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日本のベンチャー育成に賭けてきた男

「マイナーさん、日本のITベンチャーってダメですか?」(後編)

2008年05月28日 19時52分更新

文● 吉田育代

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 アレン・マイナー氏は、シリコンバレーのオラクルに入社後、国際部門の日本担当となり、翌年、志願して26歳で日本オラクル初代代表に就任。佐野力社長を迎え入れ、以後は取締役として同社の記録的な急成長に貢献した。同社退職後は、「大好きな日本をアントレプレナー精神溢れる活き活きとした世界にしたい」という熱い思いで仲間を募り、同年12月に株式会社サンブリッジを設立。日本のベンチャー育成に新しい地平を切り開いてきた。この秋、マイナー氏はアメリカに戻り、新たな視点で投資ビジネスを展開するという。帰国記念というわけではないが、この機会にサンブリッジでの8年間を振り返ってもらった。今回は、その後編をお送りする(関連記事)。(聞き手・構成:フリーランス・ライター 吉田育代/撮影:島 誠)

アレン・マイナー氏

株式会社サンブリッジ 取締役創業者 アレン・マイナー氏

日本に根を張り、投資先を絞ったのが
奏功して8年間で資産は5倍に

サンブリッジ

―― マイナーさんは今年の秋にアメリカへ戻られるそうですが、この8年のサンブリッジでの投資ビジネスを振り返ってみていかがですか。

マイナー 自分でいうのも何だけど、非常に成功したと思ってる。この8年で10数社投資したけど、最終的に4~5倍になって返ってきたからね。自分なりに勝因を分析すると大きく3つあると思う。

 1つは、投資先を絞ったこと。エクリプス・アビエーションの例などはあって、これは僕たちの手腕が他の産業でも生かせるものかどうか試したかったからだけど、いぜん8~9割はIT関連ビジネスだからね。

 2つめは、日本に戻ったこと。海の向こうから腕組みして待っていたのではこうはいかなかったと思う。相手が見えるところまで来て仕事ができたというのがよかったんじゃないかな。

 3つめは、運だね。ラッキーだった。卓越したビジネス手腕を持った経営者によくこんなに出会えたものだと思う。藤村さんしかり、ネットリサーチのマクロミル 辻本(秀幸氏。代表取締役社長)さんしかり。辻本さんなんて、この8年間、事前に計画した四半期予算を達成しなかったことが1回もないからね。シリコンバレーのベンチャーキャピタルでさえ“そんな会社はなかなかないね”といったからね。あの計画性と事業に対する責任感の強さは感服する。Java対応の携帯電話にネットワークゲームを提供するジー・モードなどは、向こうからホームページにアクセスしてくれてつきあいが始まった。僕たちに見る目があったから成功した、というわけでは決してないと思う。

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