1920×1080ドットでの動画記録をサポート
進化したクリアビッドCMOSセンサーに、新映像処理回路の組み合わせで注目したいのは、動画・静止画の解像度の向上だ。HDR-SR12では動画記録時の解像度が最大1920×1080ドットとなった。従来モデルでは最大1440×1080ドットであったので、同じ1080iのHDビデオながら、その情報量は約1.3倍に向上した。1920×1080サポートはかねてから要望が多かっただけに、待望の強化と言えよう。動画の記録フォーマットは、従来どおりのH.264/MPEG-4 AVCである(SD画質のMPEG-2での撮影も可能)。
静止画撮影についても、最大1020万画素相当(3680×2760ドット)での撮影が可能になるなど、現行のデジタルカメラ並みとなった。動画撮影中の静止画同時撮影時でも、760万画素相当(3680×2070ドット)での撮影が可能だ。「動画撮影がメインだが静止画も必要」といった用途であれば、別途デジタルカメラを用意するまでもなく、高解像度の静止画まで撮影できてしまう。
HDビデオの記録モードは4種類。1920×1080ドットで撮影できるのは、新たに導入された記録モード「FH」のみ。残る3モード「HQ、SP、LP」では、従来どおり横方向の情報を圧縮した1440×1080ドットでの記録となる。
HDビデオの記録モード一覧
FH | HQ | SP | LP | |
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解像度 | 1920×1080 | 1440×1080 | ||
ビットレート | 16Mbps | 9Mbps | 7Mbps | 5Mbps |
記録時間 | 14時間40分 | 29時間40分 | 36時間 | 48時間 |
気になる各モードの動画品質だが、やはりFHが優秀だ。1920×1080ドットのフルHD解像度なら、他のモードでは潰れがちな細かいディテールもしっかり表現できる。ビットレートも平均16Mbpsと高いので、動きのあるシーンでも動画の崩れは気にならない程度になる。FHはHDR-SR12における標準の記録モードと言っていいだろう。
HQでは1440×1080ドットと解像度がFHから低下するうえに、ビットレートも9Mbpsと低く、FHと比較すると細部の表現でどうしても差が出る。とはいえ、FHと比較しなければ大きな不満を感じるほどではなく、動画品質と記録時間のバランスを考えれば悪くない選択だ。残るSPとLPは、ビットレートが低いことから粗さが目立つ傾向にある。特にLPでは、動きのあるシーンで細かな情報の潰れがハッキリと分かり、動いている状態も滑らかさに欠ける。使う機会は限られるだろう。
下位モデルのHDR-SR11でも60GBのHDDを搭載することを考えると、画質の低いLPモードよりも、むしろ動きの早いスポーツの撮影でも安心して使える“1920×1080の高ビットレート”(低圧縮率)な撮影モードを追加したほうがいいのでは? と感じる。
顔認識の搭載で人の顔をより綺麗に
1920×1080サポートと並ぶHDR-SR12のもうひとつの目玉が顔認識機能だ。フレーム内にある最大8人までの顔を同時に認識・抽出し、そのうえで抽出した範囲に対して、さまざまな撮影支援機能を実行できる。この撮影機能との連携が大きなポイントだ。
撮影支援機能では、顔に対する「フォーカス」や「明るさ」調節のほか、肌色を美しく見せる「美肌」、静止画撮影時の「フラッシュ」(フラッシュ自動発光)など、人物を録るに役立つ機能がそろう。
「フォーカス」は認識した顔にピントを合わせる機能で、複数の顔を認識した場合には最も近い顔(認識範囲が広い顔)に合わせる。「明るさ」は顔を基準に明るさを調整する。例えばスキー場や逆光での撮影では人の顔が暗くなるが、この機能があればそうした状況でも露出をコントロールして明るく録れる。最後の「美肌」は人の肌を意識した色調補正で、肌の色を美しく表現できるというもの。さらに美肌では、H.264/MPEG-4 AVCでのデータ圧縮時に顔を正確に再現できるよう、認識した顔に多くのビット配分を優先するように働く。
実際にHDR-SR12で人の顔を狙ってみると、顔がフレームに入ると、顔を示す白枠がディスプレー上に即座に表示され、それと同時にフォーカスが被写体の顔に合うよう動作する。被写体自身が動いたりしてフレーム内での被写体の位置が移動しても、カメラは被写体の顔を捉え続けた。撮影者は被写体の人物をフレームに入るよう追うだけで、被写体の顔を綺麗に撮影できるのである。これは顔認識機能があるカメラならではの大きな魅力だ。
ただ、カメラの向きをわずかに変更するだけで、顔の認識を示す表示が出たり消えたりと安定しないこともあった。また、フレーム内に別の人が入ったり、顔と誤認識する要素がある場合には、フォーカスを合わせる優先順位の関係からうまく働かないこともあった。顔認識は大変便利な機能ではあるものの、すべての状況に対応できるわけではない。さらなる認識精度の向上や、複数の顔を検出した状況での対象選択は今後の課題といえよう。