ネットは誰でも参加できるゲーム。客になるな!
遠藤 PHPというのは「スーパーカブ」だと思うのですよ。
中野 ソバ屋の出前から、軍用まで、幅広く使えるホンダの「名機」ですね。
秦 誰でも乗れるのに結構すごいことができる。
遠藤 この本の野望は、グローバルで話題になるウェブサイトを読者に作ってほしいということです。
中野 「百式」や「FeedMyApp」を見ると、こんな気の利いたサイトがあるとか、こんなサイトが大ブレーク中だとかそういう情報がたくさん出ていますよね。
遠藤 つまり、ネットの世界で開催中の「誰でもスーパーカブで参加できるゲーム」に出ていかないのはもったいないだろう、ということなんです。
中野 普通の産業だと相応の投資が必要ですけど、ApacheやPHP、MySQLといったウェブアプリケーション開発用の部品は無料じゃないですか。月額数百円のホスティング代を払えば、本当に誰でも起業できる。会社員が、仕事をしながら作ってもいいと思うんです。
遠藤 「永遠のベータ」とかいうけど、とりあえず動かないとベータにもならない。
秦 「永遠のアルファ」ではダメですね。
実際にPHPを教えてもらいながら作った
遠藤 個人的に「こんなサイトはアリだろう」みたいなアイデアはいろいろ思い付くんです。たとえば米国には「隣のテーブル」から聞こえてきた話をアッロードする「オーバー・ハード・イン・ニューヨーク」というウェブサイトがあって、結構面白い話が楽しめる。じゃ、「オーバー・ハード・イン・トウキョウ」もやれるだろう、と。
中野 そうそう。「そんなのPHPでできますよ」というのがこの本の発端ですね。でも、単なるPHPの入門書を今から作っても面白くないので、ソースコードに矢印を描き込んでみたり、画面の遷移図をのせたり、これまでのPHP解説書にはない工夫を盛り込んでみました。矢印は、どのくらい効果が出ているのかまだ分かりませんが……。
秦 矢印は分かりやすいのではないですね?
遠藤 この際、飛び出す絵本はどうだ? ループの部分は、実際にグルグル回る(笑)。
中野 それもいきますか。「ポップアップPHP」。
遠藤 要するに「K&R」(C言語の解説書)があるでしょう。あれなんか名著と言われているけど、決してまともな入門書じゃない。素地のある人に教えてやるのに実に効率よくポンポンと伝えている。丁寧にビッシリある本だけが分かりやすい本ではない。
中野 PHPを作った人の本がオライリーから出ていますがどうなんですか?
秦 割とまともなちゃんとした本になっていますね。
遠藤 「おまえも本出してちょっとは元を取ったら」とか言われて書いただけかもね。
中野 オライリーなら言いそうですね。
遠藤 要するに、PHPの入門書だとビッシリと書かれた真面目なものか、サンプルコード何本というものの両極しかなかった。この本は、秦さんが先生でボクが生徒で実際にPHPを教えてもらいながら作った実況中継的な本ですよね。その間くらいに位置すると思います。あと、入門書なのにログイン処理とかAmazonアフィリエイトを使う話も出てくる。いまウェブサイトを作るんだったら、マッシュアップくらいやりたいだろうというわけです。
秦 あとは、みんなガンバって自分のサイトにしていけ、ということですね。