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VistaSourceの戦略

Applixware Office 5.0(日本語版)今年中にリリース予定

2000年08月30日 00時00分更新

文● 関 博之

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 ターボリナックス ジャパン(株)(以下ターボリナックス)は、8月22日ダイヤモンドホテル(東京都千代田区一番町25番地)で「Turbo Linux月例ソリューション戦略セミナー」を開催した。このセミナーは月1回の予定で行なわれ、先月から始まったもの。2回目となる今回は、ターボリナックスの業務内容および製品紹介が行なわれた。後半はLinux上のオフィススイートについての紹介をサン・マイクロシステムズ(株)、(株)メディアヴィジョン、米VistaSource、(株)ジャストシステム、(株)アトラクスが行なった。
 日刊アスキーLinuxでは、後半のLinux上のオフィススイート紹介を数回にわけてレポートしている。今回はVistaSourceの「Applixware Office 5.0」発表の模様を紹介したい。

米VistaSourceアジア製品ポーティング・プロジェクト事業部マネージャー久枝秀次氏の講演

VistaSourceの紹介

 壇上にはVistaSourceアジア製品ポーティング・プロジェクト事業部マネージャーである久枝秀次氏が立った。まず最初に、VistaSourceは、1999年秋に米ApplixのApplixwareチームがLinux部門に移行し、同年Linux部門からVistaSourceという会社を設立したと語った。このときに、Cosource.comというオープンソースをサポートしている企業を買収し、同社の社長であるBernie Thompson氏がこのVistaSourceの社長に就任したという。この会社設立は、Linuxへの本格的な取り組みと、オープンソースコミュニティとの新しい融合が目的であると述べた。
 また、これまでのAppulixware Officeの運用実績をみてみると、UNIX上での標準オフィススイートとして、Solaris、AIX、HP-UX、UnixWareなどのプラットフォームをサポートしているので、銀行や政府機関、メーカーなどの幅広いクライアントに普及していると語った。

Applixware Office 5.0の新機能

 このApplixware Officeは、Words、Spreadsheets、Data(ORACLE、Sybase、Informix等のRDBMSからデータを検索、更新するツール)、Graphics、Presents、Mailからなるオフィススイートである。

 次に同氏は、Applixware Officeの新バージョンであるApplixwere Office 5.0の新機能について説明した。

全体からみた新機能

  • Linuxネイティブソフトウェア……使用メモリが少ない。高速性や堅牢性がいままでのApplixwareより大幅に向上した
  • GTK(GIMP Tool Kit) Widgetsの採用……バブルヘルプや新しいルーラなどの採用により操作性が向上している。また、ドラッグアンドドロップをサポートしている
  • TrueTypeフォントのサポート……「スタンダード本明朝」と「スクエアゴシック」TrueTypeフォントをバンドル。
  • RPM(Red Hat Package Manager)形式でのインストールが可能

Applixware Words

  • 自動文章校正機能のON/OFF設定が簡単
  • ページ数、単語数、文字数などの文字カウントが、一目で分かるようになった

Applixware Spreadsheets

  • オートフィルによる自動埋め込みに対応
  • HTML形式として保存可能(将来はXMLサポートを視野に入れている)
  • ハイパーリンクの埋め込み

Applixware Data

  • MySQLを使用し、高速な通信速度とデータサイズの縮小が可能になった。また、ゲートウェイを追加し、異なるネットワークシステム間のデータの行き来のパフォーマンスがアップした
  • SHELF(SHared Extension Language Facility:プログラミング言語「ELF」を利用した開発ツール)ODBCを追加。ODBCに接続する場合カスタマイズができ、小さなデータでアクセス可能

などとなっている。

VistaSourceの今後と日本市場での展開

 最後に同氏は、今後の活動において、SHELFの公開、SHELFへの提言の受け入れ、GTKへの協力など、オープンソースコミュニティへの貢献や還元を目指していくという。また、同社が運営を開始した「SmartBeak.com」によって、How ToやFAQなどを中心としたコミュニケーションの場を提供していくと述べた。
 また、「Applix Anyware2(仮称)」の強化・推進を図ると語った。これは、ブラウザを使用することによってどこからでもApplix Anywareを使用することができるというものだ(Applix Anywareは、Sun Microsystemsにより、オフィスインテグレーションツールとしては初の"100% Pure Java"アプリケーションに認定された)。
 国内での展開としては、今後のApplixware Officeに日本語特有の機能(縦書き機能、ルビの使用など)を充実させることを目標としている。そして、SmartBeak.comを通して世界のユーザーやVistaSourceサポートチームとの連携を図るという。また、今後開設される日本版VistaSourceサイトにより、Applixware OfficeユーザーやLinuxユーザーの声に対応していき、SHELFやApplix Builder(オブジェクト指向のグラフィカルアプリケーション開発環境)、ELF(Extension Language Facility (拡張言語機能)Applixwareのカスタマイズやアプリケーション開発を行なうための環境)によるソリューションの提供も行なっていく予定もあるそうだ。

 Applixware Office 5.0(日本語版)は、12月には販売したいという。

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