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21世紀版マーフィーの法則 発売記念特別企画

21世紀におけるマーフィー学 Act.4 超越原理

2007年08月23日 10時00分更新

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スペアのボタンが付いてくるシャツは、
ボタンをなくすことはない。
Shirts that come with extra buttons never lose buttons.
(スペアのボタンの原則)



1993年の『マーフィーの法則』から足かけ15年、約1600個まで法則が追加された『21世紀版 マーフィーの法則』が発売された。そのコンピューターにおける有効性を証明する。

人は論理思考よりも、
超越的な思考を好む。


 人々に、ものごとを論理的に判断する習慣がついたのは、たかだか数百年ほど前からである。科学分野ですら、16世紀には錬金術師と化学や生物学が、まだ未分化の状態にあった。17世紀、実験物理学の基礎を築いたパスカルの『真空の実験』は有名だ。パスカルが、生まれ故郷の山(ボルビックのラベルに描かれている山らしい)に登って証明するまで、人々は“自然は真空を嫌う”という古代ギリシャの哲学者アリストテレスの思想を信じていたのだ。人間は、実験から導き出した考えよりも、むしろ直観的な“答え”のほうを好む傾向がある。実は、パスカルの実験も、近年の研究では、実際には行なわれなかったことが明らかになってきているそうだ。

 さて、なぜ理屈抜きの答えのほうが好まれるのか?その理由は簡単で、しばしばそちらのほうが正しい判断となるからだ。そうした、“超越原理”ともいうべきパターンも、マーフィーの法則のひとつの側面である。「今回の参考法則」もご覧あれ。



今回の参考法則

●誰でも、私は辞任しないと4回言った場合は辞任する。
Anyone who says he isnナft going to resign, four times, definitely will.
(ガルブレイスの政治の法則)

●新鮮なとき硬かったものは腐るとやわらかくなる。新鮮なときにやわらかいものは腐ると硬くなる。
Any food that starts out hard will soften when stale. Any food that starts out soft will harden when stale.
(イサックの腐敗の奇妙な規則)

●アドバイスには良すぎるものがある。たとえば、「汝の敵を愛せよ」。
There is some advice that is too good ? the advice to love your enemies, for example.
(ハウの定理)



コンピュータートレンドは、
なぜ仮想化を求めたのか?

 今回は、サーバーの“仮想化”について探る。仮想化とは、1台のコンピューターの中で、複数のOS、複数のサーバーが動くことをいう。コンピューターが、戸建てからマンション住まいになったような感じである。例によって、日本IBMの人に聞いてみた。

 私がプログラマーをやっていた20年以上前、1台の大きなコンピューターで、たくさんの仕事を同時にこなすのが普通だった。やがて、ワークステーションやパソコンが出てきて1台を占有するようになる。それでは、なぜ再び1台のコンピューターを、いろいろな仕事で同時に使うようになったのか。一体、どちらが正しいのだろう?

システム以外の設置場所や管理コストが相対的に大きくなっている

システム以外の設置場所や管理コストが相対的に大きくなっている。n台が1台になればコストは下がり管理面のメリットもある。 撮影/パシャ

 仮想化が出てきた理由の1つに、マシンのCPUパワーが有り余っているというのがあるそうだ。読者のパソコンも『タスクマネージャ』で確認すると、動画再生くらいでは能力の10%も使っていないはずだ。1台で複数のサーバーでやる仕事をこなしてしまえば、電気代、設置場所とその空調設備、合計の保守コストも節約できる。電気代が減れば環境対策上もよろしい。

 もっとも、仮想化の“真価”は、それ以上のものがある。IBMが採用するVMウェアでは、仮想化された1つのサーバーが、まるで1つのファイルのように扱いやすくなる。システム統合や新しいハードウェアへの移行、傷害対策や復旧も容易となる。つまり、システム管理面のメリットが大きい。

IBMのSystem x/Blade Center

評価の高いVMwareによる仮想化を採用したIBMのSystem x/Blade Center。最新のハードウェアでは、1個のCPU上で5~6個のOSが十分に動作するそうだ。 撮影/パシャ

 いいことづくめに見える仮想化だが、1台で複数のサーバーを動かすということは、ハードウェアに対する性能や信頼性の要求は高くなる。ハードウェアの信頼性については、この連載で紹介してきたとおりだ。IBMでは、Director』というハードウェア傷害対策や『Virtualization Manger』など独自のシステム管理ツールが差別化になっているという。

 仮想化は、「マシン性能だけが上がり、力が有り余っている」というマーフィー的な観測から始まって、きわめて合理的な答えにたどりついたという印象がある。マーフィーの法則にも「明白なことに気づくのに何年もかかることがある」のだったというのがあるのだった。

『21世紀版 マーフィーの法則』

アーサー・ブロック 著
松澤喜好・松澤千晶訳
アスキー刊
定価:本体1600円+税
ISBN:978-4-7561-4957-2

米国版の26周年記念版“Murphy's Law: The 26th Anniversary Edition”の日本語全訳。全面改定により法則が大量に追加され約1600個を収録。
http://www.ascii.co.jp/m/

はみだしマーフィー 『マーフィーの100の成功法則』、『~黄金法則』のジョセフ・マーフィーは、まるで別物なのでお間違えのないよう。


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