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第10回コンピュータ将棋選手権――“IS将棋”が2年ぶり2度目の優勝

2000年03月13日 00時00分更新

文● 編集部 山本誠志

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3月8日から3日間にわたって、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)で“第10回コンピュータ将棋選手権”が開催された。

同選手権は、コンピュータ将棋協会(CSA)が毎年開催し、市販品を含む国内外のコンピュータ将棋ソフトの実力を競うもの。『金沢将棋』や『柿木将棋』など、市販品と同名のソフトも参加しているが、そのほとんどはこの選手権を目標に、専用のプログラムを用意してきている。10日に行なわれた決勝戦の結果、今回は“IS将棋”が2年ぶり2度目の優勝に輝いた。

3日間にわたって開催された選手権には、国内外の45チームが参加。
8日の1次予選と9日の2次予選は、いずれも変形スイス式トーナメント(7回戦)で行なわれた。予選を勝ち抜いたのは“IS将棋”“柿木将棋”“KFEnd”“川端将棋”“Shocky3”の5チーム。それに、シードの“金沢将棋”(前回優勝)“YSS 10”(前回2位)“SHOTEST v4.0”(前回3位)を加えた全8つのプログラムで、10日の決勝戦を争った。

総当り戦による決勝は、残り1局の時点で4チームが横に並ぶ大混戦。結局“IS将棋”と“YSS 10”が5勝2敗で並び、勝ち点の差で“IS将棋”の優勝となった。今大会の最終結果は以下のとおり(開発者敬称略)。

優勝: IS将棋/棚瀬寧、後藤礼史、岸本章弘
2位: YSS 10/山下宏
3位: 川端将棋/川端正一
4位: 金沢将棋/金沢伸一郎
5位: 柿木将棋/柿木義一
6位: KFEnd/有岡雅章
7位: SHOTEST v4.0/Jeff Rollason(ジェフ・ロラソン、イギリス)
8位: Shocky 3/Pauli Misikangas(パウリ・ミシカンガス、フィンランド)

会場では、大盤による解説が行なわれた
会場では、大盤による解説が行なわれた



金沢将棋(前回優勝)とIS将棋(前々回優勝)の対局。ここでは金沢将棋がIS将棋を下した
金沢将棋(前回優勝)とIS将棋(前々回優勝)の対局。ここでは金沢将棋がIS将棋を下した



“IS将棋”を開発した棚瀬寧氏は表彰式の後、、次のように感想を述べた。

「今回の優勝は“しみじみと嬉しい”の一言です。前年までは、ここ(会場)に来るたびに緊張していたのですが、今回は初めて冷静に挑むことができました。この選手権に参加する方はすべて自分のライバルと言えますが、中でも山下氏(YSSの開発者)は一番のライバル。歳が近いということもあるし、住んでる家も近いんですよ。今回は優勝できましたが、対局の中で悪い点も発見できた。覚えているうちに手直ししないといけませんね」

優勝した“IS将棋”の開発メンバー
優勝した“IS将棋”の開発メンバー



今回は、イギリスの“SHOTEST”や北朝鮮の“KCC将棋”(旧称: シルバー将棋)をはじめとする外国勢の活躍も目立った。中でもフィンランドから参加した“Shocky 3”は、1次予選から勝ち上がっての決勝進出。今後も期待される。なお、“森田将棋”でおなじみの森田和郎氏は、今回は不参加。1年間の充電期間をおいて、次回に挑戦するという。

フィンランドから参加したPauli Misikangas(パウリ・ミシカンガス)氏。彼が開発した“Shocky 3”は、1次予選から決勝に勝ち上がった唯一のプログラムとなった
フィンランドから参加したPauli Misikangas(パウリ・ミシカンガス)氏。彼が開発した“Shocky 3”は、1次予選から決勝に勝ち上がった唯一のプログラムとなった



イギリスから参加した“SHOTEST v4.0”と、その開発チーム。前回3位の成績により、今回は決勝シードとして参加
イギリスから参加した“SHOTEST v4.0”と、その開発チーム。前回3位の成績により、今回は決勝シードとして参加



決勝戦の最終結果。すべてのプログラムが5勝2敗から2勝5敗にひしめく混戦で、「来年からは決勝枠を増やそう」という話も?
決勝戦の最終結果。すべてのプログラムが5勝2敗から2勝5敗にひしめく混戦で、「来年からは決勝枠を増やそう」という話も?

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