インテル(株)は19日、都内のホテルでノートパソコン用の新プロセッサー『インテルSpeedStepテクノロジ対応インテルモバイルPentium
IIIプロセッサ』の記者発表を行なった。同社の傳田信行代表取締役社長、ジョン・アントン(John
Anton)取締役副社長が出席し、デモンストレーションも多く行なわれるなど、昨年10月の“Coppermine”発表以来の大規模な発表会となった。
インテルの傳田信行社長 |
挨拶に立った傳田社長は、「日本では全パソコン出荷のおよそ50パーセントをノートパソコンが占めており、これは全世界を対象とした場合の割合である20パーセントと比べると極めて高い」と、日本でノートパソコンが支持されている現状について述べた。傳田氏は、電話におけるデータ通信が音声通信を超え、これが携帯電話にもおよぶことを考えると、モバイルパソコンへの支持は今後も続く、と続けた。
また、「インテルでも社内のパソコンの80パーセントがノートパソコンであり、企業においてもTCOの観点から見てもノートパソコンを利用するようになってきた」とも語った。企業でも受け入れられる要因として、ノートパソコンがデスクトップ並の性能を持つようになってきたことを挙げた。
これは、インテルが「(モバイルの)ニーズに関しては日本のユーザーから、(プロセッサーの)パッケージに関しては日本のメーカーからの要望に応えてきた」結果であるとし、各メーカーとインテルとが協力して研究開発してきた成果であると述べた。今回のモバイルPentium
IIIに搭載された“SpeedStepテクノロジ”も、そのような協力の中で生まれ、構想から製品化まで3年間を掛けたという。
インテルのジョン・アントン副社長。手に持っているのはモバイルPentium IIIの2種類のパッケージ |
傳田社長の挨拶に続いてアントン副社長が、さまざまなデモンストレーションを交えながら、SpeedStepテクノロジ対応モバイルPentium
IIIのパフォーマンスを披露した。
SpeedStepの動作を示すプログラム。青い線がコア駆動電圧、赤い線は動作周波数を示している |
SpeedStepテクノロジの動作については、日本電気のノートパソコンを使い、ACアダプターの電源コネクターを抜いたり差したりして、瞬時かつスムースに駆動電圧と周波数が切り替わることを示した。インテルによると、この切り替えは2000分の1秒というごく短時間で行なわれるという。
VideoWave IIIを使ってビデオ画像をMPEG-2ファイルにエンコードし、それを再生して見せた |
また、米MGI Software社の『VideoWave III』というソフトを使って、記者発表の模様を撮影したビデオから、MPEG-2ファイルのエンコードをソフトウェアのみでリアルタイムに行なう、というデモを行なった。また、作成したファイルを再生しながら電源コネクターを抜き差しし、再生にまったく支障がないことを見せた。
ソニーが開発中のバーチャルショップの画面 |
そのほか、ノートパソコンにも高速なプロセッサーが搭載できるようになったことのデモとして、ソニーが開発中というVRMLベースの、3Dのバーチャルショップを紹介した。画面内の立体物も多く、テクスチャーもたくさん貼られており、かなり重たい処理と思われるが、なめらかに動いていた。
SpeedStepと、従来の手法によるバッテリー動作モードのパフォーマンスの差。同じ消費電力を設定した場合、駆動電圧を下げることによって、動作周波数をそれほど下げ |
ないですむ
SpeedStepの動作の仕組みについての図。これによると、プロセッサー、チップセット、BIOSが連携してモードの変更/監視を行なっていることがわかる |
SpeedStepの2つのモードの遷移については、プロセッサー、チップセット、BIOSが対応することで、モード変更と監視を行ない、ソフトウェアではモード変更の指示を出すだけであるという。
現時点では、SpeedStepによる2つのモード遷移を利用するには、Windows
95/98/NT 4.0/2000しかサポートされていないが、インテルのアントン副社長によれば「SpeedStepはハードウェアレイヤーが重要な部分を占めており、この仕組みはかなりオープンな場で話し合いがなされている。将来のWindowsがOSレベルで対応する可能性や、(インテル以外の)ソフトウェアベンダーがSpeedStepに対応するソフトウェアを開発する可能性もある」という。
さらに、現時点では詳しくは言えないとしながらも、サブノートパソコンに向けたSpeedStep対応プロセッサーも予定されているとした。これは、今回発表されたコア電圧が1.6Vと1.35Vのものではなく、さらに低い電圧に対応したSpeedStepテクノロジ対応モバイルPentium
IIIを示すと考えられる。