今、オーディオの世界でもっともホットなジャンルと言えば、ヘッドフォンやイヤフォンと組み合わせて使うポータブルオーディオ。ウォークマンやiPod、あるいはiPhoneやAndroid端末と、ポータブルヘッドフォンアンプを組み合わせ、ヘッドフォンで音楽を楽しむスタイルだ。
ヘッドフォンやイヤフォンは、国内だけでなく海外のさまざまなメーカーのモデルがたくさん輸入されているし、携帯プレーヤーやポータブルヘッドフォンアンプも多種多様に存在する。
市場の盛り上がりに合わせて、高級モデルも続々と投入。10万円を超えるような高級モデルが当たり前になりつつあると思っていたら、ハイエンドモデルとなると30万円を超えることもある世界になっている。
果たして、これだけの高価格な製品でどれほどの音が得られるのだろうか? 購入は無理でも気になっている人は多いはず。そこで、今旬なポータブルオーディオプレーヤーを集めて横並びでの比較試聴を行なうことにした。
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高級モデルの世界へ足を踏み入れる
10万円超えのモデルの実力は?
10万円超の高級クラスは実はかなりのモデルが発売されていて、それぞれに音質も異なる。価格も高くなるので、じっくりと吟味したいところ。
このクラスになると、音質的には最上級と呼べるものになっており、これを気軽な屋外でのリスニングでも味わえると考えるとかなり魅力的に感じる。
プレーヤーに限らず、ヘッドフォンやイヤフォンも高額なモデルが増えているが、そうしたモデルを使うならば、プレーヤーもこのクラスのものから選びたいところだ。
ポイントとしては、DSDの再生に対応するのはもちろんなのだが、11.2MHzにまで対応するか、ネイティブ再生に対応するのかといったところで違いが出てくる。11.2MHzのネイティブ再生が可能な製品を選べば、より忠実な再生ができるだろう。
また、手持ちのヘッドフォンがバランス接続に対応しているのであれば、ぜひともバランス接続対応の製品を選びたい。ただし、まだ端子の方式が完全に統一されているとは言い難いため、ヘッドフォンの端子が4.4mm5極なのか、2.5mm4極なのかといったことを気にかける必要がある。
オーディオ機能に特化した
ウォークマン「NW-WM1A」
10万円越えとなる新ウォークマン「NW-WM1A」(実売価格 12万6000円前後)は、内蔵メモリーは128GBで、アルミ削りだしのボディーの採用などは従来機の「ZX100」と同様だが、回路設計を含めて一段と音質にこだわった作りとなっている。
フルデジタルアンプの「S-Master HX」は新たに再設計されたもので、リニアPCM最大384kHz/24bit、DSD最大11.2MHzに対応。DSD再生はアンバランス出力ではPCM変換だが、バランス出力ではネイティブ再生となる。
また、ヘッドフォン出力も60mW+60mW(アンバランス)、250mW+250mW(バランス)とかなりの大出力となっている。CD音源や圧縮音源を高音質化するDSEE HXも5つの音色モードが用意され、好みに合わせて選べるようになった。
回路設計やシャーシ構造などで低インピーダンス化を徹底して追求したほか、専用に開発したバッテリー、バッテリーからの電源ラインの強化など、あらゆる部分で音質にこだわったパーツを盛り込み、その実力を高めている。
音質調整の機能は、DSEE HXだけでなく、10バンドのグラフィックイコライザーや、アナログアンプに近い低音感を再現する「DCフェーズリニアライザー」など、さまざまな機能を備える。
自分の好みに音質をカスタマイズできる機能がさらに充実したものになっている。ただし、それ以外の機能はストイックなほどに排除されており、Wi-Fiのようなネットワーク機能もないし、動画再生機能さえもない。オーディオプレーヤーに特化した作りだ。
早速試聴をしてみる。なお、今回はすべての機種で同じ条件で聴くため、通常のステレオミニ端子によるアンバランス接続で行なっている。使用したイヤフォンはシュアの「SE846」だ。
その音は、自然な感触が大きな特色と言える。低音の伸びや解像感、高音域の微細な表現や空間の描写など、ディテールの再現もかなりレベルが高いのだが、いわゆる高解像なイメージというよりも、原音をナチュラルに聴かせるような鳴り方をする。
特徴的なのがボーカルで、なめらかでニュアンス豊かな声は耳元でそっと歌っているような極上の感触になる。デジタルオーディオながらもデジタルらしからぬ温度感のある表現が大きな持ち味と言えるだろう。
「NW-MW1A」の主なスペック | |
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内蔵メモリー | 128GB |
再生フォーマット | MP3、WMA、ATRAC、ATRAC Advanced Lossless、リニアPCM、AAC、HE-AAC、FLAC、Apple Lossless、AIFF、DSD(DSF, DSDIFF) |
リニアPCM | 最大384kHz/32bitに対応 |
DSDサンプリング周波数 | 2.8/5.6/11.2MHz |
出力 | ヘッドフォン(バランス、アンバランス) |
Bluetooth | ○ |
無線LAN | ―― |
バッテリー駆動時間 | 約33時間(MP3再生時) |
本体サイズ | 幅72.9×奥行き19.9×高さ124.2mm |
重量 | 267g |
以降のページ(アスキー倶楽部会員向け)では、WM1Aの対抗馬になりそうなAstell&Kernの「AK300」や、30万円越えのハイエンドモデル「NW-WM1Z」や「AK380」などの比較試聴も行なっている。さらに、10万円以下の製品の紹介&試聴も行なう。