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日本のIT産業の競争力は世界第2位――BSAが調査結果を発表

2007年10月01日 20時39分更新

文● アスキービジネス編集部

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ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、英国エコノミスト誌グループの調査機関に委託して実施した、「IT産業競争力のベンチマーク」の調査結果を公表した。初めて行なわれたこの調査で、日本のIT産業の競争力は世界第2位につけた。


特許件数で突出、研究開発に投資


日本のIT産業の競争力は 世界第2位――BSAが調査結果を発表

BSA副会長兼アジア太平洋地域責任者のジェフリー・ハーディー氏

日本のIT産業の競争力は 世界第2位――BSAが調査結果を発表

BSAが発表した「IT産業競争力指標」

BSAが発表した「IT産業競争力指標」

 「IT産業競争力のベンチマーク」は、ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)が、英エコノミスト誌グループの調査機関である「Economist Intelligence Unit」(EIU)に委託し、64カ国を対象にして行なわれた。BSA副会長兼アジア太平洋地域責任者のジェフリー・ハーディー氏は、調査の狙いを「IT産業の活性化のために、自国のどこが強く、どこが弱いのか、どのような政策をとるべきかを明らかにするため」と説明する。

 今回の調査では、評価項目を「総合的なビジネス環境」「ITインフラ」「人的資本」「法的環境」「研究開発環境」「IT産業発展の支援」の6つのカテゴリに分け、計25の指標を用いた加重採点モデルを採用。PC普及台数などの“量的指標”と、法の整備状況などのチェックリストを用いた“質的指標”を組み合わせ、算出に用いたデータソースには「国際的かつオープンなデータで、なるべく最新のものを使用した」(BSA)という。

 調査によって算出された「IT産業競争力指標」によると、日本のIT産業の競争力は100点満点中、72.2点で世界第2位。第1位はアメリカで77.4点、第3位は韓国と英国(ともに67.2点)で、オーストラリア(67.2点)が続いている。

 日本の評価結果について、カテゴリ別に詳しく見てみると、総合的なビジネス環境が24位、ITインフラが17位、人的資本が9位などとなっており、どれも決して高くはない。ただし、1つだけ突出してスコアが高いのが「研究開発環境」(84.3点で1位)。同調査では、6つのカテゴリのうち、研究開発環境の配分を25%と他に比べて多く割り当てているため、結果的に日本は総合2位に着けることになった(下の表を参照)。

日本のIT産業の競争力は 世界第2位――BSAが調査結果を発表

IT産業競争力のカテゴリ別の結果。カテゴリ名の後の()内の数字は配点の割合

BSAが発表した「IT産業競争力指標」

 調査結果を受けて、ハーディー氏は「アジア地域のIT産業は、今後、世界で強力な国際勢力となる可能性があり、日本は中でも重要な役割を果たすことになるだろう」と日本への期待感を表明。また、ゲストスピーカーとして説明会に登壇した早稲田大学教授で国際CIO学会会長の小尾敏夫氏は、日本の研究開発費が他国に比べても高いことを示すデータをもとに、「ここ10数年、日本の景気は決してよくなかったが、研究開発への投資を落とさなかった。非常によくがんばったと思う」とコメントした。

 ただし、今回の調査結果を読み解くには注意も必要だ。というのも、研究開発環境のカテゴリで重視されている「年間の特許登録数」は、「ITとIT以外とを分けた統計値が存在しなかったため」(ハーディー氏)、IT関連だけでなくすべての特許を含めた件数となっている。同氏は「フィードバックをもとに、次回の調査では見直しを検討したい」と説明するが、少なくとも今回については、この点を考慮に入れる必要がありそうだ。

 BSAは、ソフトウェアベンダーなど38社が加盟する非営利の業界団体。政策提言、権利保護支援、教育啓発の3つを柱に、世界80以上の国や地域で活動している。ハーディー氏は、今回の調査について、「できれば毎年実施し、比較できるようにしたい」と述べている。

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