苦戦必至、勝算はあるのか
編集部に届いた包みの中には3人分のパッケージが含まれていた。どうやら、このヴィクトリアを使って、日ごろの鬱憤を晴らそうというのが、相手の狙いらしい。
聞くところによると、月刊アスキーの中西は毎日2時間かけて往復しているつくばエクスプレスの中で、このゲームを相当にやりこんでいる様子。同じく清水も世界史オタっぷりを発揮して、このゲームの分析に余念がないようだ。
かたやWEB.ASCII編集部の面々はプレー経験ゼロ。ゲームをマシンにインストールしてみたものの、パラメーターの多さと選択肢の豊富さに、かなり面食らってしまっている状況だ。
果たして、勝負は成り立つのか……。次回に続く。
【ひとこと言わせろ!】
月アス清水の“大人の”ヴィクトリア体験
ヴィクトリア・レボリューションは第一次世界大戦にいたる世界の動きを実に見事に抽象化している。
世界の国々は、大国も小国もそれぞれの悩みを抱えており、それらが複雑に絡み合って世界は構成されている。そんな当たり前のことをこのゲームはプレーヤーに伝えてくれるのだ。
フランスでやるとドイツの身勝手さに憤りすら感じるが、ドイツでやってみるとその苦しみが理解できたりする。植民地を奪ったとしても、インフラの整備やら、反乱の処理やら何かと大変で、金銭的なメリットも実はそこまでない。何よりも、戦争ってカネがかかるし、人も減るし、外国と仲が悪くなるし、あんまりいいことがないってことがよく分かる。
でも、中には得する戦争があるのも事実。それぞれの国の事情で自然と戦争へと突入する場合もあるし、まったく望んでない戦争に巻き込まれてしまうこともある。平和は難しい。
太陽の沈まない帝国イギリスは、非常に有利だ
このゲームをやる人に一度はお勧めしたいのが、19世紀の覇権国家イギリスを自国に選択することだ。理由は“何でもできる”から。強引に弱小国を併合したり、裏から大戦を演出したり、世界中の海を大艦隊で封鎖したりとやりたい放題だ。イギリスの力を持ってすれば、世界に恒久平和をもたらせるかも! まあ、武力で、だけど……。
でも少しやってみるとそう簡単でないことが分かる。まず第1に異常にカネがかかる。 世界中の揉め事を鎮圧するにはなんといってもカネが必要だ。さらに、世界中に目を光らせるには手間もかかる。今日はインド、明日はアフリカとパニック寸前。また同盟国の扱いも大変。勝手に戦争を起こした挙句、「助けてくれ」とか言われるともうアタマにくる。しかたがないので介入したら、今度は世界中から悪者扱い。覇権国家も楽じゃないなあ。初めてブッシュ大統領に少し同情してしまった。
理想を抱けるものこそ勝者
じゃあ、わが国はどうしたらいい? と言う部分にこのゲームは完璧な答えを与えてくれない。「それぞれの立場を踏まえつつ、厳しいけど、うまく立ち回ってください」というサラリーマンが上司から受ける説教みたいな、ありきたりなところに落ち着く。でも、少しだけうまく立ち回れば、少しだけ良くなって、その少しが100年積み重なると、違う歴史が生まれていたりするのがヴィクトリア・レボリューション。なんてオトナのゲームなんだ。
要するにこのゲームは単なるエンタテイメントに終わらないものを持っている。やってるうちに、知らず知らず世界の仕組みや、問題の本質、その解決法などに興味が湧いてくる。世の中のしがらみや矛盾に懸念を感じる人ほど、面白さを感じられるはずだ。