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オンキヨー、横幅205mmのオーディオPC『HDC-1.0』を発表

2007年02月01日 15時00分更新

文● 編集部 小林久

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オンキヨー(株)は1日、オーディオ設計技術に関する同社のノウハウを投入したデスクトップパソコン『HDC-1.0』を発表した。価格はオープンプライス。2月3日から順次出荷する。

HDC-1.0:本体1

オンキヨーが発表した横幅205mmのオーディオパソコン『HDC-1.0』



デスクサイドにさりげなく置きたい“205mm筐体”


『HDC-1.0』は、同社の単品仕様ミニコンポ“INTEC 205”シリーズと親和性の高い横幅205mmの筐体を採用。フォームファクターは“Mini-ITX”で、CPU(Core 2 Duo T5500-1.6GHz)、チップセット(インテル945GM+ICH7M)、HDD(2.5インチ 120GB)などは、ノートパソコン用のものを採用している。後述する“双方向無線リモコン”を使ったモニターレスでの音楽再生など、他社のAVパソコンにはない試みも盛り込んだ。

本体にはUSBキーボードとマウスが付属。背面にはDVI-I端子を装備しており、変換コネクターを介して、パソコン用ディスプレーのVGA入力や薄型テレビのHDMI入力にも対応できる

単体販売(実売21万円前後)のほか、プリメインアンプとのセットモデル『APX-1』(実売25万円前後)や、新開発アクティブスピーカーとのセットモデル『SPX-1』(実売26万円前後)も用意される。出荷時期はAPX-1が先行して2月3日。他の2モデルが3月上旬だ。

HDC-1.0の主なスペック
CPU Core 2 Duo T5500-1.66GHz
メモリー  1GB (PC2-5300)
チップセット インテル945GM+ICH7M
HDD 120GB (2.5インチ/シリアルATA)
光学式ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
オーディオ出力 アナログ音声出力(RCA)、SPDI/F光デジタルオーディオ出力(角型)
オーディオ入力 アナログ音声入力(RCA)
USB 2.0/IEEE 1394 USB2.0×6(前面2ポート)、IEEE 1394(6pin)
その他 DVD-I端子、10/100/1000BASE-T
本体サイズ 幅205×奥行き240×高さ92.5mm
重量 3.0kg


ファンレスではないが“静か”


オーディオ機器に迫る音質を実現するために、同社が特に重視したのが、熱対策(冷却機構)と騒音の低減だ。

熱対策に関しては、筑波にあるインテル(株)の研究所が協力。CPUやチップセットから発する熱を、大型のファンとエアダクトで効率よく排出し、低いファンの回転数でも十分な放熱性能が得られる設計とした。

また、音に影響を与える振動に関しても徹底した対策を施している。ブチルゴムを利用して、振動の原因となる回転系の部品(光学式ドライブやファンを内蔵したエアダクトなど)を中空に浮かせたり、防振テープなどを適所に使用して、共振による騒音の発生を防いでいる。これらの対策により、マシンの騒音も22dBと非常に小さく抑えられている。

HDC-1.0:内部画面1

廃熱には大型のダクトを使用。制震テープなどを利用した振動対策も行なっている

HDC-1.0:内部画面2

エアダクトとシャーシとの接続部分にはブチルゴムを使用し、共振を防いでいる

HDC-1.0:内部画面3

ドングルを利用して付属リモコンと双方向通信が可能

音質の肝となるサウンドカードは『SE-90PCI』のカスタマイズ品。SE-90PCIは音にこだわる自作ユーザーを中心に高評価を受けている。グランド電位を安定させる“銅バスプレート”やデジタル信号をアナログ信号に変換する際に生じる“パルス性ノイズ”を除去する独自技術“VLSC”も健在だ。本体背面には、アナログのステレオ入出力(金メッキRCA端子)とSPDI/Fの光角型デジタルオーディオ出力を装備する。

HDC-1.0:内部画面4

サウンドカードはSE-90PCIのカスタマイズ品。製品版では写真手前に置かれている基板を使用するという

付属のリモコンは、2.4GHz帯の無線を使ってパソコンを操作できるほか、赤外線経由でアンプやスピーカーの音量調整が行なえる。リモコンの上部には、小型のモノクロ液晶ディスプレーが装備されており、パソコンのディスプレーを消した状態でも、現在再生しているファイルの曲名やアーチスト名の参照やパソコン内の音楽ファイルの選曲操作を行うことができる。



高音質を手軽に楽しめるセットモデル


3モデルのうち先行販売されるAPX-1に付属するアンプ(A-905HD)は、“INTEC 205”シリーズのアンプ『A-905FX』と同一の仕様。本体のデザインに合わせ、アルミ製フロントパネルを梨地処理からヘアライン処理にするなど、外観を変更している。背面にはバナナプラグ対応のスピーカーターミナルを備えており、市販の単品スピーカーを自由に選択することができる。

HDC-1.0とA-905HD

左側がAPX-1に付属するアンプ(写真左)。仕様は205mm幅の単品プリメインアンプ『A-905FX』と同じだという

HDC-1.0:背面パネル1

HDC-1.0の背面パネル

一方、SPX-1はワンボックスのミニコンポのような手軽さがウリ。付属のスピーカーはデジタルアンプ内蔵で、オンキヨー製スピーカーの特徴であるA-OMFモノコックコーンウーファーやリング型ツィーターを使用する。背面にアナログ2系統のステレオ入力(金メッキRCA端子)、光角型のデジタル入力を備え、複数の機器の接続が可能なほか、サブウーファー出力やヘッドホン出力(3.5mm径)も備えている。

SPX-1:外観

SPX-1付属スピーカーの外観。D-D1Eをベースにしているが、下側にアンプを内蔵する関係でフロントバスレフポートの位置と形状が変更されているという

スピーカーは同社の『D-D1E』をベースにしたもので、右チャンネルの下側にアンプを内蔵する関係で、バスレフポートの位置と形状が異なる。また、デザインも同社のブックシェルフスピーカー『D-312E』の雰囲気を受け継ぐヨーロピアンテイストのツートンカラーにしている。

SPX-1:使用ユニット

使用されているユニットは、同社製単品コンポにも用いられているA-OMFモノコックコーンウーファーやリング型ツィーターだ

アンプ部分も新規開発だが、こちらはミニコンポ『CR-D1』に使用されているモジュールをベースにしているという。出力は40W+40W(4Ω)。周波数特性は50Hz~100kHz。CR-D1は、CDプレーヤーFM/AMチューナーなどを1ボックスにまとめたCDレシーバーで、低価格/省スペースながら音質に優れる“高コストパフォーマンス機”として、市場の評価も高い。

SPX-1:デジタルアンプ部

SPX-1に内蔵されるデジタルアンプモジュール。CR-D1のアンプ部分をベースに開発されている



小型筐体と高品質なパワードスピーカーは
PCオーディオのひとつの回答になるか?


SPX-1:本体1

パワードスピーカー付属のSPX-1

今回オンキヨーの試聴室で、e-onkyo music storeで配信中の24bit/96kHz音源を、完成直前というSPX-1で聞く機会を得たが、一般的なパソコン用パワードスピーカーとは一線を画する音質の高さを実感できた。

HDC-1.0:ソフト画面1

HDC-1.0付属の再生ソフト。購入した楽曲の自動登録など、“e-onkyo music store”とシームレスに連携する。

HDC-1.0:ソフト画面2

楽曲の演奏画面iTunesで作成したAACやWMAファイルの再生などにも対応する

コンパクトなシステムだが、適度な重量感と歯切れの良さを感じさせる低域、押し出しの強い中域が魅力。“モーツァルトのピアノ協奏曲”では、低弦にしっかりと支えられたオーケストラのバランスが、コンサートホールで聴く印象によく似ている。また、同じく24bit/96kHzの演歌(森昌子の『越冬つばめ』)では、ボーカルがゆったりと前に出てくる。横幅205mmのパソコンと容積が5リットルの小型スピーカーの組み合わせとは思えないスケール感だ。高域に関しては、わずかなにごりを感じたが、試聴したのは最終調整前の試作機ということなので、この点は最終の追い込みに期待したい部分だ。

試聴室の様子

試聴室の様子

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