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三好康之氏が指南!! IT業界を生き抜くためのキャリアパス&取るべき資格 第1回

今の時代のSE キャリアパス実現に向けて取るべき資格

2006年07月20日 00時00分更新

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昔は、ひとつの言語を覚え、次に設計の仕方を覚え、資格といえば情報処理試験の一種でも取っておけば、それで一人前のSEと言われていた。しかし、オープン化、ダウンサイジングの進展が、技術の多様化をもたらすことになる。かくして、SEと、世の中に氾濫する情報技術との闘いの日々が始まったわけである。今のSEには、「これだけやっていれば良い」という唯一解はなく、多様な技術の中から、自分に将来必要となるものを見極めてキャリアプランを描かなければならない。

■SEのキャリアパスとは

 一般的に、今は必要かどうかわからないが、将来自分に必要となる可能性のある知識や技術を先行して習得するには、資格取得を目指すのが最適だと言われている。その点、SEには数多くの資格が用意されているので、これを自分のキャリアプランの羅針盤として使えばいい。

 この図は、それらの資格を目安にした、標準的なSEのキャリアプランである。もちろんこれがすべてとは言わないが、大企業のSEの資格取得状況や、各資格の平均取得年齢を考えれば、このようになる。

標準的なSEのキャリアプラン

標準的なSEのキャリアプラン

情報処理技術者試験の取得者数

情報処理技術者試験の取得者数(H18の結果まで)

■入社3年目までに基礎資格を取ろう

 大手SIベンダーでは、「基本情報技術者」や、「ソフトウェア開発技術者」のような、SEの共通言語といえる基礎の基礎レベルの資格は、3年目までに取得させたいと考えている。3年目というと、後輩もでき、これからチームリーダーとしてやっていこうというときである。会社としては、そのときまでに、先輩SEの話を理解できたり、専門書やマニュアルが読めるようになっていてもらいたい。そのためには、これら基礎知識の資格を使って勉強させるのが一番だと考えている。

■基礎を身につけ、スタートラインに立ったSEが次に目指すべきことは?

 SEとしての基礎資格を取得すると、ようやく競争のスタートラインに立てる。この次に目指すのは「アプリケーションエンジニア」である。この資格は、通称“高度区分の資格”といわれるもので、論文試験対策として表現力、読解力、知識の整理を行なっていく。対象範囲が要件定義と外部設計などになるため。できれば、それらの業務を経験する5年生ぐらいの間に狙っていきたい。遅くとも30歳までには必要だろう。

 SEとして経験を積んでいくと、やがて、プロジェクトマネージャへとキャリアアップしていく。会社に長くいるとそれだけ後輩が増えるわけだから、必然的に管理業務へとシフトしていくだろう。そうなると、それまでは直接的に成果を出せばよかったが、今後は間接的に成果があがるようにもって行かなければならない。そこには高度な管理技術が必要である。

だから、それに備えて、遅くとも入社10年以内に「プロジェクトマネージャ」資格は取得しておこう。

■35歳で振り返ったとき

 さらに、35歳までにはテクニカル系の資格もいくつか必要だろう。SE定年35歳説ではないが、35歳という歳は、ちょうど入社して10年ぐらいの時期になる。この10年間を振り返ったとき、何も形に残っていなければ、正直不安になるのではないだろうか。

 また、入社後10年間は、知識習得に貪欲でなければならない。この間にはさまざまな経験ができるだろうからである。データベースやネットワーク、セキュリティにも触れるだろう。そうしたときに、真剣に取り組み、より深く勉強していくことによって、残りのSEライフを充実させるのである。だから、アプリケーションエンジニア、データベース、ネットワークなどの資格があれば言うことはない。

■35歳を超えたら経営を意識する

 35歳を超えたら、経営というものを強く意識しなければならない。経営に寄与するIT戦略を描けるようになるのはもちろんのこと、自分の会社でも経営に関与する機会も多くなるからである。

 いくら自分では、「生涯プログラマ」をいたくても、会社も社会もそれを認めてくれないだろう。年齢に応じた役割というものは、ある程度どの会社でも決まっているからだ。

だから、遅くとも35歳を超えると、経営面の知識習得のため「システムアナリスト」を目指すようにしよう。

■現場で役立つそのほかの資格とは

 何事もそうだが、軸がしっかりしていると強いものができる。SEにとって情報処理技術者試験は、正にSEを強くするための軸といえる。

 しかし、情報処理技術者試験は、あくまでも製品特化されない標準化された知識が中心である。そのため、そのままでは、現場では使い物にならない。せいぜい、専門書が理解できるようになったり、他のSEと共通言語で話せるようになるぐらいである。

 そこで、現場で必要になるのが、補完的な資格となるベンダー資格の知識である。

 ベンダー資格は、一部例外を除き、通常はそのベンダーの製品知識を問うものである。だから、標準的でもないし、短命だが、より実践的でもある。基礎があれば、それほど学習時間も必要としない。

 特に、貪欲に経験値を上げていく35歳までは、必要に応じてベンダー資格も取得していくようにしよう。そうすれば、自分のスキルを棚卸したときに、形になって見えるものが残る。

右矢印三好康之氏のすすめるSEの取るべき資格一覧


三好康之氏

三好康之(みよし・やすゆき)

エムズネット代表。SE出身のITコーディネータとして、SIベンダーとの交渉代理、見積もり妥当性チェックなど、利用者側の立場で情報化の支援をしている。また、SEの資格取得支援や執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

e-mail:y_miyo@mwc.biglobe.ne.jp
URL:http://www5b.biglobe.ne.jp/~miyomiyo/


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