フィードパスは6月6日、企業向けブログシステム「blogengine」の最新版を発表した。新版では、既存ユーザーの声を取り込み、タグによる記事の分類を追加したほか、足跡やランキングといったSNSでおなじみの機能を実装している。
「足跡」「ランキング」で社内利用を活性化
「blogengine」は、イントラネットでの利用に特化した企業向けブログシステムである。フィードパス自体は製品としての直接販売を行なわず、OEMとしてパートナー各社に供給。パートナーが自社のターゲットとする顧客や戦略に基づき、カスタマイズして販売する形態をとっている。OEM供給先は、日立製作所の「BOXERBLOG iB」や、サイボウズの「Cybozu Blog」などである。
blogengineの新版となる「blogengine 1.3.3」では、使い勝手の改善と利用促進のための機能強化が図られた。
まず、使い勝手の面では、ユーザー管理機能を改善し、部門やグループを設定できるようにした。従来はユーザーごとに投稿・閲覧権限を設定可能だったが、新版では部門やグループ単位でも権限を管理できるようになった。
また、ブログ記事を投稿する際に、記事単位でタグを付与できる「タグ分類機能」が実装された。1つの記事に対して、「議事録」「営業会議」といった複数のタグを設定することで、タグごとに関連する情報を横串で見ることができる。なお、タグそのものは管理者側であらかじめ登録しておき、投稿者は登録済みのタグの中から投稿時に選択する。
利用促進のための新機能としては、「足跡」と「ランキング」機能が追加された。いずれも、利用者のモチベーションを高めて、社内ブログとしての利用を活性化させるための機能である。
足跡は、自分の記事に対して誰がアクセスしたか履歴を確認できる機能。ユーザー名とプロフィール画像、アクセス日時を表示する。機能のオン・オフは任意に設定可能。ランキング機能は、3日前/7日前/1カ月前といった期限ごとに、アクセス数/記事の投稿数/コメント数の順位を表示する機能である。
このほか、「基幹系との統合利用のニーズが強い」(取締役CTOの後藤康成氏)として、OEMパートナーを対象にAtomAPIの公開に踏み切った。同APIを利用することで、外部システムからブログ記事の投稿や参照が可能になる。既存のEIP(企業内情報ポータル)やグループウェアへの組み込みを想定している。
こうした新機能は、いずれも実際にユーザーから寄せられた強い要望に基づくものだという。事業推進部マネージャーの松田浩治氏は、「我々の強みは、OEMによって幅広いユーザーに対して製品を提供していること。その分、幅広い声を集めて、製品に反映させていくとができる」と話す。
500社・2万2000ユーザーに採用、トップレベルのシェアに
後藤氏によると、国内の社内ブログシステムの市場は、日立製作所やサイボウズの製品が高いシェアを持つ分野。そのため、blogengineは「実質的なナンバーワン」(後藤氏)の位置にある。実際、blogengineは、過去2年間で500社・2万2000ユーザーの出荷実績(同社からOEMベンダーへのライセンス提供数)を上げている。
特に昨年10月から、中小企業向けのグループウェア市場で高いブランド力を持つサイボウズが取り扱いを始めたことで、「中小企業の採用が非常に伸びている状況」(後藤氏)だという。一方の日立製作所のBOXERはサッポロ飲料や大塚製薬、ウィルコムといった大企業に食い込んでいることから、「大企業から中堅・中小企業まで、フルレンジでカバーできるようになった」(後藤氏)。
今回の新機能は、今後、OEMパートナー各社の製品に順次実装されていく予定である。