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協業を基にデバイス管理とユーザー管理を統合した新サービス展開へ

ソフトバンクのMDMとOktaが融合 中堅・中小の運用負荷/シャドーITリスクを解決

2024年02月21日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 ソフトバンクは、2024年2月16日、中堅・中小企業をターゲットとして、同社のモバイル端末管理(MDM)サービスである「ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)」にOktaのユーザー管理機能を統合して提供することを発表した。この新サービスは、Oktaとの「マルチテナント型マネージドサービスプロバイダー(MSP)」の日本国内における2年間の独占契約の締結によるものだ。

 ソフトバンクの法人プロダクト&事業戦略本部 統括部長である中野博徳氏は、「クラウド活用やリモートワークが定着してきた一方で発生する、SaaS管理のコスト増や情報漏えいリスクといった課題に対して、ソフトバンクの持つデバイス管理とOktaのユーザー管理を組み合わせて新たなサービスを提供する」と説明する。

ソフトバンク 法人プロダクト&事業戦略本部 統括部長 中野博徳氏

BCDM+Oktaが中堅・中小企業に届ける3つのメリット

 新サービスの基となるビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)は、ソフトバンクが独自に開発・提供する法人向けのMDMサービスであり、デバイスの一元管理からリモートのロック/ワイプ、アプリケーション配信、アンチウィルスの機能などを提供する。2023年12月時点で、1万6千社に導入され、240万IDが稼働する実績を有する。

 今回、Oktaとの契約締結により、Oktaのシングルサインオン(SSO)や多要素認証、IDのライフサイクル管理などのユーザー管理機能をBCDMに統合して提供する。特に、一部のSaaSに対するシングルサインオン機能は、デバイス証明書によるパスワードレス認証とあわせて、基本サービスとして展開。対象のSaaSは、Google Workspace、Zoom、LINE WORKS、PrimeDriveおよびBCDMとなる。

新サービスの管理画面

 新サービスは、2024年2月29日より申し込みを受け付ける。基本サービス料金は、ID単位で月額300円(税抜)。「SSO無制限」「多要素認証」「多要素認証Pro」「ライフサイクル管理」といったOktaのより高度な機能は、有償オプションで展開される。

新サービスの提供料金

 中野氏は、新サービスのポイントを3つ挙げる。ひとつは、“IT担当者の運用工数の削減”だ。

 従来はMDMなどのデバイス管理とOktaのようなユーザー管理は別々に調達されていたが、新サービスではデバイス/ユーザー管理を一元化。また、SaaSのユーザー管理も、有償オプションのライフサイクル管理により、一元管理することができる。これにより、ITの運用管理に工数を割けない中堅・中小企業の負荷を軽減する。

ポイント1:デバイス/ユーザー管理を一元化、中堅・中小企業の管理コストを低減

 2つ目のポイントは、“セキュリティ強化”だ。コストをかけてセキュリティを強化しないと、私用デバイスの利用(シャドーIT)による情報漏えいのリスクがつきまとう。新サービスでは、デバイス証明書をベースとしたOktaのシングルサインオンを利用することで、私用デバイスのアクセスを制限することができる。

ポイント2:シャドーITのリスク対策

 3つ目のポイントは“24時間365日のサポート体制”だ。新サービスの導入においては、SBエンジニアリングが要件ヒヤリングや画面レクチャーを通じて導入をサポートする「導入支援サービス(有償)」を提供。導入後においても、24時間365日のヘルプデスクサポートが付く。

ポイント3:導入前から導入後までソフトバンクがサポート

ヒト・モノ・カネが足りない中堅・中小企業にもOktaのユーザー管理機能を

 今回、ユーザー管理機能を提供するOktaは、アイデンティティ管理のソリューションをグローバルで展開しており、サービスやテクノロジーを利用する際の最初の入り口となる認証・認可の領域を司る企業だ。

 Okta Japanの代表取締役社長である渡邉崇氏は、ソフトバンクと協業に至った経緯について、「日本企業のセキュリティレベルを上げていく必要がある中で、中堅・中小企業が二極化している現状を解決するため」と説明する。

Okta Japan 代表取締役社長 渡邉崇氏

 現在、中堅・中小企業は、大企業同様にIT投資とセキュリティ対策を進める企業と、本業へリソースを振り分けて後手に回ってしまっている企業とで二極化しているという。そこで、ヒトやモノ、カネのリソースが不足している企業に対して展開するのが、Oktaのマルチテナント型MSPになる。

二極化が進む中堅・中小企業

 マルチテナント型MSPでは、パートナー企業が、ユーザーのテナントを管理しつつ、Oktaの機能を代行して提供する。「従来のOktaのソリューションと比べて、より簡単かつ迅速に機能を展開できるのが特徴」と渡邉氏。今回の協業では、ソフトバンクのBCDMと統合することで、同サービスの機能として容易な導入が可能で、Oktaの機能を絞って組み込むことで安価に利用できる。

マルチテナント型MSPの概要

 渡邉氏は、「ソフトバンクのBCDMのユーザー基盤に対して、より迅速に、スピーディーに対応してもらえることを期待している。それを裏支えするOktaが、最新のテクノロジーとイノベーションを絶えず一緒に提供するというのが本協業の体制」と説明。

 加えてソフトバンクの中野氏は、「Oktaとの提携を通じて、中堅・中小企業がDX化により生産性を向上させること、ひいては日本企業、日本経済の再成長に貢献していきたい」と展望を述べた。

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