株式会社ドワンゴは5月22日、同社が運営する日本最大級の動画サービス「niconico」の新たなバージョン 「(く)」(読み方:クレッシェンド)を2018年6月28日(木)から開始すると発表しました。この情報は「第二回 動画と生放送サービスに対する改善報告会」をニコニコ生放送で実施し、そのなかで発表されたものです。
「6月28日の(く)開始時には、総合トップ・動画トップ・生放送トップページの改修を実施。今後、スマートフォンアプリの改善、ニコニコのカテゴリおよびランキングの見直しを始めるほか、VRライブコミュニケーションサービス『バーチャルキャスト』や『ニコニコ生放送』において投げ銭機能の導入を夏に予定」としています。
さらに、先に発表された「2018年3月期 通期決算」ではniconicoの運営基盤のひとつである「プレミアム会員」数の減少が続いているものの、そのプレミアム会員数は「2019年3月までの間にプレミアム会員数の減少の底打ち」がされ、「2019年3月末時点でのプレミアム会員数が201万人まで回復する」予測を発表しています。
これまで良くない話題が続き、勢いを失ってきたniconicoが、この5ヶ月の間に着実に進めてきた機能改善が進め、そして、ユーザーにその姿勢が受け入れられてもらっているという手応えを感じ、光が見えなかった出口が遠くに見えてきたと感じているようにも思います。
とはいえ、まだまだ状況は厳しく、ライブ配信サービス全体を見渡せば、niconicoは今までのマイナスがプラスマイナスゼロに近づいているにすぎない状況かもしれません。しかし、今回のniconico(く)のサービス開始の発表アナウンスにしかり、プレミアム会員数の底打ちの見通しを出したことしかり、niconicoは反撃の狼煙を上げるスタートラインまでたどり着いたようにも感じます。
こうした動きの背景にはなにがあるのか、を改めて考えたいと思います。
着実に改善が進んでいることをユーザーに実感
2017年4月、4年ぶりに「新しいバージョンとなる niconico(く) を10月にサービス開始予定」としていたものの、結果的に、そのスケジュールはうまく進みませんでした。遅ればせながら、11月に niconico(く) の詳細を発表したものの、この時に発表された新しい新機能やサービスに対する「コレじゃない感」、そしてYouTubeをはじめとする、他のライブ配信サービスでは当たり前にできることができない「現状の仕様をまずはなんとかするべき」というユーザーの声が大きく広がったことは、この連載第69回で紹介したとおりです。
その後、第83回記事で紹介したように、niconicoの運営責任者がドワンゴの代表取締役会長(当時)であった川上量生氏から、取締役の栗田穣崇氏へと代わりました。この大きな変更以降、既存の基本機能改善による「画質・重さ 完全解決」に向けたアップデートが実施されます。
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