オプトアウト式で「プライバシーの侵害」
Beacon機能は、当初はすべての人がデフォルトで使用することになっており、使用したくない人は申告しなければならないという「オプトアウト式」を採用していた。このことがFacebookのユーザーから大きな反発を招く大騒ぎとなってしまったのだ。
Facebookではこの反発を受け、翌12月には、Beaconを採用しているWebサイトを訪れる度に、友人に通知するかどうかを確認する「オプトイン式」へとシステムを変更した。しかし、毎回通知確認を求められる煩わしさが批判され、結局はBeacon機能自体を使用しないよう設定できるように変更することとなったというわけだ。
ニコニコ動画版SocialAd「電光掲示板」
一方、ニコニコ動画(RC2)では、2月8日に電光掲示板がトップページと動画視聴ページの上部に設置された。これは「ニコニコ動画版SocialAd」とも言うべきもので、携帯電話向けコンテンツを購入した際に、購入状況が全視聴者に告知される機能だ。
ニコニコ市場において、ニワンゴの親会社であるドワンゴが販売する着メロや着うたなどのコンテンツをポイントで購入すると、購入したユーザーのニックネーム、コンテンツ名、購入元動画IDが、「○○さんが□□(動画ID)を見て△△(コンテンツ名)を購入しました!」と、速報として表示される。電光掲示板からは、購入元の動画視聴ページや商品詳細ページにジャンプすることもできる。
ちなみに、ニコニコ市場で商品を購入する際に、「電光掲示板に表示する」のチェックを外せば、速報される購入状況にニックネームが表示されなくなる仕組みとなっている。
人物特定がされない、購入するものが限られるニコニコ動画
現時点では、ニコニコ動画の場合、「電光掲示板に表示する」のチェックボックスにあるチェックは初めからついており、ニックネームを表示させないためには外さないといけないため、表面的にはFacebookとそれほど変わらないように見える。しかし、実は根本的な違いがあるのだ。そこで、双方の違いをまとめてみた。
まず、Facebookは基本的に実名登録だが、ニコニコ動画はほとんどがニックネーム登録である。FacebookはSNSなので多くの人たちとつながっているが、ニコニコ動画にはそれがない。つまり、Facebookのように人物が特定できるような要素があるわけではないのだ。同じものを買ったと告知されても、仕事関係の人や家族などとつながっている可能性がある実名登録のFacebookの場合と、つながりがなくニックネーム登録であるニコニコ動画の場合は、どちらが問題になるかは言わずもがなだろう。
また、Beacon機能があるFacebookとは違い、ニコニコ動画の方は、反映されるのはニコニコ動画内での購買行動に限定されている。さらに、現時点では対象がケータイコンテンツのみなのであまり問題になることがないのだろうと推測される。加えて、元々ニコニコ動画には、市場での購入自体がネタになるという「ネタ文化」があり、電光掲示板にアップされることが目的で購入する層もあるだろうと推測される。しかし、これが今後、Amazon.co.jpの購買履歴まで出るようになったら、また別の問題が出てくるかもしれない。