ワイヤレス伝送の実現で、壁掛けもすっきり
ZX1のもう1つのポイントはワイヤレス化だ。こちらも比較的早い段階で採用が決まっていたという。薄型テレビを壁掛けするときの問題は壁面の補強工事に加え、配線の問題がある。
たしかに、壁に掛けたテレビから何本もの接続ケーブルが伸びているのは見た目にもよろしくない。そこでチューナー部を別体化し、チューナー部とディスプレイ部の接続にはワイヤレス伝送を採用することにした。
ソニーでは既に「ロケーションフリー」などの製品でハイビジョン映像と音声のワイヤレス送受信を実現している。そうした技術を応用し、独自のデジタルワイヤレス通信「BRAVIA1080 Wireless」を開発したのだ。ちなみに5GHz帯の周波数を使い、チャンネル数は4ch(36/40/44/48ch)だ。
おかげでディスプレー部に必要な配線は電源ケーブルだけになり、すっきりした壁掛けが可能になった。しかもワイヤレスなので、設置環境にもよるが、最大20mの範囲なら室内のどこにでも置ける。
なおデジタル通信は木製のラックなどなら電波を通り抜けるため、扉付きのラックなどにしまっても問題ないそうだ。(ただしコンクリートの壁ごしや金属のラックは不可)
そして何よりのポイントは、チューナー部、ディスプレイ部ともに送受信用のアンテナを完全に「内蔵」していること。見た目がすっきりとしているのは当然だが、超薄型のディスプレイ部にまでアンテナを内蔵しているのはすばらしい。
ZX1の壁掛けレイアウトを見ていると、ワイヤレス通信は壁掛けを意識したテレビには必須だと思わされてしまう。実際、各社でもワイヤレスでハイビジョン映像と音声を伝送する技術は盛んに研究されており、近い将来には家電の接続はワイヤレスが当たり前という時代がやってくるかもしれない。
これからの薄型テレビは、すべて極薄+ワイヤレスになるのか?
ZX1の提案する「極薄+ワイヤレス」のスタイルは、確かに未来のテレビのスタイルを先取りした印象で、未来のテレビはすべてこんなスタイルになってしまいそうに思える。果たしてそんな未来はすぐにやってくるのだろうか。
極薄という点では、サイズバリエーションが増えてくれるともっとありがたいと思うし、逆に高画質を求める人ならXR1のような3原色LEDバックライトで極薄を実現してほしいという欲張った要望もあるだろう。
ワイヤレスは今のところいくつかの制約がある。まず、5GHz帯のデジタル通信ということで、インターネットの無線LANと併用すると電波干渉を受ける場合があるということ。
もうひとつは、現在の方式では送信できる映像信号が1080iに制限されていること。このため、1080p信号は1080iに変換して送信することとなり、BDソフトの1080/24pなどの信号はワイヤレスでは送信できない。
この場合は、HDMIケーブルでBDレコーダーなどの送出機材とディスプレイ部を有線接続すれば、1080/24p信号も表示が可能。先進性の塊であるだけに、残された課題はいくつかあるようだ。こうした問題は近い将来必ず解決されるに違いない。
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