昨年発売された“お金で買える最高のGPU”ことNVIDIAの『TITAN X』。TITAN Xは確かに当時最速のシングルGPUではあったのだが、しかし結局のところ、その“最速”の看板は1年持たなかった。2017年3月11日、“FASTER THAN TITAN X”のキャッチコピーと共に、『GeForce GTX 1080 Ti Founders Editon(以降GTX 1080 Ti)』が販売開始されたからだ。
アメリカではNVIDIA専売で1200ドル、日本ではアマゾン専売で17万円のTITAN Xが、アメリカでは699ドル、日本では実売税別10万円程度のGTX 1080 Tiに負ける――。この業界では、後発の低価格モデルに先行品が抜かれるのはごく当たり前の話だ。TITAN Xを購入した人にとってはつらい現実だが、逆に考えれば、TITAN Xを泣く泣く見送ったという人にも、より低価格で高性能なGTX 1080 Tiを購入するチャンスが巡ってきたわけである。
要するに、現状もっとも“速い”ゲーミングPCを組むには、GTX 1080 Tiは欠かせないパーツといえる。しかし、高性能なゲーミングPCを組むのであれば、グラボ以外の性能にもこだわらなくてはならないだろう。
そう、いま自作PC業界で一番ホットな話題といえば、“CPUにインテル Coreプロセッサーを選ぶか、AMDの『Ryzen』シリーズを選ぶか”問題である。すこし前まではCPU、特にゲームPC向けといえば、インテルのメインストリーム向け最上位CPU『Core i7-7700K』が鉄板だった。しかし、8コア16スレッドの高いマルチスレッド性能で低価格を実現したAMDの最新CPU、Ryzen 7シリーズが話題となり、有力な選択肢に食い込んできている。次の自作PCはどちらのCPUを使おうか――そんなふうに悩んでいる読者の方も多いはずだ。
この記事では、GTX 1080 Tiと組み合わせた際のCore i7搭載PC・Ryzen 7搭載PCの性能をベンチマークで計測し、どちらがより優れた選択肢かを明らかにしてみたい。
“量産型TITAN X”GTX 1080 Tiの性能をサクッとおさらい
本格的なベンチマーク検証に入る前に、まず「GTX 1080 Tiとは何なのか」についてまとめてみた。
ここ数年、GeForce系のGPUは型番末尾が“80”のハイエンドモデルが先行してリリースされ、その後にスペックアップした“80Ti”をリリースするのがパターンになっている。今回のGTX 1080 Tiもこのパターンだが、注目すべきはTITAN Xとの違いだ。以下にスペックをまとめてみた。