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日本DECが、“64-bit UNIX initiative”について発表

1998年04月14日 00時00分更新

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 日本ディジタル イクイップメント社は、6日に米DECが推進している“64-bit UNIX initiative”に、米タンデムコンピューターズ社が参加表明したことを受けて、記者向けの説明会を開催した。



 “64-bit UNIX initiative”は、米インテル社が'99年に発売する予定の64bitCPU“IA-64”の標準UNIXの開発を目指し、今年1月に、米DECと米シークエントコンピュータシステムズ社が提唱したもの。日本DECの白倉俊雄取締役企画本部長は、「米タンデム社の参加表明は、米コンパックコンピュータ社がUNIXのサポートを表明したのと同じ意味を持つ」と語った。



 また、日本DECの市原隆保企画本部製品企画部長が、米タンデム社の発表した内容や、“64-bit UNIX initiative”の内容などについて説明を行なった。

 米タンデム社は6日、“64-bit UNIX initiative”に参加するとともに、米タンデム社のNonStop Cluster技術と米DECのTruCluster技術の相互交流も行なうという。これらの提携により、Digital UNIXは、2002年までにUNIXのマーケットで20~25パーセントのシェアをとることを目指している。

 市原氏が、Digital UNIXが他のUNIXと比べ優位にある点として、基幹業務での実績がありバグの少ない安定した(枯れた)OSであること、64-bitアプリケーションが豊富なこと、米インテル社からの支持があること、WindowsNTとの親和性が高いことなどを挙げた。

 中でも、WindowsNTとの親和性に関しては、複数byteのデータをメモリーへ格納する際の方式“エンディアン(endian)”において、Digital UNIXは、米ヒューレット・パッカード社や米サンマイクロシステムズ社よりも優位に立っているという。エンディアンには、0123という数値を格納する際に、01を1byte目に、23を2byte目に格納するビッグ・エンデイアン(big endian)と、その逆のリトル・エンディアン(lttle endian)がある。米HP社のプロセッサー『PA-RISC』や、米サンのプロセッサー『SPARC』がビッグ・エンデイアンを採用しているのに対し、DECの『Alpha』プロセッサーは、インテルのプロセッサーと同じリトル・エンディアンを採用している。エンディアンの方式の違いは、WindowsNT上で動作するアプリケーションをコンバートした場合に速度が遅くなる、UNIXとWindowsNTの混在したネットワークにおいて処理速度に遅れが出るといったデメリットがあり、エンディアンの方式が同じDigital UNIXのほうが、他のUNIXよりもWindowsNTとの親和性において優位性があるという。

 また、市原氏は、9日に米サンと富士通が、IA-64対応のUNIであるSolarisを共同開発することで提携したことに触れ、「あの発表は、マーケティング上のメッセージに過ぎないとみている。サンがIA-64対応のSolarisを出せば、自らを削ってしまう可能性がある。IA-64とSPARCを両立させないと、サン自身が死んでしまうが、両立がうまくいくとは思えず、あの発表が、どこまで本気かわからない」との見方を示した。

白倉俊雄取締役企画本部長と市原隆保企画本部製品企画部長への質疑応答は以下のとおり。

----IA-64とSPARCが両立しないと言ったが、IA-64とAlphaは両立するのか?

 「SPARCはIA-64とパフォーマンスはほとんど変わらないが、Alphaは常にハイエンド、IA-64はミドルからローエンドという棲み分けができている。2月に製品のロードマップを発表しているが、Alphaはインテル製品に対して、処理速度は常に倍で、価格は2割増し程度を維持している。AlphaとIA-64の棲み分けはうまくいくと考えている」。

----64bitのWindowsNTが出た場合に、ユーザーがそちらにシフトする可能性はないのか?

 「アプリケーションによって違うが、メッセージング、インターネットの分野ではNTに流れる可能性はあると思う。しかし、科学技術系の計算、データベースエンジン、企業の基幹業務系などの分野ではUNIXのほうが強い。アプリケーション次第であって、全面的にNTに移行するとは考えていない」

----インテルとの関係は?

 「米DECは昨年11月、DEC所有の工場をふたつ700万ドルでインテルに売却した。しかし、これは工場を売ったのであって、Alphaを売ったのではない。財務上の負担を減らすために、アウトソーシングを行なっただけだ。工場売却の条件として、インテルは向こう10年間、DECの注文に応じてAlphaチップを製造しなければならない。Alphaチップについては、2002年までのロードマップがすでにできている」

----アメリカでは、“DECはもうなくなる”とサン、HPなどがすごい攻撃をかけていて、DEC製品の売上が落ちているというが?

 「攻撃を受けているのは事実。しかし、影響はほとんどない。まだ発表できないが、1-3月の業績を見ていただければ、そんな影響は出ていないことはわかるはずだ」

(報道局 佐藤和彦)

・米タンデムコンピューターズ社の“64-bit UNIX initiative”への参加表明のリリース
http://www.dec-j.co.jp/ic/pr/text/19980407.html

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