レノボ・ジャパンは第3世代のThinkPadシリーズに、タブレットPCである「ThinkPad X60 Tablet」を追加し、12月下旬より販売開始することを発表した。
「リアル・モバイル」用途に適したThinkPad X60 Tablet
レノボ・ジャパンのストラテジー&マーケティング担当執行役員 石田聡子氏は、PCと強力に進化したネットワークの組み合わせによりあらゆる場所が「オフィス」となりうることを示し、ユーザーが常に持ち運んで利用する「リアル・モバイルPC」の必要性を訴えた。石田氏は常時持ち歩くノートPCに求められる要素として、軽量で長時間のバッテリー駆動ができるなどの携帯性、万が一の紛失・盗難時にもデータを保護できるセキュリティの2点を挙げ、それらは性能の高いCPU、ユビキタスなネットワーク、堅牢性といったシステム基盤により実現されていることを示した。そして、同社のノートPCのブランド「ThinkPad」は現在、第3世代であり、前述のシステム基盤の要素を備えていることを説明した。そしてこの第3世代ThinkPadに新たに追加されたのが、今回発表された「ThinkPad X60 Tablet」である。
ThinkPad X60 Tablet(以下X60T)は、デュアルコアのインテルCore Duo L2500(1.83GHz)を採用し、最大で3GBまでのDDR2 SDRAMを搭載可能で、Windowsマシンとしての基本性能は十分だ。ディスプレイはデジタイザーペンだけでなく指での操作も可能で、屋内外を問わず視認性を向上させた「マルチタッチ/マルチビュー」液晶を採用している。出荷は12月下旬を予定しており、価格は26万1450円から。
石田氏は、タブレットPCに対する企業内需要として、たとえば「作成したプレゼンテーション資料を上司がレビューをして『朱書き』で訂正を入れる」といったようなこれまでのワークスタイルの延長としての使用方法を挙げる。
さらに石田氏は、東京大学の教育の情報化プロジェクト「TREE」において、マイクロソフトとともにレノボ・ジャパンが協力し、同プロジェクトにX60Tを提供することを発表した。
反射率を抑えた「マルチタッチ/マルチビュー」液晶
続いてレノボ・ジャパン取締役副社長 研究・開発担当 内藤在正氏が登壇し、X60Tに関する技術的な解説を行なった。マルチタッチ/マルチビュー液晶は、(1)デジタイザーペンだけてなく、指でのポイントも可能(マルチタッチ)、(2)屋内でも屋外でも優れた視認性(マルチビュー)を持つ、といった特徴に加え、液晶の向きを変えると自動的に画面の向きを変える「アクティブ・ローテーション」機能を備える。
タッチパネルを備えたディスプレイは多層構造になるため反射率が高くなり、視認性が劣化する。レノボ・ジャパンでは、円偏光(波長の向きが揃っている光)を応用して反射光を抑制しており、反射率は通常の液晶ディスプレイの6%に対して、1.6%まで低減している。
現状のタブレットPCにインストールされている「Windows XP Tablet PC Edition」はWindows XPにタブレット機能を追加したもので、パソコンベンダーにとっては通常のWindowsとは別のサポートが求められる。一方2007年1月30日にリリース予定のWindows Vistaは、タブレットPCに対応した機能を包含しているため、VistaのリリースはタブレットPCへの追い風となる可能性がある。石田氏は現状のタブレットPCの売り上げを「四半期あたり数千台の下のほう」と表現し、ThinkPad X60 Tabletの発売により、「5000台以上/四半期」を目指すとした。
- ■関連サイト
- レノボ・ジャパン株式会社
- http://www.lenovo.com/jp/ja/
- 東京大学TREEプロジェクト
- http://tree.ep.u-tokyo.ac.jp/