安心感のあるボディーと動作
同社デジタルカメラが上位機の“FinePix S”シリーズを除き、繊細で柔らかい印象の曲面で構成されたデザインに統一されつつあるなか、工事・建設現場向けという特殊な用途とはいえ無骨なデザインは新鮮ではある。大柄なボディーもあって3インチの大型液晶パネルと大きめの操作部がうまく共存できており、液晶パネルのサイズを優先したあまりに操作系が小さくなってしまいがちな昨今のコンパクト機とは一線を画した快適さだ。
マニュアル露出はなく自動露出+露出補正というオート機で、露出補正機能もメニューから呼び出すためアクセス性はあまりよくないものの、FinePixシリーズで定評のある自動露出はほとんどのシーンで露出を外すことはなかった。撮影画像では、FinePixにも通じる鮮やかな色調とコントラストにより見栄えのする絵作りとなっており、低ISO感度域ではノイズ感もほとんどなく良好な画質だ。最高感度で撮るとややノイズが載ってざらついてしまうが、工事現場などでの使用ではディテールの判別に十分な能力だろう。
気になったのは単3電池×2本の電池構成。アルカリ乾電池では約120枚、ニッケル水素充電池を使えば約340枚撮れるという仕様は単3電池×2本の電源としてはかなり長寿命なできで、個人ユーザーが丸1日使うのであれば十分だろうが、大量の撮影記録を残すようなシーンではやや物足りないのではなかろうか。もちろんカメラの用途を考えれば手軽に入手できる単3電池を電源に使うのは当然としても、少しボディーが大きくなるという犠牲を払ってでも単3電池×4本構成にして、長寿命化を図ったほうがよかったのではないか。
本機は工事現場の記録が主な用途ということもあって、パーソナルユースのデジタルカメラと同等に扱うわけにはいかないが、きっちりとした写りや操作しやすいボディー形状、目的に絞った撮影機能など、非常にうまくまとまっており好感が持てる。なお、本機種は一般的なコンパクトデジタルカメラと同様に店頭販売されているので、例えばスキーや登山、マリンスポーツなどに頻繁に持ち出して、手袋をしたまま多少乱暴に扱うケースが多い、というアウトドア派が選ぶ1台としても候補に挙げられそうだ。
また、デジタルカメラ初となる画像加工検出技術は、工事現場写真の偽造による事件なども実際にあっただけに工事現場用カメラとして重要な機能と言えるだろう。普通のスナップ写真ですら悪質なコラージュやレタッチされた画像がインターネットで流れている現状を考えれば、一般ユーザー向けのデジタルカメラにもどしどし搭載してほしいものだ。
FinePix BIGJOB HD-3Wの主なスペック | |
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製品名 | FinePix BIGJOB HD-3W |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効604万画素CCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、f=4.7~14.1mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~84mm) |
静止画撮影 | 最大2816×2112ドット |
ISO感度 | オート、ISO 64/100/200/400/800/1600相当 |
動画撮影 | 640×480ドット/30fps/MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 3インチTFT液晶パネル/約23万画素 |
記録メディア | 内蔵27MBフラッシュメモリー&xDピクチャーカード |
インターフェース | USB、AV出力、DC入力 |
電源 | 単3電池×2本(アルカリ乾電池、ニッケル水素充電池) |
撮影可能枚数 | アルカリ乾電池:約120枚/ニッケル水素充電池:約340枚 |
本体サイズ | 128.3(W)×45(D)×80.5(H)mm |
重さ | 約385g(本体のみ)/約420g(装備重量) |