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21世紀版マーフィーの法則 発売記念特別企画

21世紀におけるマーフィー学 Act.3 ヒューマン・ファクター

2007年08月16日 05時00分更新

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地球上の知力の合計は常に一定。
でも人口は増え続けている。
The sum of the intelligence on the planet remains a constant; the population, however, continues to grow.
(コール氏の公理)



1993年の『マーフィーの法則』から足かけ15年、約1600個まで法則が追加された『21世紀版 マーフィーの法則』が発売された。そのコンピューターにおける有効性を証明する。

簡単にできると思ったら
何かが間違っている。


 マーフィーの法則の語源は、カリフォルニアはエドワード空軍基地で働いていたエドワード・アロイシャス・マーフィーjr.というエンジニアの名前に由来する。1949年、ある実験プロジェクトのなかで、16個の計測パーツすべてが、逆さまに取り付けられていたのを見つけてマーフィーが言ったのが、「何かをするのに何通りかあり、そのうちの1つがうまくいかないものであるとき、誰かがそれに行き当たり試してしまうものだ」という言葉だった。

 これが、「失敗する余地のあるものは、失敗する」というふうに単純化されて、航空機業界からマーフィーの法則として知れ渡っていった。要するに、オリジナルのマーフィーさんが言っているのは、「あり得ないことをやるバカがいる」とか「1+1=2のような問題も間違うものだ」というようなことだろう。なんだか当たり前のような気もするが、「人間は、基本的に誤りをおかすものである」というエンジニアのあるべき態度が示されていると思う。



今回の参考法則

●単純な仕事でも、間違いようが無いほどには単純ではない。
There is no job so simple that it cannot be done wrong.
(ペルッセルの法則)

●作業場で道具を落とすと、もっとも手が届きにくい隅っこに転がり込む。その際、必ず落とし主のつま先に当たってから、その隅っこに行く。
Any tool, when dropped, will roll into the least accessible corner of the workshop. On the way to the corner, any dropped tool will first always strike your toes.
(アンソニーの作業場の法則)

●つねにもう一匹のバグが存在する。
There's always one more bug.
(ルバースキーの人工頭脳・昆虫学の法則)



 コンピューター業界でマーフィーの法則がもてはやされたのは、この業界が“人間はいかに間違うか”をよく表わしているからだろう。バグ(プログラムの誤り)、操作ミス、データ入力エラー、西暦2000年問題など、間違いに関する用語は多い。マーフィーの法則の最大のテーマは「ヒューマン・ファクター」だったのだ。


カッコいいからではない
ブレードサーバーの目的

 日本IBMさんにおじゃまして、今回見せてもらったのは、調査会社によれば4年連続国内シェア、ナンバー・ワンだという“ブレードサーバー”である。ブレードというのは直訳すれば「刃」のこと。通常、サーバーはオーディオラックのように横に積み上げる形になるが、ブレードサーバーでは、本体を縦にセットしていく。実は、私は、これの本当の価値がよく分かっていなかった。

日本IBMの『BladeCenter』

日本IBM(http://www.ibm.com/jp/)の『BladeCenter』はケーブルを最大 83%削減でき、コスト削減と信頼性に優れている。 撮影/パシャ

 ブレードサーバーでは、どうしても“ブレード”自体に目がいってしまうが、1つのシャーシに何枚もブレードが刺さり、それがラックに装着されるところにミソがある。ブレードサーバーのメリットとして、「ITインフラ統合などに柔軟に対応できるシステムが作れる」といったことが謳われている。しかし、それにもっとも貢献しているのは、従来のサーバーの約2分の1の設置面積ですみ、なおかつケーブル類を大幅に減らすことが出来る点ではないかと思う。設置面積とかケーブルとかいうと、いかにもローテクな話に聞こえるかもしれない。ところが、「システムトラブルの70%はケーブルの緩みである」という調査結果があるのだそうだ。このままマーフィーの法則に収録してもよいようなことが、コンピューター業界では平気で起こっていたわけなのだ。

ケーブルだらけのサーバーの裏側。

ケーブルだらけのサーバーの裏側。これが1本でも緩んでいたとしたら…。 撮影/パシャ

 サーバーがギュッと寄せ集められ、ケーブルが整理されて減ったことで、信頼性も管理性も向上する。ブレードは、マーフィーの法則対策に開発された製品かもしれない。

『21世紀版 マーフィーの法則』

アーサー・ブロック 著
松澤喜好・松澤千晶訳
アスキー刊
定価:本体1600円+税
ISBN:978-4-7561-4957-2

米国版の26周年記念版“Murphy's Law: The 26th Anniversary Edition”の日本語全訳。全面改定により法則が大量に追加され約1600個を収録。
http://www.ascii.co.jp/m/

はみだしマーフィー 『マーフィーの100の成功法則』、『~黄金法則』のジョセフ・マーフィーは、まるで別物なのでお間違えのないよう。


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