このページの本文へ

「iGoogleなみの使いやすさを実現」――「SAP CRM 2007」発表

2007年12月11日 20時53分更新

文● アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

12月13日、SAPジャパンは約2年ぶりに新たなCRM製品「SAP Customer Relationship Management 2007」を発表し、提供を開始した。


E-SOAによってシステム構築の柔軟性を高めたCRM


「SAP Customer Relationship Management 2007」(SAP CRM 2007)はSAPが推進しているSOAコンセプト「エンタープライズSOA」(E-SOA)によるシステム構築を実現した初めてのCRM製品(関連記事)。「E-SOAによって他のアプリケーションとの統合が容易になり、システム構築の柔軟性が高まった」とSAPジャパン バイスプレジデント ストラテジックインダストリー&ソリューション統括本部 CRM事業開発 岡村 崇氏は語る。

SAPジャパン バイスプレジデント ストラテジックインダストリー&ソリューション統括本部 CRM事業開発 岡村 崇氏

SAPジャパン バイスプレジデント ストラテジックインダストリー&ソリューション統括本部 CRM事業開発 岡村 崇氏

SAPジャパン バイスプレジデント ストラテジックインダストリー&ソリューション統括本部 CRM事業開発 岡村 崇氏

 SAP CRM 2007の最大の特徴は、以前のSAP CRMと比べ大幅に変更されたユーザーインターフェイス(UI)。「数百ページは新たにつくり直した」とソリューション本部 CRM担当部長 桃木継之助氏が語るように、機能優先ではなくユーザーの使い勝手を優先したUIになっている。画面上のデータ項目はドラッグ&ドロップで自由に動かすことができ、役職や権限によってUIを変化させるといったことが可能となった。「パーソナライズ機能を強化し、iGoogleのような使いやすさを実現した」と桃木氏は自信を見せる。

SAPジャパン ソリューション本部 CRM担当部長 桃木継之助氏

SAPジャパン ソリューション本部 CRM担当部長 桃木継之助氏

SAPジャパン ソリューション本部 CRM担当部長 桃木継之助氏

 また、E-SOAによって構築されているため、ユーザーが日常的に使用しているUIをSAPのシステムに組み込むことができるようになった。たとえば、アドビシステムズの「SAP Interactive Forms by Adobe」を使えば、普段業務で使っている紙の帳票をPDF化し、SAPのデータ入力画面として利用できるようになる。

「SAP CRM 2007」で帳票をPDF化したときの画面イメージ(画面クリックで拡大)

「SAP CRM 2007」で帳票をPDF化したときの画面イメージ(画面クリックで拡大)

 さらに、マイクロソフトと共同開発した「Duet for Microsoft Office and SAP」によって、OutlookとSAP CRM 2007の機能を連携させるなど、複数のシステム情報を組み合わせたUIを実現することで業務の効率化を図っている。

「Duet for Microsoft Office and SAP」でOutlookと SAP CRMを機能連係させた画面。右側にDuetの文字が見える(画面クリックで拡大)

「Duet for Microsoft Office and SAP」でOutlookと SAP CRMを機能連係させた画面。右側にDuetの文字が見える(画面クリックで拡大)

 SAP CRM 2007は特定の業界に特化したCRMの新機能を拡張している。たとえば、消費財メーカー向けの「販売促進費管理(Trade Promotions Management)」によって、メーカーが小売業者に支払うリベートや販売促進費、店舗支援費用などを一元管理できるようになった。同機能によって、従来、製品ブランドの販促費と小売店ごとに異なるリベートなどが絡み合い、複雑化していた「販促プロモーションにおけるコスト分析」やそれにともなう「販売促進プラン」の作成が可能となっている。

 また、コールセンター業界に向けて「顧客対応最適化機能」も追加している。同機能は顧客情報の中から、購買単価の減少などによって離反しそうな顧客を見つけ出す。そこで、担当オペレーターが製品の不満点を顧客から直接聞き出したり、新たなプロモーションを打ち出すことで顧客離れを防ぐ。「業界の個別事情を反映したニーズに特化した新機能を追加することで、新たなマーケットをつくる」と桃木氏は述べる。

 2007年5月に発表されたIDC ジャパンの調査によると、SAPは「国内におけるCRMライセンス売上高シェア」のトップを走る。今後のさらなる市場シェア拡大のために、「手作りCRMシステムを狙っていく」と岡村氏は語る。岡村氏は「E-SOAを推進することで、ユーザーが日常的に使うUIを変えずに、バックシステムをSAPに変えることができる。既存のCRMシステムからSAP CRMへの置き換えを企業に提案していく」とさらなるシェア拡大の意気込みを見せた。

■関連サイト

カテゴリートップへ