さらばトラックパッド!?
そもそもiPhoneやiPod touchのキモとなっているタッチ操作は、2006年にアップルがFingerworksという企業を買収したことに始まっている。
Fingerworksは、もともとジェスチャーによって特定の操作をさせるための周辺機器やキーボードを販売していた。これに目を付けたアップルが、来るべきタッチスクリーン搭載製品のために買収したわけだ(そういえば、iTunesだって、もとはSoundJam MPというサードパーティ製ソフトを買収して作ったものだった)。
Fingerworksの製品は非常に自由度が高く、例えばソフトごとにジェスチャーを設定することもできた。また、iPhoneやiPod touchのように使う指は2本だけでなく、中には5本の指を使うようなジェスチャーもあったと記憶している(もっとも指を5本使うようなジェスチャーを覚えるほうも大変かもしれないが)。
勘のいい読者ならそろそろ気付いたと思うが、「タッチスクリーン液晶を備えたMacBook」は、けっこうアリだ。
もちろんその場合は、トラックパッドなど野暮なものは取り払ってしまうに違いない。
「そんなに細かく操作したいのならマウスを使えばいい」
「ポインティング・デバイスとしては指に勝るものはない」
「Hasta la vista, Trackpad!」(さようなら、トラックパッド)
──などとジョブズが言い出しても、特に不思議ではない。
Tabletの概念を根本から変える可能性も
そのコンセプトを突き詰めていくと、最終的には「Table Mac」という形態に行き着く。
しかし、アップルが出すのであれば、「既存のTablet PCのOSを変えました」というレベルでは満足しないだろう(関連記事:CES 2008レポート)。
ジョブズなら「既存のタブレット製品はすべて間違っている。正解はコレだ」とかなんとか言って、妙な折り畳みギミックや機能を削いだ、シンプルでつるんとしたタブレット製品を出してきそうだ。なんだか、勢いあまって、キーボードすらなくしてしまうかもしれない。ツルンとした板のようなタブレット……。
iPhoneやiPod touchのキーボードは、一見すると打ちにくそうだが、「指で触ったときではなく、指を離したときに入力が確定される」という仕様さえ頭に入ってしまえば、さほど難儀さはない。同じコンセプトでキーピッチさえある程度確保できれば、充分実用になるはずだ。
指を使ったユーザーインターフェースを普及させる、というのは、iPhone/iPod touchを持つアップルにとっては「理にかなった」戦略だと思うのだが、どうだろう? もちろんそれが軽ければ軽いほど、日本市場では受け入れられやすいが、仮に15インチの大きなマシンだったとしても、落胆する必要はない。驚くほど薄いという可能性も残っているのだ。