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魅力的なバンドルソフトウェア、しかしインストールでの注意点も

Turbo Linux 4.0レビュー

1999年07月14日 00時00分更新

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 ターボリナックス ジャパン(旧パシフィック・ハイテック)は7月9日、Turbo Linux日本語版4.0を発売した。バンドルされている商用ソフトウェアは、まだ単品売りしていないATOK 12 SEをはじめ、Wnn6、System Commander Lite、RYOBI TrueTypeフォント5書体、サウンドドライバOSS(Open Sound System)など、実に魅力的なセットとなっている。インストーラの動作には残念な点もあるのだが、注意すべき点をおさえておけば、初者心でも問題なくインストールできるだろう。

 まずはTurbo Linux 4.0の紹介を、その次にインストールでの注意点、そして4.0にバンドルされたATOKを中心にソフトウェアの試用感をレポートする。

パッケージの構成

 Turbo Linuxの箱の中には、CD-ROMが3枚、フロッピーディスクが2枚、商用ソフトウェアのユーザー登録書、ユーザーガイドが入っている。

 メディアは次のような内容だ:

インストールCD
Turbo Linuxのインストールに必要なバイナリパッケージを収録。ATOK 12 SE、Wnn6、RYOBI TrueTypeフォント、OSS(商用のサウンドドライバ)も、このCDに含まれている。
ソースCD
オープンソース・ソフトウェアのソースコードを収録
コンパニオンCD
商用ソフトウェアの試用版と、インストールCDには含まれないソフトウェアを収録
フロッピーディスク2枚
Turbo Linuxの起動ディスクと、System Commander Liteのディスク

 ユーザーガイド:

 約300ページのマニュアルが付属する。構成は、インストールガイド、コマンドガイドや日本語入力システムなどの説明、ウィンドウマネージャの操作・設定、Turbo Linux独自のツールの説明、インストールや設定に関するFAQに、それぞれ50ページ弱が割りふられている。

 サポート:

 90日間3件までのオンライン(つまりメール、ウェブによる)サポート権が付属する。電話サポートは行なっていない。

Turbo Linuxのインストール

 ここではLinuxインストール実績のあるマシンを使用した。マシンには8GBのIDEドライブが1台内蔵されており、3GBのパーティションにすでにWindowsをインストールしている。残りの5GBにTurbo Linuxをインストールした。こういう状況は一般的なものだろうし、マシンも素直な構成だったので、簡単にインストールできると思っていたのだが、予想外に苦労してしまった。

 原困はマシンにあるのではなく、Turbo Linuxのインストーラにあった。Turbo Linuxのインストールで「自動パーティション設定」を行うと、パーティションの構成とサイズを勝手に決めてくれるのだが、これにおまかせで進むと、インストール途中でルートファイルシステムが溢れてしまったのだ(Turbo Linuxでは、“/opt”にKDEなどがインストールされるので、“/”パーティションの使用量が多い)。

 この問題についてターボリナックス ジャパンに問い合わせたところ、「KDEを入れる場合はパーティション分けを手動で行ってください」とのことだった。結局ここは手動で設定して、スワップに64MB、残りすべてを“/”にすることで、問題を回避することにした。

 また、たいした問題ではないのだが、面倒だと感じた点がいくつかあった。たとえばキーボードの設定では「インストールに使用するキーボードの選択」「インストールされたシステムで使用するキーボード選択」「Xで使うキーボードのモデル選択」「Xで使用するキーボードの配置」と、合計4回も行わなければならない。それぞれ確かに意味が違うのだが、実質的には1回だけで済ませられる質問だと思う。ほかにも、マウスの設定画面ではIntelliMouseを選ぶことができるが、それだけではネットスケープなどでホイールを使うことができない点も面倒と感じた。使えるようにするには、ユーザーガイドを参照して自分でリソースをコピーしなければならないのだが、できるならインストーラに自動設定してもらいたいところだ。

 確かにインストーラが洗練されていない印象はあるが、上記の項目以外では、Xの設定を含めて、特に迷うことはなかった。ターボリナックス ジャパンが公開しているFAQを読んでおけば、初めからあっさりとインストールできると思う。

 ユーザーガイドには不備が目立った。たとえば、3.0にあったSMBやローカルハードディスクからのインストールできる機能は4.0で削除されたのだが、ユーザーガイドにはサポートしているかのように書かれている。また5-8章が抜け落ちているという点もそうだ。とはいえ、ターボリナックス ジャパンではユーザーガイドの正誤表を公開しているので、そちらを見ておけば問題ないだろう。

新しく収録されたソフトウェア

 Turbo Linux 4.0は、GNOME/KDE両方のデスクトップ環境をサポートしている。ウィンドウマネージャは、AfterStep、Enlightenment、Window Makerから選択できる。これらを切り替えるには、turbowmcfgというユーティリティを使う。

KDEのスクリーンショット
KDE。Pentium-90MHzのマシンにインストールしたところ、ディレクトリを開くのにも数秒かかるほど重かった。最近のマシンではサクサク動くはず。
GNOME + Enlightenmentのスクリーンショット
GNOME + Enlightenment。KDEよりやや軽い印象。
Window Makerのスクリーンショット
Window Maker。ただ turbowmcfgで切り替えただけでは、メニューなどの日本語が化けてしまった。ターボリナックスのFAQに、解決策が説明されている。

ATOK for Linuxの操作性は、ほとんどWindowsと同じ。

 ATOK for Linuxは、キーバインドや単語登録を含め、ほとんどWindows版と同じようにあつかえる。もちろん漢字変換効率は最高水準だ。

ATOKプロパティ設定ツールの画面
「ATOKプロパティ設定ツール」というGUIユーティリティで、ATOKの設定を簡単に行うことができる。

 ただしATOKについては、残念な点が2つあった。1つは、ATOKをオンにした状況では、確定済み文字列をバックスペースキーで消せないことだ。ATOKをオフにしてからバックスペースを押すことになるが、これが意外とわずらわしい(慣れの問題なのかもしれないが)。もう1つは、ATOKクライアントがkinput2しか用意されていないことだ。すなわち、XIMなどをサポートしていないMuleなどでは入力できない。mule -nwとして、ktermの中で立ち上げれば入力できるが、やはりWnn6と同じようにX上のEmacsで使いたい人が多いだろう。

総評

 3.0には存在した、SMBまたはローカルハードディスクからのインストールがなくなったり、4.0の新機能である自動パーティション設定が「問題を把握していないと戸惑ってしまう機能」になっているのは残念だ。また、ターボリナックスはこれまで1.0、2.0、3.0、4.0とメジャーバージョンアップを続けてきた。そろそろ、4.1といった「安心できるバージョン」がほしいところだ。

 とはいえ、Turbo Linux 4.0はすでに十分お買い得なパッケージである。とくにATOKをバンドルしているのは、ほかのディストリビューションはない大きなアドバンテージだ。Turbo Linux 4.0が、ディストリビューション選びの最有力候補であることは間違いないだろう。

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