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競争ゆえに……

1999年11月26日 00時00分更新

文● 塩田紳二

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 Windows 2000の出荷時期が発表されたり、Microsoftがいろいろとプロモーションを開始しているようなので、最近では、Windows 2000(略してW2kというようだが、なんだかY2kと紙一重という感じである)が話題である。来月ぐらいには、雑誌などの付録にWindows 2000のRelease Candidate版(RC)がオマケについたり、一般βテストユーザー向けに配布が始まるなどするので、ますます、話題的には多くなるだろう。

 筆者も仕事柄、Windows 2000を使わないわけにはいかないので、いろいろと触ってはいるが、たしかに、Windows NT 4.0に比べると、Windows 98的であり、よく言えば、スマートになった感じである。ちゃんとしたマザーボードで使えば、放っておくと、スタンバイ状態になる。うちのマシンは、マザーボードから、電源のファンを制御しているので、ちゃんとファンが全部止まり、完全に静かになる。そして、最後には、ディスクにメモリを書き出して、完全に電源が切れる。再度電源を入れると、元の状態に戻ってくれる。一度このハイバネーション状態になったディスクを間違えて、別のマシンに付けてしまったが、起動時のチェックで、ハードウェア構成が違っていることが検出され、通常のブートが開始された。まあ、そこそこの出来というところだろうか。

 だが、新機能は、どうでもいいのである。いままで、苦労してきたのは、思ったとおりの機能が追加されなかったからではなく、実稼働させると、いろいろと出てくる不具合が、いろいろあったからである。Microsoft製品に対する揶揄の1つに「Microsoftはバージョン3から」というのがあるが、これは、3回目にようやくまともな状態になることが多かった(たとえば、Windows 3.0とか、NTのService Pack3とかである)からである。その意味からいえば、Windows 2000を実稼働させるためには、もう少し(おそらく夏過ぎぐらいまで)待たねばならない。もっとも、これだけ遅れたのだから、少しは、クオリティが上がっているのかもしれない。

 世間は、OSのリリースにバグが付き物であることは、ようやく理解し始めている。それはMicrosoftの「功績」といえるかもしれない。Linuxだって、新バージョンのカーネルを出した数時間後にパッチが出たことだってある。古くからのLinuxユーザーは驚かないかもしれないが、昔からのMicrosoftユーザーだって、それぐらいのことでは驚かないのだ(もっとも、Microsoftの場合、パッチが出るのにもう少し時間がかかるが)。

 Windows 2000の登場により、Microsoftは、競合相手としてLinuxに対するさまざまなマーケッティング的な活動(悪くいえば、攻撃である)を始めることになるだろう。すでに比較文書などが出たようだが、来年、Microsoftが何を言い出すのか? ちょっと楽しみでもある。なぜなら、Microsoftが何かをすることは、Linuxのコミュニティに対しての刺激でもあるのだ。競争があるがゆえに成長するという可能性もあるわけで、そういう刺激という点で何がLinuxコミュニティで始まるのかが楽しみなのである。

(塩田紳二)

塩田紳二(しおたしんじ)

プロフィール
 雑誌編集者、電機メーカー勤務を経てフリーライターとなる。月刊アスキー、月刊インターネットアスキーなどの雑誌連載や、Web雑誌(ASCII24 Intel/MS Espresso)の連載などで執筆中。1961年生れ。一児の父。最近の趣味は、革細工。といっても、通信教育のコースを始めただけ。目的は究極のモバイル鞄づくりなのだが。

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