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【夏季特別企画インテル対談Vol.2】x86互換プロセッサービジネス、互換チップセットベンダーはどうなる?

1999年08月24日 00時00分更新

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夏季特別企画対談インテル編では、周辺チップなども含め、x86プロセッサーの動向に詳しい元麻布春男氏と小林章彦氏をお迎えして、Pentium IIIやAMD Athlonなどの、現状と今後についてお話を伺った。Vol.2ではx86互換プロセッサーと、互換チップ設置ベンダーの今後を予想していただいた。


Athlon登場後のK6の立場

編集部「Athlonはこれから、Athlon UltraとかAthlon Select、Athlon Professionalへ展開すると言っていますが、K6-IIIに続くラインはもうやめる方向なのでしょうか?」

元麻布「K6-IIIはよくわからない。最近のAMDを見ていると、K6-IIIをあまり押してないように感じるし。ただ、Athlonのモバイル版が作れないなら、その穴を埋めるプロセッサーとしてK6-IIIが浮上する可能性はあると思う。K6-IIIのデスクトップ(用の高クロック製品)はもうないと思う」

小林「(0.18μmプロセス製造能力を持つ)ドレスデンの工場が立ち上がったら、K6-IIIも安く製造できるので、デスクトップ向けとしても可能性は残ると思うけど」

元麻布「でも、0.18μmプロセスができるようになったら、まっ先に作らければならないのはAthlonであって、K6-IIIではないでしょ」

小林「Athlonの需要がどの程度あるのかがによると思う。あんまりハイエンド方向にシフトすると、(パソコンメーカーが)本当にAMDについてくるのかっていうのが気になる。ヘタをすると今まで築いたAMDのシェアを落とすことにもなりかねない」

元麻布「だってK6-IIIは、*価格が高い割には性能が良くないプロセッサーだからね」

*AMDのパソコン用プロセッサ-ラインナップちゅうでのコストパフォーマンスの比較において

小林「価格は安くしていく必要はあると思うけど、マザーボードなどを含めた価格で考えると、Athlonよりもずっと安い」

編集部「コストパフォーマンスという意味でよくないと?」

元麻布春男(もとあざぶはるお)。“DOS/V”登場以前からIBM PCクローンを個人輸入。インテルアーキテクチャーをはじめデジタルシーンにもっとも詳しい日本人アナリストのひとり。コラム“元麻布春男のソリッド・ステート・サバイバー”でもおなじみ。
元麻布春男(もとあざぶはるお)。“DOS/V”登場以前からIBM PCクローンを個人輸入。インテルアーキテクチャーをはじめデジタルシーンにもっとも詳しい日本人アナリストのひとり。コラム“元麻布春男のソリッド・ステート・サバイバー”でもおなじみ。



元麻布「そう。トランジスタの数が、Athlonとあんまり変わらないのにかかわらず、浮動小数点演算や整数演算性能が全然違う。デスクトップ用にどちらがいいのかっていったら、Athlonに決まっているわけ。だけどAthlonのモバイル用が作れないのだとすれば、K6-IIIでいくしかない。だから*AMD-750チップセットのモバイル用を出してくかどうか」

*AMD-750:AMDのAthlon用チップセット

小林「難しいでしょう」

K6-IIIは消えるのか?

元麻布「すると、モバイル用には当面、AMDのプロセッサーとしては、いま使っているALiのチップセットを使うしかない。すると、やはりK6-IIIでいくしかない。だから、0.18μmプロセスのK6-IIIがモバイル向けとして、そこそこいい価格で売れるという見通しがあれば、それをやるだろうし、やらないとしたら必然的にK6-IIIは消えてしまうことになる」

小林「AMDとしては消すのは難しい気がする。うまくAthlonに移行できればいいけど。デスクトップにしても、なかなかAthlonを思い切って採用するところはないでしょう」

元麻布「いや、コンパックもIBMもやるっていってるよ。ただし、8月じゃないっていうだけで」

小林「うん。やるっていっても、結局1モデルだとしょうがないわけですよ、かなりの量を作ってくれないと」

元麻布「いや、やってくれるでしょう、それは」

小林「やんのかな?」

元麻布「うん、やると思うよ。Athlonのシステムって、思っていたよりも、実物を触ってみたらかなりいいと感じたけど。例えば、K6-2とK6-IIIが登場したときにAMDが評価用に用意したマシンは、VIAなどのサードパーティーのチップセットを採用した、よそのマザーボードとか使ってたでしょ。それに比べれば、(Athlonマシンは)まともに動く。

K6-2とかK6-IIIの時にAMDが貸してくれたマシンは、何も触らなければ確かに動いたけど。じゃあ同じことを買ってきたマザーボードでやろうと思ったら、とたんに動かなくなることがザラにあったからね。K6のマシンを借りて、HDDを壊しちゃまずいから取り外しておいて、別なHDDつないで、自分でWindows 95や98をインストールするっていうだけでも、動かなかったからね。

それに比べれば、Athlonのマシンは多少設定をいじっても動くから」

小林「まあ確かにそういうことも、ありましたね」

元麻布「*ALiとか*VIAのチップセットの互換性問題は今でもあるわけで、だからこそ彼らは毎週とはいわないけど毎月のようにAGPのドライバーを更新しているわけでしょ。インテルのチップセットでは、そんなことないもん」

*ALi:台湾のAcer Laboratories社
*VIA:台湾のVIA Technologies社

小林「うん、だから、そこら辺が弱さですよ」

元麻布「弱いでしょ。だけどAthlonのシステムって、動くよ、普通に」

Athlon用チップセットを作るベンダーは?

小林「うん、っていうか、それがほかの互換チップセットベンダーが登場した後にも、ずっと続くのかっていうことなんですよ。いまのチップセットは一応評価用で、AMDのチップセットですよね。それで、AMDによれば、とりあえず最初だけは自社のチップセットを供給するけど、しばらくしたらほかのチップセットベンダーに作ってもらって、もう自社ではやらないって言ってますよね」

元麻布「でも、台湾のMicrostarの、あれ何だっけ、『MS6167』だっけ、AMD-750チップセット使ったマザーボードは、みんなあれみたい。いまあれしかないんだよ。ASUSTekはやめたようだし。

最初にやるって発表していたのが、ASUSTek、Microstar、Gigabyte、Biostarの4社がでしょ。とりあえず、どこも開発はできて、1度は内覧会などで見せたんだけど、それは製品とは別っていうことらしい。開発はするけれど、それはあくまでサンプルであって、製品化は別っていっていたわけ。

それで、蓋開けてみたらMicrostarだけしか製品を出してないんだよね。それがなぜかっていうと、わからない。それはチップセットの供給に難がある説、チップセットの互換性に難がある説、インテルから圧力がかかった説、いろいろあるのだけど、何が原因なのかはわかんないわけ。でもMicrostarだけはとりあえず出していると。

だから、ホワイトボックス系でAthlon使うとみんなMicrostarになる。1社しかないからね。たぶん、ほとんどリファレンスデザインのマザーボードみたいなもんだから、普通に動くんじゃないのかな」

編集部「最初のチップセットはAMDのAMD-750のみですよね」

元麻布「そう。AMDしかない。*(ほかのチップセットベンダーからは)年内は、出ないんじゃないかな」

*編集部注:この対談が行なわれたのは8月8日。8月10日にVIAがAthlon用チップセット『Apollo KX133』を発表した。量産出荷は第4四半期とアナウンスされている。

編集部「そんなに先になりますか」

元麻布「どうだろうね。年内、危うい気がするけどな」

小林章彦(こばやしあきひこ)。元月刊スーパーアスキー誌デスク。スーパーアスキー休刊後、編集長の小川氏、副編集長の打越氏とともに独立し、編集プロダクション“デジタルアドバンテージ”を設立。パソコン関連誌を中心に活動中。
小林章彦(こばやしあきひこ)。元月刊スーパーアスキー誌デスク。スーパーアスキー休刊後、編集長の小川氏、副編集長の打越氏とともに独立し、編集プロダクション“デジタルアドバンテージ”を設立。パソコン関連誌を中心に活動中。



小林「チップセットベンダーの熱がどうかという問題がありますよね。VIAは、いままでAMD担いでやろうって言っていたけど、自社でこういった(Cyrix MIIやWinChipなどの)プロセッサーを持ち始めてしまうと、スタンスがまた変わってくるでしょ。VIAは自社で、Socket370系のプロセッサーを持つわけだから、P6(アーキテクチャー)のチップセットをもっと一生懸命やったほうがいいんじゃないか、っていう声が大きくなるのは必然なんじゃないのかなぁ。わざわざ、開発リソースを2つに分けて、Athlon用のチップセットを開発する必要があるのか? っていう話は当然出てくるだろうし」

元麻布「どっちかに注力しなきゃしょうがないもんね」

小林「そうそう、で、ALiはハナからあんまりやる気ないでしょう」

元麻布「ALiはこの前にP6に関するライセンスをインテルから受けたことでもわかるように、あんまりAMD(Athlon)をやる気がない……。そうなってくると*SiS?」

*SiS:台湾のSilicon Integrated Systems社

小林「SiSは、高性能なプロセッサー用のチップセットを開発するという方向性はあまりなくて、むしろ(周辺機能を)インテグレートして安い物を作ろうっていう路線に入ってる。 *630を見ても、グラフィックスコアやサウスブリッジまで統合して、1チップにするという路線。そうするとAthlon用みたいなチップセットをやる気はあんまりないんじゃないか、っていう気がするけど。そうすると、(Athlon用チップセットを)作ってくれるとこは、実はないんじゃないかという疑問が」

*630:SiS630を指す。5月に発表されたPentium II/III、Celeron用チップセットで、North Bridge、South Bridge、3Dグラフィックスアクセラレーターチップを1チップに統合した製品。

統合プロセッサー時代がくる

元麻布「っていうかね、チップセットをサードパーティーに作ってもらう時代って、もう終わったんじゃないのかなぁ。だって、(価格的に)下のほうってさ、いま例えばインテルの 810チップセットとか、グラフィックスと結びつきがあったみたいに、次に一体化するとしたら、もうプロセッサーも入っちゃうよね」

小林「うん、入る」

元麻布「そうしたら、サードパーティーの力はもう発揮できない。逆に言えば、だからこそVIAがプロセッサーをいっぱい買っているわけで、チップセットの商売に次はないって気づいているからだよね、たぶん」

小林「するとSiSはどうするのでしょう」

元麻布「道ないんじゃない。だからインテル互換で細々と食っていくぐらいしかないんじゃないかなあ」

小林「となると、やっぱり価格の安いチップセットを作って、互換チップやインテルの安いプロセッサーと組み合わせるような方法を狙うってことになるんでしょうね」

元麻布「少なくとも、VIAがああいう方法にいったことで、インテルの互換の安物路線っていうのが1人いなくなったからね。もちろん Socket370系でVIAがいくんならまた話が違ってくるけど。でも次のインテルプロセッサーのバスはもう、たぶんライセンスしないよ、インテルは」

小林「うん、まあそうでしょうね」

元麻布「特にVIAにはしないと思うよ」

小林「そして、意外にSiSは狭間で生き残る……」

元麻布「……っていう可能性はある。ただ、あくまでもニッチだけどね、安さが売り物という。だからその辺でVIAとALiはそれに賭けるしかないんじゃないかな。で、VIAはチップセットとプロセッサーをすべて持って開発するメーカーになりたいと思っているからね。いけるかどうかわからないけど」

小林「難しいでしょう」

元麻布「あと何だっけ、インテルが開発しているっていう話のインテグレートチップ」

小林「Timnaでしょ」

元麻布「そう、*Timna。あれに対抗できればいいと思っているんじゃないかな」

*Timna:プロセッサーとNorth Bridge、グラフィックスチップを統合したプロセッサー。

編集部「じゃあPCのチップセットをやろうと思ったら、結局プロセッサーもやるしかなくて、それができるメーカーとなるとインテルとAMDしかないと。あとはVIA……」

元麻布「あとはニッチ的にALiとSiSが残るかもしれないけど、もうメインストリームではないような気がする」

小林「もうSiS自体、メインストリームから外れているじゃないですか。常に価格の安い、エントリーの、ちょっと前のプロセッサーに組み合わせて、本当にエントリーのエントリーの、インターネット端末に近いところに使われるって感じでしょ。SiSのチップセットって。マザーボードも独自の形状を採用するようなブック型に載っているとか」

インテル以外のチップセットのマザーボードは秋葉原にしか売っていない

元麻布「7月にシンガポールに行ったときに、コンピューターショップ行ったけど、あと、年に何回かアメリカに行ってやっぱりコンピューターショップのぞくわけだけど。Slot1っていうか、インテルのP6バスタイプ対応のサードパーティー製チップセット(を使用したマザーボード)を売っている国って、日本だけっていう気がする。もうほかのところではまったく相手にされていない、はっきり言って。

だってメリットないもん。440BXのマザーボードが安いところでは、1万円もしないんだよ。こうなってしまったら、サードパーティー製のチップセットを使う理由はないよね」

小林「確かに理由はないですよね」

元麻布「だから、逆に言えばVIAは、口ではいろいろ強いこと言ってるけど、その情勢は知ってると思うわけ。プロセッサーを持たなきゃもう勝負できないというのは、本当は彼らが一番よく知ってるんじゃないかな。シンガポール(のコンピューターショップ)行ったけど、Socket7系は別として、少なくともSlot1系やSocket370系で、インテル以外のチップセットなんて、まったくお呼びじゃなかったよ」

小林「確かに。日本でも少ないのは少ないですからね」

元麻布「でも、秋葉原では売っているじゃない。ほかの国では、あんなにも売ってないって。だれも相手にしてない」

小林「秋葉原はテストマーケティングの場っていわれているから、台湾でも。あそこで売れない製品は、世界中どこへ行っても売れない(笑)。でも、あそこで売れたからって信じちゃいけないって法則もあるみたいですけど(笑)」

編集部「必要条件だけど十分条件ではない?」

小林「そうそう。秋葉原で売れないような製品は……」

小林・元麻布「ハナから芽がない」

小林「世界中のだれも興味を示さない」

元麻布「サードパーティー製のSlot1、チップセットもそうだと思うよ。だからVIAがそっちの方向にいくのは当然なんじゃないのかな」

小林「行かざるを得ないでしょうね。あるいはAMDにくっついて心中するか……」

元麻布「AMDも、まだ台湾メーカーの支持は欲しいだろうけど、チップセットに関して、もうサードパーティーに頼っていたのではだめだというのも、わかっているだと思うよ」

VIAはマザーボードベンダーになるか?

小林「だから結局AMDについていっても次のインテルになるだけだってことなのでしょう。VIAとしては、AMDのチップセット事業が順調に立ち上がってしまったら、用なしになるっていうのが見えてるってことですよね」

元麻布「そうそう」

編集部「VIAはチップセットやプロセッサーを統合していく方向なのでしょうか。チップセットからマザーボードまで一応一貫して作れる、そういう意味ではラインアップとしてはインテルに対抗できると見えますが」

元麻布「そこまではわかんないんだよね。マザーボードがわからないね」

小林「マザーボードはちょっと難しいでしょう」

元麻布「というかまあ、台湾にはマザーボードメーカーいっぱいあるのだから買えば、そんなものすぐ参入できるけれども、(台湾のマザーボードメーカーは)やっても得しない仕事でもやるからね」

小林「そうそう、マザーボードベンダーを買収しなくても、台湾のベンダーはいくらでも作ってくれるところがあるから意味ないでしょ」

編集部「そうするとVIAはもうSlot1用のチップセットとか、あるいはSocket370用のチップセットととか、本気でやらないのでしょうか?」

元麻布「やらないと思うし、やったとしてもインテルの次世代のバスは、もうライセンスされないでしょ。いまみたいにVIAとインテルが法廷でもめるような状況で、ライセンスを出せっていっても、延々交渉が長引いて、じらさせるだけでね」

小林「まあ、たぶんないでしょうね。(VIAは)独禁法上もライバルメーカーって認められるので、情報公開しなくても独禁法に触れることはないしね。SiSの場合は、情報を出してくれって言われればインテルは出さざるを得ないと思うけど」

元麻布「SiS、ALiだったらそうだね」

小林「VIAの場合はライバルメーカーだからね、明らかに。AMDがくれって言ってるようなもんでさ。それは普通、出さないでしょう」


特許で周辺を固めるインテルの次世代プロセッサー

編集部「次世代のバスっていうのは、どのプロセッサーのバスになりますか?」

元麻布「P6のライセンスって、この前の訴訟を見るかぎり、かなり限定がついているよね。だからPC100、いま100MHzで動いているやつを133MHzで動かすことすらライセンスに抵触するような、ギチギチのライセンスになっているみたいだから。たぶん今度の、Willametteのバスは、いまのP6のバスとそんなに変わらないと思うけど、それでもたぶんどっかが変わっていて、それに関して特にインテルのライセンスを出すことになる」

編集部「じゃあ、Socketから何から、またもう1回変わると」

元麻布「Socketはもうすぐ変わるよ。P6ですら変わる。だってもうすぐ、Socketになるのわかってるじゃん、Slotから。で、来年いっぱいはSlotは生き残るけど、再来年はもうSocketになってしまう。“PGA 418”っていうやつになる。そうするとVIAは苦しい」

小林「難しいですね、もうライセンスが切れるでしょう。まあナショナルセミコンダクター(NS)のライセンスを使って、どこまでやれるかですよね。だからNSのクロスライセンスがどこまで有効かっていうのが問題になるでしょう」

元麻布「NSのライセンスはけっこう強そうだけどね」

小林「けっこう強力なクロスライセンスらしい。あのダブルブランドがどこまで有効に使えるかですよね。それに、NSのクロスライセンスも永遠に続くわけじゃないだろうし」

元麻布「NSの持っている、アナログのテクノロジーってインテルは持ってないからね」

小林「だから、NSとしてはそこが強いところだって、GEODEの発表のときに言ったみたいだけれど。でも、インテルもアナログ系の技術者募集しているんですよね(笑)」

元麻布「通信系(技術者)とかはいるんだけどね」

小林「そういう意味では着々と力を蓄えつつあるってところでしょ」

元麻布「でもアナログって簡単にいかないからね。大変だよ」

編集部「テキサスインスツルメンツ(TI)はどうでしょう。アナログもあって、統合チップというか組み込み用のものもあって」

小林「TIは次世代プロセッサー開発、やめたからね」

元麻布「基本的にはDSPカンパニーになっちゃったから」

小林「互換x86はもうやめるって、社長が替わったときにプロジェクトを解散しちゃったからね」

元麻布「メモリーはマイクロンテクノロジーに売ったしね。もう、完全にDSPカンパニーですね。アナログ部門は少し残っているけど」

小林「あとはSTマイクロエレクトロニクスぐらい」

元麻布「STマイクロねえ」

小林「うん、アナログと一応両方持ってるというとね」

編集部「安い互換チップメーカーで残ったRiseはどうなるでしょう? mP6IIといった製品も発表はしていますが、ほとんど採用されたという話を聞きません。なくなってしまうのでしょうか?」

元麻布「なくなってしまうか、SiSが買うかだね。ただ買ったら、インテル協調路線は取れなくなるから、決断だよね」

小林「x86互換チップ技術を買える大きな会社はSTマイクロぐらいしかないでしょ」

元麻布「STマイクロ、やらないんじゃないの」

小林「やらないのかな。大きな会社で一応やりたがっているのはあそこぐらいなんだけど」

x86プロセッサービジネスは火中の栗か

元麻布「だっていまのトレンドでは、マイクロプロセッサーを売るっていうのは、赤字の事業を始めるっていうことと、ほぼ同義だから。それだけで株価が悪くなるよ」

小林「半国有企業のSTマイクロとしてはあまり関係ないのでは、そういうところは」

元麻布「いや、それやっぱ儲けを追うでしょう。少なくとも株式公開している企業は、身動き取れないと思うよ、プロセッサーの買収については。本当に完全なプライベートカンパニーか、株式公開してても創業者社長が半分以上の株持ってるようなワンマン企業じゃなきゃ買えないでしょ。

だって株主代表訴訟が起きたら大変なのが、見えているもの。AMDもまた、株主が怒っているけど、もういまはマイクロプロセッサーやるっていうのは、ほとんど自滅するのと同じだからさ。結局、いま世の中で言われているのは、マイクロプロセッサーが儲かるんじゃないんだ、インテルが儲かっただけなんだっていうのが徐々に明らかになりつつあるってことなんだよ。だってインテル互換で黒字のところ、1社もない」

小林「そうですね」

元麻布「1社たりともない。インテルは儲けた。でも2匹目のドジョウすらいないマーケットかもしれないっていうのが、いま株式会社、証券会社の感じるところでしょう」

編集部「過去においてもそうですか」

小林「まあ、黒字になった会社は、AMDが一瞬黒字になったぐらいで、ほかはないね」

元麻布「トータルは赤でしょう?」

小林「当然赤です。株価がちょっと上がったからいいようなものの」

元麻布「そっちからも資金、手当しているからね、何とかなっているけど」

(Vol.3に続く)

【夏季特別企画インテル対談Vol.1】Athlon登場、Coppermineは……
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/
0819/topi02.html

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