旧泰緬鉄道で有名観光地カンチャナブリーに行こう!
腕時計を見ると午前11時30分なので、まだ鉄道の長距離列車の発車時間には3時間以上あるし、切符の予約もしていない。さて、一体どこへ行こう? そこで気付いた。トンブリー駅へ急げば、ナムトック駅行きの普通列車でカンチャナブリー観光に出発できることに。
カンチャナブリーとは、英国映画「戦場にかける橋」で有名なクワイ川鉄橋(メクロン河永久橋) で知られる観光地だ。バンコク都から西に約150kmという絶好のロケーションのおかげで、週末になるとバンコク在住の若者たちがこぞって集まる。
発車10分前にトンブリー駅に到着した。乗車するのは全三等車で構成される普通列車259番。トンブリー駅~ダリンチャン分岐点~サーラーヤー駅~ナコン・パトム駅~ノーン・プラードゥック分岐点~カンチャナブリー駅~クウェー・ヤイ橋停留所~ワンポー駅~ナムトック駅を、時刻表によれば約4時間30分かけて走る鈍行列車だ。なお、始発駅のトンブリー駅から目的地のカンチャナブリー駅までの所要時間は約2時間30分となっている。
乗車券を買おうとしてビックリした。トンブリー~カンチャナブリー駅間の乗車料金が100(約370円)バーツに値上がりしている(昔は40バーツしなかったのに!)。「すみません、外国人料金ですか?」と尋ねると「違います。ナムトック駅行きの列車は運賃を値上げしました」と答えた。
ちょっと不機嫌になったが、気を取り直して前から3両目の客車に乗車した。夜行等の長距離列車なら、三等車でも発券時に一応座席番号が指定されるのだが、運行距離の短い昼行列車扱いの259番では全席フリーだ。平日なためか、それとも乗車料金の値上げのせいか、客車内はガラガラだ。正直、100バーツ払えば快適なエアコン二等長距離バスに乗車できるだけに、かなり微妙な料金設定と言える。
運賃の値上げのショックで、次第に撮影意欲が減衰していった。デジタル一眼レフカメラをバッグから取り出す気にならず、コンパクトデジタルの「IXY DIGITAL 50」で適当に撮影してお茶を濁していた。しかし、列車がサーラーヤー駅のホームに入線すると状況は一変した。突然若いタイ人の女の子とその家族が乗車してきたのだ。女の子の名前はJちゃん。彼女のおかげで下がりまくりのテンションが上がってきた。
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