかずとも、海外企業からの提携の話が持ち込まれた例もある」(黒田氏)と、徐々に成果が上がってきているだけに、初の大阪開催に寄せる関係者の期待は大きい。

コンピューター関連以外にメーカー系の案件も

この日、発表の機会を得たのは、6社。コンピューター関連の会社の中に、メーカー系の企業も混在しているのが特徴だ。また、聴衆サイドは、証券会社やベンチャーキャピタルといった“サポーター”だけでなく、ナスダックジャパンクラブの会員ならば一般参加も可能だったため、定員120名の会場に約180名が集まる大盛況となった。

当日会場に姿を現わした、KSベンチャーフォーラムの田中一人氏や、大阪商工会議所など、地元のベンチャー支援に詳しい窓口から、候補となる会社を紹介され、発表企業を絞り込んだらしい。
当日会場に姿を現わした、KSベンチャーフォーラムの田中一人氏や、大阪商工会議所など、地元のベンチャー支援に詳しい窓口から、候補となる会社を紹介され、発表企業を絞り込んだらしい。



1社あたりの持ち時間は20分で、5分間の質疑応答と10分間の休憩をはさんで、次の企業のプレゼンテーションへと移る。
 
(株)ビープラス(沖野裕郎社長)は、携帯電話等の販売代理店としてのネットワークを活かした、BtoBのビジネスモデルを特許申請中(2000年に日米で申請)。ミレニアムトレード(株)は、自称“町工場のお兄ちゃん”という呉宮仁鎬社長が、モノ作りの視点から考えた受発注システム『モノづくり21』について発表した。(株)ベンチャービジネス研究会(堀剛明社長)は、Linuxを主体とした、e-ビジネスのためのシステムやサーバーの構築、経営コンサルティングを行なう企業、(株)ユーディー(岡本敏秀社長)は、シルクプリントの技術を使った出産記念CD(オギャーCD)の販売を、0歳児専門のデータベース構築や、母親向けポータルサイトの企画に結び付けたいという考えだ。

(株)マーズ・コーポレーションは、Tシャツの製造販売をキッカケに、世界的な販売ネットワークをつくり、アパレル業界では難しいといわれるアフターフォローに強みをもつ企業。上場を目指す企業同士が力を合わせて著名人の話を聞こうという“情報目的セミナー”など、ユニークな発想で参加者をひきつけた。

最後に登壇した(株)ハートギフトのみ、サポーター会員限定のプレゼンテーションとなった。

主婦から起業したという池田文子氏が社長だが、有限会社から株式会社へとステップアップ。主婦から起業したという池田文子氏が社長だが、有限会社から株式会社へとステップアップ。



ソニーマーケティングとの提携も決まり、買い物からデート、パーティまでもバーチャルで楽しめる、遊び心のあるサイト構築と、利用者のDBを活用したダイレクトマーケティングを展開していく予定だ。年商1億円を目標に、2002年10月ナスダックジャパン上場を目指す。

プレゼンテーションの間の10分間に、名刺交換の列ができる。(株)マーズ・コーポレーションの北山友之社長(写真手前)は、聴衆者の多さに驚きをみせていた。
プレゼンテーションの間の10分間に、名刺交換の列ができる。(株)マーズ・コーポレーションの北山友之社長(写真手前)は、聴衆者の多さに驚きをみせていた。



参加者からも「成熟した会社が多いといわれている大阪にも、これほど若く、新しい発想をもっている企業があるのかと、頼もしく思った。ただし、ナスダックジャパン市場には、グロース以外にもスタンダード基準があり、さまざまなタイプの企業が上場を目指せるので、業種や社歴にとらわれず、法人営業を続けていきたい」(大手証券会社・企業部次長)など、新市場に期待を寄せる声が出ており、4時間にわたる会合にもかかわらず、常に満席の状態だった。

次回の開催予定は7月14日に、同会場にて。募集などは、ナスダックジャパンクラブのメーリングリストなどを中心に行なわれる。

なお、ナスダック・ジャパンでは、下記に紹介しているURL以外に、“.com”ドメインのサイトを6月中旬にも完成させ、「米ナスダック同様に機能させていく予定」(黒田氏)
。市場オープン後の株価の動きや、上場企業の情報開示は、ホームページを活用してということになりそうだ。

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