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ハードに依存する日本企業のグリーン化――シマンテック、データセンターの調査発表

2008年02月13日 17時41分更新

文● アスキービジネス編集部

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シマンテックは、2月12日、企業で使用されているデータセンターの「グリーン化」の実施状況について、調査結果を発表した。


2008年はデータセンターに仮想化が採用される事例が増加する


 今回発表されたデータセンターに関する調査レポート「Symantec Green Data Center Report」は電力の効率化や有害物質の削減といった、データセンターの「グリーン化」に対する企業の意識調査を行なったもの。回答企業は平均3万1250名の従業員を抱える大企業で、各企業の擁するデータセンターの平均数は14。調査企業数は非公表ながら、800名を超えるデータセンター管理者が解答した。調査対象国はアメリカやカナダ、日本など北米、南米、ヨーロッパ、アジア・オセアニア地域にまたがり、全13カ国にわたった。

 シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 データセンターマネージメントグループ マネージャ 朝倉英夫氏は「日本はデータセンターのグリーン化に対する取組みが遅れている」と述べる。調査レポートによるとデータセンターのグリーン化を「検討していない」と回答した日本企業は31%に対し、海外企業の平均29%を上回っている。さらに、部分的でもグリーン化を実際に導入した日本企業は10%で、海外企業の14%よりも低い数値となっている。

シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 データセンターマネージメントグループ マネージャ 朝倉英夫氏

シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 データセンターマネージメントグループ マネージャ 朝倉英夫氏

シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 データセンターマネージメントグループ マネージャ 朝倉英夫氏

 今回のレポートで特徴的な点は、日本企業と海外企業がグリーン化を目的とした際に、導入したいと考えているテクノロジーの差だ。「実際にデータセンターで採用している、あるいは検討しているグリーン化のための技術は何か?」という質問に対して、「サーバの統合」と回答した日本企業は43%で、海外企業は51%。「サーバの仮想化」と回答した日本企業は29%に対して、海外企業47%となっており大きな差がついている。「データセンターの省電力に特に有効とされる仮想化に対して、日本企業の意識が低い」と朝倉氏は指摘し、その理由について、「日本のデータセンターは仮想化のようなソフトではなく、ハードそのもので解決するべきと考えている企業が多い」と分析する。

データセンターを「グリーン化」するためのアプローチの事例。「仮想化」や「ハードウェアのリユース」などほとんどのケースで、日本は海外に比べて導入企業が少ない(画面クリックで拡大)

データセンターを「グリーン化」するためのアプローチの事例。「仮想化」や「ハードウェアのリユース」などほとんどのケースで、日本は海外に比べて導入企業が少ない(画面クリックで拡大)

 実際、「電力削減に関する戦略にとって最適な技術は何か?」という質問に対し、「電力効率の高いCPU」と答えた日本企業は31%で、海外企業は28%だった。また、「より効率的な電力分配システム」と回答した日本企業は20%に対し、海外企業は15%と日本企業の意識がハードウェアに向いている実態が見て取れる。

 ただし、朝倉氏は、今後は日本でもデータセンターのグリーン化に対する有効なソリューションとして、仮想化が伸びると考えている。「日本は仮想化技術に対する信頼度がまだ低い。しかし、2007年にアメリカで仮想化製品を導入する企業が爆発的に増えた。実例が増えて、安心感が醸成されれば、今年、来年あたりで仮想化をデータセンターに導入する企業は増えていくのではないか」と朝倉氏は予想する。

 ヴイエムウェアを筆頭に、XenSourceを買収したシトリックスやマイクロソフトの仮想化製品が登場し、ベンダー間の競争が激化する2008年。選択肢が増える結果、省電力に繋がる仮想化製品をデータセンターに導入するユーザー企業が徐々に増加するようだ。

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