東芝情報システム(株)とエヌ・ティ・ティエレクトロニクス(株)、(株)東洋情報システムの3社は10日、公開鍵暗号方式を使った電子認証局システム『CAstation@白山』を発表した。ユーザー1万人以上の大規模システムに対応でき、ISPやASP、金融業界やBtoBの電子商取引を行なう企業向けに売り込む方針。出荷開始は2000年2月。
『CAstation@白山』を発表する各社の代表。左からNTTエレクトロニクス社長の伊澤達夫氏、東芝情報システム社長の藤正顕氏、東洋情報システム専務の在賀良助氏 |
CAstation@白山は、公開鍵暗号技術インフラ(PKI)に基づき、証明書フォーマットの国際標準であるX.509に準拠した証明書を発行、管理する電子認証局システム。LDAPに対応したディレクトリーサービスコンポーネントを搭載しているため、多数の証明書を管理することができるという。
大規模システムを意識し、サン・マイクロシステムズ(株)のSPARC搭載サーバー(あるいは互換機)とSolaris上で動作する。公開鍵暗号アルゴリズムはRSA方式を採用。RSA方式は米国政府の輸出規制により512bit以下の製品しか輸入できないが、NTTエレクトロニクスが開発した暗号化エンジンを使用することで512~2048bitの範囲で選択することができる。
管理用GUIにはJavaを採用。コンポーネント間の通信には独自プロトコルを使用し、完全な分散化を実現できるという。ユーザーが証明書発行をリクエストする際はウェブ上で行なうことができ、また1人のユーザーに対し複数の証明書を発行することも可能だ。
同システムは、NTTエレクトロニクスが開発したWindows NTベースの認証局システム『プライベートCAビルダー』を基本とし、米PeerLogic社のディレクトリーサービスコンポーネント『i500』を組み込んでSolarisに対応させたもの。
価格は1000ユーザーのシステムが250万円。東芝情報システムが総販売元となり、NTTエレクトロニクスと東洋情報システムはシステムを仕入れて販売する形をとる。企業間の電子調達やオンライン証券取引など大規模なシステムへの導入を目指し、年間10億円の販売を目指している。
「新システムでインターネットビジネスの拡大を図りたい」と語る藤正氏 |
東芝情報システム社長の藤正顕氏は、「電子商取引が拡大すれば、PKIによる身元確認を行なう電子署名が、今後のセキュリティー技術の基盤になるだろう。3社で積極的にプロモーションを行ない、製品の認知度を高めていきたい」と語った。
ちなみにCAstation@白山(はくさん)の製品名は、開発コード“モンブラン”が由来。モンブランでは商標が取得できなかったため、日本語に訳して名付けたとのこと。