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サーバー導入の素朴な疑問 第2回

激安315円!? エンクロージャーはなぜ安い?

2008年09月24日 23時34分更新

文● 新 淳一/ASCII.jp

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互換性がないエンクロージャー

 そもそもエンクロージャーは標準規格がないため、各社で互換性がない。IBMのように旧機種との互換性に配慮して新機種を設計するベンダーもあるが、なかには同じベンダー製のサーバーブレードでもサイズ等が異なり、別々のエンクロージャーが必要になるケースもある。つまり、エンクロージャーの実質無料化は、互換性のなさへの言い訳にも見て取れ、結果として互換性確保の問題が先送りにされているようにも見えるのだ。

 ただ、何がなんでも互換性を持たせて物理的に統合するのが、顧客のメリットになるかというと、そうは思わないと語ってくれたのは、日本ヒューレット・パッカードエンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ビジネスデベロップメント部 部長の正田三四郎氏だ。ブレードサーバーは、今後も(互換性の問題も含め)技術革新をしていく余地がある製品だとしつつも、その中で各社が特徴を出したいという思惑を持つため、難しい面があるという。「仮に、各社が同じソケットの形で物理的に入るとして、実際にお客様がお使いになられるかというと、また別の問題があると思うのです」と正田氏。たとえば、サーバーの拡張用バスにわざわざ別のベンダーのRAIDコントローラーを買ってきて差して使うかというと、まずしない話だ。いざ強引に共通化しても、実際に1台のサーバーに各社のパーツが入り乱れるような状況にはならないだろうというわけだ。

 また、HPの製品であれば、仮に新旧のマシンで物理的な互換性がなくても、ラック型や旧型のブレードサーバーも含め、管理ソフト面で完全に整合性をとるなど、新しいモデルに移行する際も差を感じずに使ってもらえるように配慮しているという。とはいえ、ユーザーから見て、他社も含めて標準化していってほしいというニーズがあることも理解している。「少なくともProLiantのブレードサーバーについては、業界標準のテクノロジーをベースに考えています。お客様が1回ProLiantを使ってしまったら他にアプリケーションを移植できない、というような話はありませんし、特殊なことをして囲い込む、というアプローチは一切考えていません」(正田氏)とのことだ。

 ベンダー各社が独自の特色や進化を追い求める以上、標準規格化はなかなか進展しそうにない。現実として、エンクロージャーのサイズと個数選択という問題は、将来、互換性のない新製品が登場する可能性も考慮しながら、今後のスケールアウトのための余裕を計算して見極めなければならない。かといって、大は小を兼ねる的に、大きいエンクロージャーを選ぶと、いたずらにサーバールームのスペースを使ってしまい、シンプル化したい狙いからはずれてしまう。わずか300円少々の製品のことだが、意外と難しい問題である。

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