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オープンソースでつくるグループウェア

1999年12月30日 04時58分更新

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オープンソースでつくるグループウェア表紙画面

トップマネージメントサービス(http://www.tms-px.co.jp/)

発行(株)ローカス 発行 (株)角川書店 発売 ISBN 4-89814-050-5 4800円(本体) CD1枚付き

 Linux上で徐々にビジネス系のソフトウェアが増えつつあります。データベースサーバはずいぶん増えてきましたが、企業の業務と非常に結び付きの強い、グループウェアが出始めました。

 今回の本は、オープンソースを表明している「Sky Board」というグループウェアの解説本というか、CD-ROM付きのインストール本です。本のCD-ROMには、Sky Boardで用いられるPostgreSQL、Apache、PHPなども一緒に入っています。認証を必要とするので、そのためのApacheのモジュールも入っています。しかし、CD-ROMは本を作った時の試用バージョンで、どんどん機能は向上する由が書かれていて、実際にもWebで最新のものを使ったほうがよいとの話をメーリングリストでも読みました。

 本書はグループウェアとはどういうものかの説明、CD-ROMのインストールの説明、Sky Boardの操作説明の3つの説明がかなり混ざって書かれています。それぞれを別に分けて書くと淡々とした本になると感じたのか、意識して3つの説明が順番に繰り返し出てくるように並べたと思われるのですが、読む側から、あるいはインストールして評価してみようという人にとってはちっとも便利ではありません。すべての人をターゲットにしようとしたのでしょうか。

 この本に従ってTurbo Linuxの入っているマシンにインストールしてみました。インストールの説明はまずまずの詳しさで、若干の違いはあるものの特に問題なく行なえました。けれども、Sky Boardの使い方および管理を合わせても120ページしか説明はなく、この部分で説明不足を感じます。特に、管理者のログイン関係ははまります。

 グループウェアとは何か? を初歩から解説していますが、これは不要でしょう。そういう本は世の中にごろごろしていますから、それらの本に任せて、もっとSky Boardを通してグループウェアの機能を説明してほしい。

 巻末にはPHPのソースが40ページも載っていますが、実際に何かやる場合にはCD-ROM中のソースを見るので、ただソースが延々と掲載されているだけでは無意味です。それよりもCD-ROMの中身の概説を数ページ書いてくれたほうが嬉しい。

 全体に工夫はいろいろしているのですが、空振りです。もっと普通に、情報や例をきっちり出してくれたほうが、読んだとき身につく本になるでしょう。

藤原博文

プロフィール

藤原博文

パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始めすでに20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/

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