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渋谷の街でLinux!?

1999年08月05日 21時55分更新

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 渋谷の井の頭通り、東急ハンズから少し渋谷駅方面に歩いていったところに、「Linux Plaza」と書かれた大きな看板が出現した。
 パソコンユーザーにはなじみの深い秋葉原ならまだしも、よりによって渋谷に「Linux」とは? 当サイトでは、早速調査を開始した。

渋谷の街並み
この先100メートルほど進むと、赤い「Linux Plaza」と書かれた看板が見える。実は、看板はいったん撤去する予定とのことで(看板に記載している情報に変更があるため)、新しい看板ができたら改めて撮影させてもらうことにした

 まずはインターネットから攻めてみよう。検索エンジンを使い、「Linux Plaza 渋谷」といったキーワードで検索すると、ログシステム(http://www2.logsys.ne.jp/)のSelfmade教室ページに行き当たる。そこからさらにリンクをたどると、本体のWebページ(http://www.logsys.ne.jp/)にたどり着く。このログシステムこそ、Linux Plazaの運営元で、オーダーメイドのPC作成をはじめとした、自作派のためのインターネット上のコンピュータショップなのである。ほかのパソコンショップと違うのは、自作したい人向けに、一緒になってスペックやパーツを考えたり、ノウハウを提供しつつコンピュータを構築していくところだ。パーツを売ったり安く仕上げたりといった、ショップとしての業務も当然だが、それよりも「お客さんのスキルアップを手助けする」ことに重点が置かれている「自作教室」なのだ。お客さんと何回もやりとりをし、納得のいくマシンを仕上げていくことにより、お客さんも相応の知識を身につけることができるのである。

 そして、そのログシステムのコンセプトを、インターネットから実際の店舗に持ってきたのが、Linux Plazaなのだ。今回取材を受けてくれたのは、ログシステムの“塾長”で、近代産業(株)代表取締役社長 金子光裕氏だ。

金子氏と田澤氏写真
Linux Plaza/ログシステム塾長の金子光裕氏(左)と、主任の田澤健二氏(右)

[金子] ログシステムの「ログ」とは、ログハウスのログなんですね。実は私、ログハウスも持っていまして。何でも根っこから自作してみましょうということで、こうした名前をつけました。そして、このLinux Plazaも内装はほぼ手作りです。コンピュータを乗せる棚やカウンターどころか、床まで手作りなんですね。自作のいい点は、たとえばパソコンデスクを例に取ると、買ってきて、それを捨ててしまえばそこでモノの価値は終わってしまいます。でも、このお店のように自分で棚を作れば、モノはなくなってもスキルは自分の物になって残るんです。

 金子氏は現在40代。小学生の時から秋葉原通いを始め、アマチュア無線などに凝っていたという。大人になってからは、飲食関連の近代産業に入社し、仕事では電機関連に関わってこなかった。しかし、三つ子の魂百までではないが、「アキバ」の楽しさは忘れられない。Windows、Windows NTやLinuxなどを、PC自作を主体として楽しむことに。そしてログシステムやLinux Plazaが生まれたのである。

[金子] 今は、SlackwareをはじめRed Hat Linux 5.2、6.0、日本語版rendhat 5.2、VineLinux、TurboLinux 3.0、4.0、TurboLinux 日本語版 3.0、4.0といった一連のディストリビューションや、Windows 95/98、NTなどをテストする日々です。また、ログシステムのスタッフにはMacintoshの専門家もいるので、お客さんの一通りの要求にはこたえられますね。北海道からも1人Linuxの専門家が来てくれることになっているのです。Linuxに強くなると、どうしても開発系に行ってしまう人が多く、講師のような仕事をする人はまだまだ少ないですね。

 店内は前述のとおり、渋谷の真中に位置しながらも内装はログハウスといった、まさに自然派の趣だ。15人程度ならゆっくりとくつろげるといった広さで、16坪の面積がある。設置してあるコンピュータは、iMacが2台、PCが7台となっている。では、具体的にどういったサービスを行なうのだろう。

[金子] それは人によってさまざまですが、インターネットカフェとして、設置してあるパソコンを使っていただくのが基本です。そのほか、たとえば設置しているマシンを使ってインストール体験もできますし、疑問が起きたら質問や相談をしていただいても結構です。

店内写真その1
まだ店内改装中だったため、並んでいるPCも少ないが、手作り棚の雰囲気はわかってもらえるだろう。PCが乗っている板の底には車輪が付いており、ゴロゴロと引き出すことができる。手作りならではの工夫だ

店内写真その2
iMacも設置。この棚は、大人10人が乗っても大丈夫なほどの強度があるとのこと

 インストール体験に関しては、Linux Plazaで売っているハードディスクを買い、設置マシンに接続してインストール後、持ち帰ることもできるという。料金は、インターネットカフェとして使うには1時間1000円、技術的な質問や相談がしたい場合は、1時間5000円から1万円(質問のレベルによって違う)で受け付けてくれる。母体の近代産業が飲食店を経営している関係もあり、大人数での講習会場も用意できるという。「お店」というよりは、好きな人が集まるサークルの場、といった趣がそのコンセプトから漂ってくるLinux Plaza。開店は9月1日予定とのことだが、今後どういった展開になっていくか楽しみだ。

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