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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第218回

エコで省電力、超シンプルな空気清浄+加湿器「Venta LW15」の変わらないスゴさ

2024年05月07日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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フィッシングメール

すごいマジックは、2つを同時に思いつく

 筆者の仕事はマジシャン。マジックのトリックを考案することもあります。マジックの歴史では、メソッド(方法、タネ)とエフェクト(現象)の2つを同時に思いつくと、「革命的なマジック」になるといわれています。

 たとえば、白いハトを出現させるマジック。20世紀に世界中で大ブームになったのは、ポケットの中では静かにしているハトが取り出したときに羽ばたくことで(方法)、大きく見えた(現象)からでしょう。

 今回紹介する空気清浄+加湿器の「Venta LW15」は、まさにそんな発明プロセスから生まれた製品のはず。

デザインだけではないVentaの実力

 Ventaとの出会いは25年ほど前。アキバのデザイン家電、輸入家電の聖地、リビナヤマギワ館でした。空気清浄と加湿を同時に実行する原理と、スタイリッシュな外観に出会ったときに一目惚れしました。

 しかし、その当時の価格はおよそ6万円。外国製のせいかサイズも大きく、購入を悩みました。しかし、今は小型のタイプも登場し、価格もリーズナブルに。今回のLW15は、Amazon.co.jpで2万4299円で購入しました。

 筆者が選んだもっとも小型なタイプ、LW15は25m2(およそ15畳)の部屋まで対応。筆者が必要なスペックとしては十分です。

外観だけでなく、スイッチパネルもスタイリッシュでわかりやすい

 Ventaの製品は、その巧妙な原理とスタイリッシュな外観から、2017年に国際的なプロダクトデザイン賞である「レッド・ドット・デザイン賞」を、2021年にドイツの国際的デザイン賞「German Design Award Special 2021」を受賞しています。

 消費電力が小さいことや、製造/リサイクルのプロセスなどから、CO2削減アワードも3つ受賞しています。

空気清浄と加湿のメカニズムはシンプル

 構造はとてもシンプル。車やエアコンのラジエーターのようなフィンが回転し、フィンに付いたホコリやカビを水の中に落とす。それが「エアウォッシャー」と名付けられた、空気清浄と加湿を同時に実行するVentaのシカケです。

水の付着したフィンがゆっくり回ることで空気清浄+加湿

 先述した「メソッド(方法、タネ)とエフェクト(現象)」の話で言うならば、フィンが回転する(方法)ことで空気清浄と加湿の効果(現象)を生むわけです。

 汚れた空気を吸い込むファンがドラムを回す動力にもなっているので、超低電力で静か。そのうえ、フィルターの代わりに水道水を使っているので、コストパフォーマンスも最高です。

 オプションで「ハイジェン液」(後述します)を水に投入すると、加湿効果が上がるとされるほか、ごくわずかに石鹸のような香りが部屋に漂います。

汚染されたエアロゾルを拡散しない

 LW15の原理は、ゆっくりと回る濡れたフィンに吸い込んだ風が当たるだけ。なので、汚染されたエアロゾル(aerosol)を拡散しないことが、研究機関などで検証されているそう。

 エアロゾルとは、「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体」のこと。

 水だけなら健康被害はありませんが、そこに細菌やウイルス、粉塵やカビの胞子などを含んで空間に漂うことがあります。LW15はそれを拡散しないというわけです。

 水の微粒子が拡散しないから窓や壁が露結しづらく、自然に近い加湿ができるのもLW15の特徴です。

LW15のメリットとデメリット

 一般的な空気清浄機、加湿器との違いを挙げてみます。

メリット
 ◯有害なエアロゾルが排出されない
 ◯窓や壁が結露しづらい
 ◯低消費電力で静か
 ◯フィルターがない
 ◯専用のハイジェン液を使っても、使わなくても良い

デメリット
 ◯2週間に1度、水を換える必要がある
 ◯機器が転倒すると水がこぼれる

専用のハイジェン液は、使わなくてもよい

 水に添加するハイジェン液は、水の蒸発を30%向上させるほか、カルキを付きにくくし、衛生的な連続運転(製品内での細菌やカビの繁殖を抑える)を維持してくれるそう。

フィルター代わりの水道水に入れるハイジェン液。製品ごとの目盛りが親切。左は製品に付属する試供品

 購入時にすすめられるので、必要だと誤解するかもしれません。しかし、「使っても、使わなくてもよい」とメーカーは説明しています。

オプションのハイジェン液は加湿効果を高め、水を衛生的に保つ働きがある

 Amazon.co.jpなどでの販売価格は2999円(500ml)。筆者が使うLW15なら、1回の使用が40mlなので、およそ半年分(1日あたり16.7円)になります。

設置場所には注意が必要

 スタイリッシュ、低電力、静かなど、筆者にとってはパーフェクトなVentaの製品ですが、弱点もあります。

 それは、小さな子供が走り回ったり、大型のペットがいたりする部屋では設置場所に注意が必要なこと。

 小さなLW15でも、5リットルの水が入っていますので、転倒させない設置場所を選ぶ必要があります。

 筆者は腰の高さにある、壁付けされたサイドボードの上に置いています(記事冒頭の写真)。

移りゆく時代と変わらないもの

 動物愛護の視点から空中からハトを出すマジックも少なくなり、アキバのリビナヤマギワは2010年には閉店しました。

 一方、筆者のようなトランプを使ったクロースアップマジックがブームになり、Ventaはオンライン販売にシフトして世界中で販売され続けています。

 時代は移りゆく一方で、変わらないものもあります。かつて一目惚れしたVentaの製品は、フィルター交換なし、超低電力など、CO2削減が叫ばれる時代にマッチした製品になりました。筆者は、とても嬉しく思っています。

 魅力は変わらないまま、時代が追いついた。まるで親戚の子が立派な大人になったようなうれしい感覚。そんなことが、家電好きの喜びなんですよね。

前田知洋(まえだ ともひろ)

前田知洋

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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