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東武鉄道、磁気乗車券を廃止 「QR乗車券」に切り替えへ

2024年05月08日 09時30分更新

文● @sumire_kon

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 東武鉄道は4月30日、「東武グループ中期経営計画 2024~2027」を公表。現行の磁気乗車券を全廃し、QRコードを使った乗車券に切り替える方針を明らかにした。

紙にQRコードを印字した乗車券へ移行か?

 磁気乗車券の廃止は、デジタル技術を活用した持続的な運行体制の確立を目的としたもの。QR乗車券の具体的な仕様は不明だが、スマホアプリなどへの完全移行は難しいことから、紙の切符にQRコードを印字し、改札機で読み取るタイプを採用するとみられる。

 大手私鉄で磁気乗車券の全廃とQR乗車券への置き換えを表明するのは、東武鉄道が初めて。大手以外では沖縄都市モノレール(ゆいレール)のように、磁気乗車券からQR乗車券へ切り替え済みの事業者も存在する。

コストダウンがQR乗車券最大のメリット

 2024年現在、多くの鉄道事業者で使われている紙の切符は、裏面(黒や茶色の部分)に有効区間などの情報を磁気で記録している。各駅の改札機はこの磁気情報を読み取ることで、乗客をそのまま通過させるか、ドアを閉めて窓口へ誘導するかを決めているわけだ。

 QR乗車券は、従来磁気で記録していた情報をQRコードに置き換えたものと考えればわかりやすい。

 磁気からQRコードに変更する最大のメリットは、改札機の維持費を減らせることだ。磁気乗車券対応の改札機では、投入された切符の情報を読み取りつつ、高速で受取口(または使用済み切符の保管箱)まで移動させる機構を搭載しているが、単純なパーツの消耗にくわえ、紙幣など異物の投入で故障することもあり、維持費が高くつくという弱点がある。

 一方、QR乗車券の場合、交通系ICカードのように改札機表面にリーダーを設置すればよいので、改札機の設計を簡素化でき、より低コストで運用できる。交通系ICカードが普及し、紙の乗車券の利用が減っていることも踏まえると、鉄道会社にとって魅力的な選択肢といえるだろう。

 なお、5月7日現在、東武鉄道と直通運転を実施している東急、東京メトロ、相鉄からは、今後の磁気乗車券の扱いについての発表はされていない。仮に東急、東京メトロ、相鉄の各社が東武と同時期に磁気乗車券を全廃した場合、東急と直通する都営地下鉄や東京メトロと直通する西武鉄道など、東武と直通運転していない他の事業者にも間接的な影響が出るとみられる。

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