初体験のSilverlight開発も二人三脚で乗り切れ!
神原氏の講演の後は、いよいよワークショップ本番だ。今回のワークショップは、「デベロッパーとデザイナーの二人一組のチーム」が参加条件。実際に1つのアプリケーションを共同で作り上げる作業を通じて、Silverlight開発の特徴である“協業のしやすさ”を体験してもらうのが狙いだ。
課題は、Silverlightを使った「手書きのメッセージボード」アプリの制作とされた。パレットからペンやスタンプの種類を選んで、キャンバス上にマウス操作で自由に絵を描けるアプリケーションだ。冒頭、発注者役の松木里菜さんが「ポップでかわいい明るいメッセージボードを作っていただけたらうれしいです。また、私は犬を飼っているので、犬の絵などを使っていただければ」とオーダー。あらかじめ用意されているプログラムとデザインのひな形(プロジェクトファイル)をベースに、リクエストに沿ったアプリの完成を目指して、90分間の実作業がスタートした。
ワークショップの参加者6名は、いずれも現役のプロのデベロッパー/デザイナーたち。とはいえ、Silverlightアプリの開発は全員が初めてということもあって、開始直後は少々苦戦気味の様子だった。「Visual Studioは普段から使っているが、Sivlerlightの“からくり”を理解するまでにちょっと時間がかかってしまった」とはフリーランスのデベロッパー・金野邦明さんの弁。ペアを組むデザイナーの側は、「初めて触ったので使いたい機能を探すにも一苦労」(オノフのデザイナー、千田岳大さん)と、未経験のオーサリングツール「Expression Blend2」の操作を覚えるまでが大変だったようだ。
それでも、ワークショップの後半にもなれば各チームとも急ピッチでの追い上げに成功したのは、何よりデベロッパーとデザイナーとのコラボがうまくいった証。分からないところは同じチーム内で声を掛け合って相談したり、はたまた他のチームの様子を見に行ったりと、コミュニケーションを活発にとりながら、ツールの使い方をしっかりマスター。課題の作成を担当したフリープログラマーの岩井雅幸氏とマイクロソフトの神原氏によるサポートもあって、「メッセージボードアプリ」は完成に向けて着実に進んでいった。
⇒ワークショップ前半を動画で見る
課題の発表から各チームの作業中の光景まで、ワークショップの前半部分の様子を動画(WMV形式/約11分/41.7MB)で見られます。Windows Media Playerでご覧ください。
デベロッパーとデザイナー
2人のコラボを生み出す2つのツール
今回のワークショップの課題であるSilverlightアプリの開発スタイルの特徴は、以前にも紹介しているが(関連記事)、改めてここで簡単に触れておこう。カギとなるのは、「Visual Studio 2008」と「Expression Blend 2」という2つのツールだ。
Visual Studio 2008は、Windowsアプリケーションの開発でもおなじみの統合開発環境(IDE)の最新版。これに、「Silverlight Tools」というアドオンを入れると、Silverlight 2に対応したアプリケーションの開発が可能になる。
一方のExpression Blend 2は、デザイナー向けのオーサリングツールツール。ベクター画像を配置してUIをデザインしたり、タイムラインでアニメーションの編集ができる。
この2つのツールは同時並行して使うことでき、デザイナーがExpression Blend 2で作ったUIをすぐにデベロッパー側のVisual Studio 2008に反映させることが可能だ。これは、SilverlightがUIをXMLベースの「XAML」で、ロジックをVisual Basic/C#、JavaScriptなどで記述するという具合に、デザインとロジックを分離しているためだ。今回のワークショップでも、サーバー上に置いてある同じプロジェクトファイルをデベロッパーとデザイナーがそれぞれのアプリから同時に開いて作業を進めた。リアルタイムに互いの進捗をチェックすることで、効率的に制作作業を進めることができたようだ。