出前館に入ってもいいかとも思っていた
―― 漫画全巻ドットコムの今後の課題とは?
安藤 商品構成を増やしたいですね。うちのサイトには「推定完読時間」を表示し、全部読んだらどれくらい時間がかかるのか分かるようにしています。
例えば、「スラムダンク」を全巻読んだら11時間38分ですし、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は68時間48分です(笑) 今後は「10時間セット」とか、「三連休セット」とか時間や休日数によって商品を分けて売っていくことも考えています。それから、社会人でも急に会社行きたくなくなって休むということがあると思うんですよね。そういう日に注文してもらうと「30分間でお届けにあがります」みたいなのサービスをやりたいと思ってます。
―― 「出前館」に入れそうですね。
安藤 いや、正直な話、出前館の加盟店に応募する一歩手前まで行ったんですよ。いまは秋葉原に事務所があるんですが、以前は中野に事務所があったので、中野区限定で僕ら自身でバイクに乗ってマンガを届けるというのをやりたいとなぁと思ってたんですよね。当時は自分たちのところに在庫も置いてあったので。
でも売り上げが急激に伸びてしまい、いまのスタッフの体制だと物理的に届けに行くヒマがなくて辞めました。
でも、マンガだけじゃくて、ピザやDVDとセットにして、引きこもりセットはやりたいです。実は漫画全巻ドットコムを最初に始めたときに、「うまい棒」とかジュースとかラインナップに並べていたんですよ。といっても、注文が入ったら僕らがコンビニに買いに行っただけなんですけど。「B級リゾートライフ」をアピールしました。でも、お客さんにはその意図が伝わらなくて(笑) しかも、ジュース1本のために箱のサイズが上がって送料が上がることもあり、あまり良いことがなかったので止めました。
実は某ピザチェーンの取締役の方に「1店舗でいいから、ピザと一緒にわれわれのマンガを届けてもらえませんか」とお願いしたんですよ。もっとも、「できるわけないだろ」というお返事だったんですけど。1店舗だけFCのオペレーションが変わるのって、難しいみたいなんですよね。僕ら自身がピザ屋を始めないといけないのかなと思ってるくらいです。
夢は世界制覇、海外からの引き合いも多い
―― 比較的メジャーなタイトルが中心の品揃えに思うんですが、今後どのような展開を考えていますか?
安藤 品揃えはどんどん拡充していきたいと思っています。うちのお得意さんで、ブログでも紹介してくださった方に、しょこたん(中川翔子)さんがいます。実は縁あってお会いしたですが、しょこたんさんが求めてるものはうちで扱っているよりももっとマニアックな作品で、もう中古でしか流通されていないような絶版タイトルなんですよね。そういったものは電子コミックで復刊するというカタチでやっていきたいと思っています。
―― 今後の目標を教えてください。
安藤 実は中東、北米、ヨーロッパオーストラリアといった海外のお客さんの注文が増えています。現在は日本語にしか対応してませんし、まったく宣伝していないのにマンガを読みたいと思っている人が世界中にいるんですよね。今後は台湾とか韓国など、海外にわれわれから出向いて行きたいと思っています。そのときは電子コミックを絡ませて、現地のコミックと日本のコミック両方を扱うサイトにしていきたいです。
すでに韓国の出版社さんを何社か訪問していますし、来月は香港や台湾の出版社にもうかがう予定です。韓国や台湾の市場規模は、日本に比べるとはるかに小さいですが、その伸び率はすごいものがあるので、海外は日本以上に可能性があるのではないかと期待しています。